経営」カテゴリーアーカイブ

続・レトロニム

 6月9日に配信したメルマガで『レトロニム』という言葉をご紹介した。

スーパーマーケットにセルフレジが登場した。しかしまだ不慣れな人のために従来のレジも少し残しておき、「有人レジ」という名称とした。この様な従来の物が新規に置き換わった時に、従来品の名称を変更することをレトロニムという。

典型的な事例は電話機ではなかろうか?昔の電話機は耳に受話器を当て、呼び出しのハンドルを回して交換手を呼び出す方式だった。その後ダイヤルで相手電話番号を回せば直接繋がる様になる。私が知っているのはここいらあたりからだ。まだ電話の普及率が低く、緊急時は電報を使用した。『ウナデン』という言葉はほぼ死語だろう。街角に公衆電話が普及し出す。家庭の電話機は『家電』(いえでん)とレロニムされる。この頃は刑事や探偵が緊急の連絡のために、公衆電話を探すシーンが小説やドラマに当たり前にあった。ポケベルで謎の通信文をやりとりするシーンが昔の小説に出てくる。その後携帯電話が普及し、公衆電話が消える。今時の刑事や探偵は、連絡のために公衆電話を探すことはしない。あるとすれば、電池切れの携帯に充電する方法を探し歩くくらいだろう(笑)

写真機も何度がレトロニムがあった。大昔のカメラは感光版をセットして撮影した。感光版の感度が低いので、マグネシウムを焚くフラッシュとセットだ。
その後ブロニーフィルムを使うカメラが登場。上から覗くタイプのカメラだ。
さらに小型のフィルムを使うカメラが登場。上から覗くカメラは、後から登場した一眼レフカメラに対して「二眼カメラ」とでも呼ばれたのだろうか?
フイルムが交換できない使い捨てカメラ、フィルムを使わずプリンターで出力するカメラが登場し、「フィルムカメラ」というレロトロニムが生まれる。


このコラムは、2023年7月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1471号に掲載した記事です。

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レトロニム

 新聞に「レトロニム」という言葉が出ていた。新しいものが生まれた時に区別のため、古いものの名前を変えることを「レトロニム」というのだそうだ。
記事には、スーパーなどでバーコードを読み取り自動精算するレジが出来たことにより、従来のレジを「有人レジ」と名称を変えて区別する例が紹介されていた。「無人レジ」がなかった頃は「レジ」で済んでいた。しかし無人レジになれないお客様のために「レジ」を「有人レジ」とレトロニムして残したわけだ。
新しいレジを「無人レジ」という名称にしないのは、近い将来無人レジだけにしたいからだろう。

鉄道の改札も「無人改札」となって久しい。しかし「有人改札」というのは見たことがない。これが意外と不便である。
例えば、駅ホームに入構したが忘れ物をして戻りたい時などICカード乗車券で入構するとその駅では出ることができない(これは西武鉄道だけかもしれないが)その様な特殊例のためだけに「有人改札」を設けることはなさそうだが、自動改札に投入したパスモ(または定期券、乗車券)は無情にも戻ってくる。後ろの人がドン、ドンとぶつかってくることになる。

入構駅で使用した改札券で出構できないのは、目的地まで行き駅構内で用事を済ませて戻ってくる様な不正を防ぎたいためだろう。


このコラムは、2023年6月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第第1453号に掲載した記事です。

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今週の雑感:祝WBC優勝

 久しぶりに野球中継に釘付けとなった。中国で暮らしていた頃は、野球中継が見られなく(日本食呑み屋に行けば見る事はできるが、エンゲル係数が上が跳ね上がる)一球ごとにストライク・ボール、打球の行方、アウト・セーフ情報を更新するアプリで観戦していた。翌朝新聞記事を読めば事足りる話だが、それでも野球ファンとしては(ほぼ)リアルタイムで観戦したかった。

日本に帰国するのは春節の時期なので、野球中継は10年以上見ていなかった。
TV観戦は球場で観戦するのと比べれば臨場感は相当劣るだろうが、チャンスやピンチには思わず大きい声が出てしまう。その度に横で寝ている老犬を驚かすことになった(笑)

