前職時代に、生産依託先工場で生産指導をしていた。中国東莞市に3社生産依托工場があり、新製品の立ち上げや、お客様工場監査のために月1社程度の頻度で出張していた。
直接作業現場に入って指導するので、組長、班長などの現場監督職との交流も沢山あった。そんな中で今でも印象に残っている組長さんがいる。この組長さんの生産ラインで、コピー機用の大型電源の生産することになった。量産試作時に、組長さんと一緒に生産ラインを1工程ずつ見て回った。
ねじ締め作業工程で組長さんに「ねじを一本締め忘れたらどうする?」と質問。彼女は質問には答えず、すぐに小皿を準備して,作業前に必要なねじを小皿に入れ、作業が終わったら小皿のねじに過不足がない事を確認する様に作業員に指導した。
また最終の外観検査の方法が時間がかかり過ぎ,タクト内に終わらず完成品が滞留していた。このまま放置すると、検査漏れが発生し、最悪不良品の流出が起きる。その場で作業手順を変更し、作業員に作業指導してもらった。しかし班長さんの教え方がまずいせいか、中々作業員が理解出来ない。しまいには作業員が泣き出した(苦笑)組長さんに指導を替わってもらい、事なきを得た。
打てば響く、という表現がぴったりの組長さんだった。
彼女がいる限り、我々の生産は大丈夫だと実感した。
しかしここで安心してはいけない。
この優秀な組長さんのクローンをいかに増やすかが、工場にとっての課題だ。
実は東莞の生産委託工場(3社ともに台湾資本)は、私たちが指導した生産ラインにいた監督職、生産技エンジニアは無条件で採用となっていた(笑)
しかしこのような安易な方法ではいけない。自ら現場監督職を鍛える方法を持つべきだ。
このコラムは、2017年4月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第525号に掲載した記事に加筆修正したものです。
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