試合経緯や結果については読者の皆様は既にご存知のことだろう。ここでは触れない。

今・浦島太郎の自分には選手名でわかるのは大谷翔平くらいだ(苦笑)
なぜ侍ジャパンに外国人が入っているのかなど、TV観戦中に家人に質問して煩がられた。それよりも全く野球に興味がなかった家内が、選手の顔と名前を認識しているのに驚いた。日本国中ににわか野球ファンが増えた様だ。

日本のチームを見ていて、当然のことながら、日本らしいチームだと感じた。毎試合ベンチにユニフォームが2着吊るしてある。不思議に思っていた。調べてみると、代表に選ばれたが怪我などで出場辞退選手のユニフォームだという。

参加できなかった仲間を思う監督、コーチ、選手の想いなのだろう。こういうチームだから自分が持てる力以上の働きができるのだろう。


このコラムは、2021年3月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1423号に掲載した記事です。

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五つ星ドライバー

 先週の記事「優良運転手が客待ち 東京・新宿駅にタクシー乗り場」に対して読者様からこんなメッセージをいただいた。

☆Y様のメッセージ
上海ではタクシーに5つ星制度がありますよ、何年も上海に居ますが2回だけ5つ星タクシーに乗り合わせました、良かったですよ 顧客対応・安全運転・道に詳しい等々やはり違います。星無しから~最高が星5つです、試験も有る様に聞きました。

さすが上海!万博に向けて、世界標準のサービスレベルに持ち上げようという運動だろうか。

以前(2007年ころ)上海虹橋空港からタクシーに乗ったことがある。
そのときの運転手は最悪だった。

上海賓館というホテルまで行ってもらおうと思ったのだが、場所が分からないという。降りてタクシーの誘導係に場所を聞いてきてくれといわれた。当時タクシーに乗って悲惨な目にあった人の話ばかりを聞いていたので私も素直には言うことが聞けない。
降りて聞きに行くとトランクに入れた荷物ごとタクシーが去ってしまう、という最悪のストーリィが頭をよぎった。ここで降りてしまおうかと思ったが、また30分も列に並びたくはない。

そこでトランクを開けさせ荷物を持って誘導係に聞きに行った。
誘導係は「知らないはずないだろ」といいながらめんどくさそうに運転手にホテルのある道を教えていた。

以後まったく無言のままホテルまで送ってもらった。私が疑い深すぎたのかもしれないが、このくらい注意していないとひどい目にあう可能性がある。

同じころ北京空港から市内に向かうタクシー乗り場では、乗客にアンケート用紙を配っていた。このときは北京オリンピックに向けてタクシーのサービス向上キャンペーン中だったようだ。

いずれにせよ、もうしばらくすれば中国でも気持ちよくタクシーに乗れるようになるだろう。


このコラムは、2009年8月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第112号に掲載した記事です。

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優良運転手が客待ち 東京・新宿駅にタクシー乗り場

優良運転手が客待ち 東京・新宿駅にタクシー乗り場

 無事故無違反で、接客態度もいいタクシードライバーだけが客待ちしている「優良タクシー乗り場」が5日、東京駅丸の内北口前と、新宿駅西口地下に現れた。

 東京・新橋駅で昨年3月に設置したところ、好評だったため、東京23区と武蔵野市、三鷹市で活動する財団法人「東京タクシーセンター」が増やした。「走っているタクシーの中からいいタクシーを選ぶのは難しい」と思いついたという。「安全・丁寧」でも料金は変わらない。

 優良タクシー乗り場で客待ちできるのは、「10年間クレームなし、3年間無事故無違反」などの条件を満たしてセンターから表彰された運転手と、事故や乗車拒否など法令違反の少ない「優良タクシー会社」から推薦された運転手がハンドルを握るタクシー。センター加盟の約9万4千人の3分の1程度に限られるという。

(asahi.comより)

 この記事によると日本には優良タクシー運転手は全体の1/3程いるということになる。では中国で優良といってよい運転手はどのくらいいるだろうか。当然そんな統計は無いが、全体の3%くらいというのが私の印象だ。

タクシーに乗ると騙されないように身構えてしまう。
タクシーに乗って前金でお金を払ったら、暫く走ったところで携帯に電話がかかってくる、そして急用ができたからここで降りてくれ、ついてはお金は返すという。車から降ろされ返してもらったお金は偽札だった。なんて話しは良くある。

深センから東莞までタクシーに乗ったら、高速で降りたところで道が分からないから地元のタクシーに乗ってくれという。運転手の言い値で乗っている、降りてまたタクシー代を払うわけにはゆかない。目的地の会社に電話して道順を説明してもらっても、分からないから降りろの一点張り。

いつもタクシーを利用している区間で15±1元で着く距離なのに、メータが20元を表示している。

目的地が分かるといっておいてしっかり道に迷い、かなりの距離引き返しているのにメータの料金をそのまま請求する。

なんてタクシーの不満を書いたらいくらでも出て来る。

そんな中でも親切な運転手は3%くらいはいる。
運転手にしてみれば、次に同じ客を拾う可能性など殆どゼロだ。それなのに良いサービスをしても意味が無いと考えているのだろう。ニッコリしてありがとうございました、というくらい何のコストもかからないはずだ。客だけでなくありがとうございますと言った本人も気持ちが良くなるものだ。

中国でも同じようなシステムを導入して、五つ星運転手なんて称号を与えるようにしたらきっとサービスは改善されるだろう。

 ところで先週末久し振りに日本のタクシーに乗った。最終電車で最寄り駅に着き自宅までタクシーに乗った。

いつもであればタクシー乗り場には乗客が行列をしている。ところが先週はタクシーの方が行列をしていた。タクシーの運転手の話では今年に入ってから最悪だそうだ。週末でも飲んで最終電車で帰ってくる人は殆どいなくなってしまったようだ。

ちょっと景気が悪いという話が出ると、一斉に庶民の財布の紐が固くなる。そしてそれでますます景気が悪くなる。
ガンバレ日本!不況に負けるな。


このコラムは、2009年8月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第111号に掲載した記事です。

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目標より使命

 先週の雑感で、デレク・シヴァーズのTEDスピーチから「目標を宣言すると実現しない」という例をご紹介した。

「Keep your goals to yourself」

目標を宣言することで、「代償行為」が発生しすでに目標を達成したと錯覚し、目標達成の努力に対するモチベーションが上がらず、結局目標達成から遠ざかる、ということだ。

よく考えると、目標を宣言する・しないよりも努力を継続すること自体が重要だと気がついた。目標を宣言することは、目標を達成する・しないに直接因果関係はないはずだ。努力の継続が目標達成の直接因果関係だ。

つまり目標を宣言する・しないに関わらず、努力を継続するモチベーションを上げれば良いと考える方が妥当だろう。では努力継続モチベーションは何処にあるか?

それは、なぜその目標を達成しなければならないかという使命感とか理念ではないだろうか。目標を組織全員で共有することは重要だが、それよりも使命や理念を共有する事が先だと気がついた。


このコラムは、2018年9月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第719号に掲載した記事です。

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怒ると叱る

 怒ると叱るは似ている様だが、全く違う。
しかし、叱られたことを「怒られた」と言ったり、混乱している面もある。今週は怒る」と「叱る」の違いについて考えてみたい。

「怒る」とは、相手の行動がこちらの期待を下回った時に失望と共に発露する感情。
「叱る」とは、相手の行動がこちらの期待を下回った時に愛情と共に成長を促す行動。

と定義してみたが、いかがだろうか。

この定義に従って考えると「怒る」はたんなる感情の発露であり、生産的な効果は何もない。

「怒る」の特徴は以下の様になる。

  • 過去の行動が怒りの対象となる。
  • 本来、今の行動を指導しなければならないのに、怒りの感情を発露すると、「あの時」こうだった、ああだったと過去の失望が次々と出て来る。こちらの期待が合意されていないため怒りとなる場合が多い。
  • 人格的な否定になり易い。
  • 「積極性が足りない」「協調性が無い」と怒られても何をどう直せば良いか分からない。
  • 相手は反発感を持つだけ。
  • 怒られた相手は、怒りの感情を受け取っただけであり、どうすれば良いか分からないだけでなく、反発心を持つ。
  • 一方「叱る」は次の様な特徴がある。

  • 未来の成長が対象となる。
  • 叱る目的は、好ましくない行動を好ましい行動に変容するために指導する事なので、相手の成長が対象となる。こちらの期待が理解されていない場合は、期待の合意・共有の指導となる。
  • 行動や考え方の指導になる。
     人格が指導の対象ではなく、行動やそれの元になる考え方の指導となる。
  • 指導の成果は相手の成長と感謝。
     愛情を持って叱れば、反発ではなく感謝される。きついことを言っても、 言葉だけに反応しない様に、日頃の関係構築が重要。
  • 日本人は喜怒哀楽を表に出さない人が多い。たまには怒ったり喜んだりを少しオーバーに表現しても良いと思う。
    以前現場で指導する時に、先に怒ってから指導することがあった。中国語がヘタなので、叱っているのが伝わらない事があった(苦笑)そのためまず怒っておいて、これから指導が始まると認識させようとした。

    「怒る」と「叱る」の違いを意識して部下の指導をするだけで、効果が変わる。
    ぜひ意識してみていただきたい。


    このコラムは、2022年4月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第419号に掲載した記事です。

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    過去は変えられない

     過去を変えるのは不可能だ。タイムマシンが発明されたとしても、過去を変えてしまうと現在が成り立たなくなるというパラドックスがある。

    映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はタイムマシンでうっかり変えてしまった過去を修正する、というストーリィだ。

    タイムマシンはなく、過去も変えられない。しかし絶望することはない。過去が変えられなくても、過去の意味は変えられる。

    過去の失敗を「失敗」と捉えると、失敗を避けることを考え続け、「羹に懲りて膾を吹く」の喩え通り、新たな失敗を招くことになりかねない。

    過去に起こした失敗を「成長の糧」と考えれば、過去の意味が変わる。
    もちろん命がかかる様な失敗を受け入れることはできないが、失敗の裏には改善・成長のタネが隠れている。

    過去は変えられない、しかし過去の意味を変えれば未来が変わる。


    このコラムは、2022年4月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第第1278号に掲載した記事です。

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    後悔と反省

     失敗には「後悔」と「反省」がつきものだ。
    失敗してしまったことに後悔する。
    失敗を反省し再発防止をする。

    似ているようだが、時制とベクトルが異なる
    「後悔」は過去を後悔しておりベクトルは過去に向く。
    「反省」は過去の失敗を現在反省しており、ベクトルは未来に向く。

    過去の失敗を後悔しても意味はない。
    過去の失敗は反省し、未来のために再発防止を考える。

    失敗を後悔していても明るい未来は来ない。反省するから未来の失敗を未然に防ぐことができる。失敗を後悔する無駄を止め、失敗を反省し原因を分析。それにより再発を防ぐ。

    後悔して(いるフリをして)暗い顔をしていても意味はない。
    反省して明るい未来を目指したい。


    このコラムは、2022年9月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第第1345号に掲載した記事です。

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    未来予測



     そろそろ年度末となり今期の業績見込み、来年度の業績予測をされている
と思う。
    これを未来予測と位置付けると、科学空想小説(SF)と関連付ける
ことができるかも知れない。
    ロボットが活躍する未来を築いたロボット工学の
元祖といえば「ロボット三原則」を提唱した小説家アイザック・アシモフを
上げることができるだろう。
    「ロボット三原則」は1957年に発表されている。

アシモフは1950年代の実績からロボット社会を予測したのだろうか?
    
1950年代後半にようやくテレビ(白黒)洗濯機(脱水機能なし)冷蔵庫が
普及し始めた頃だ。こんな時代から未来を予測してロボットを考えたはずは
ない。アシモフはロボットが活躍する未来を予測したのではなく、可能性を
見出したと考えたほうがよさそうだ。



    一方、業績予測は実績を積み上げて来季の業績を予測する。
ただの言葉遊びのように思われるかも知れないが、業績予測は今までの積み
上げしかできない。しかし「業績の可能性」と考えれば過去の実績を考慮する
必要は無くなる。可能性を追求すれば予測より遥かに楽しい未来が描けると
思うが如何だろう。


    このコラムは、2022年4月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第第1248号に掲載した記事です。

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