月別アーカイブ: 2020年6月

顧客クレーム(傷)

 先週に引き続きお客様からのクレームを紹介しよう.
顧客クレーム(誤出荷)

お客様から返却された製品は,プラスチックケースにカッターナイフで付けられたと思われる傷が一直線についていた.これが梱包箱に2,3個ずつ見つかるという.

製造工程の中ではカッターナイフを使う工程はない.
従って製造工程内で傷をつけていることはありえない.

梱包箱に付き2,3個ずつ見つかっていると言う状況から,開梱時にカッターナイフを使い誤って中の製品に傷をつけたと推定した.一直線の傷跡とも一致する.

工場の中で開梱するチャンスは,出荷抜き取り検査(OQA)だけである.
出荷抜き取り検査では製品に傷をつけないように,カッターナイフの使用を禁止している.カッターナイフの変わりにPWBの切れ端を少し尖らせた物を使用している.

これは以前,プリント基板(購入品)の梱包箱を開梱する際にカッターナイフで傷をつけてしまった経験から,全工場に水平展開した対策である.

さらに箱ごとに2,3個ずつ不良があるというのも,OQAで傷を付けたのを否定する要因である.なぜならOQAの抜き取り数量から言えば,一ロットに一箱分検査すれば十分だからである.

以上の検討から,傷はお客様で開梱する際につけたものと判断.
そのように報告書を作成し,報告した.

再発防止対策はお客様に要求しても良かったのだが,こちらは梱包箱の中に一枚ボール紙を追加して梱包するよう梱包仕様を変更した.身銭を切って再発防止をする必要はなかったかもしれないが,その方がお互いのためと判断した.

以降このお客様から同様の不良返却は一切なくなった.


このコラムは、2007年11月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第7号に掲載した記事です。

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高離職率組織の運営

 たった7人(内日本人2人)の幹部で、2,000~2,500人の組織を運営している。しかも2,000人超の実動部隊は無給だ。無給どころかプロジェクトの活動費は、彼ら自身で調達してくる。

このメルマガで何度か紹介した原田燎太郎さんが率いるハンセン病元患者支援の学生ボランティア組織「家-JIA-」の事だ。

メルマガ過去記事
世界を変える
モチベーションの高め方

学生なので、卒業し社会人となれば、ボランティア活動も卒業だ。従って最長4年で組織を離れて行く。つまり年間離職率は最低でも25%だと言う事だ。
このような組織で、成果を出し続けている。
学生ボランティアは、高い貢献意欲を持ち、無給でも喜んでプロジェクトに参加してくる。この秘密を理解できれば、企業経営役立てる事が出来るだろうと考え、東莞和僑会に「家」の原田さん、菅野さんを招き、参加者と共に議論した。

原田さんや菅野さんにとって当たり前に出来ている事は、我々には「奇跡」と言って良いレベルだ。東莞和僑会定例会では出し尽くせなかった秘密を探ろうと、有志メンバーで更に議論を重ねている。

「家」の学生ボランティアは、ボランティア活動の計画、実行、総括のPDCAをまわす事が出来る。大卒新人に社内プロジェクトを任せる事が出来るだろうか?多分そのような無謀なチャレンジをする企業はないだろう。これが出来るのは「家」の教育システムに有る事は分かっている。後は、ボランディアのモチベーションを上げる、場のエネルギーを上げる方法を理解できれば、企業経営にも応用可能だと考えている。

これを体系的に整理し、経営者や経営幹部に対して教育訓練するプログラムを開発すれば「家」の慢性的資金難は解決できると期待している。

しかし事態は急を要するようだ。
最近原田さんから、緊急メッセージが来た。円安により日本の財団からの支援金が目減り、中国財団からの支援も期間短縮で目減りしている。その結果「家」運営事務局の維持が困難になっている。学生ボランティアを育成・支援している母体が無くなってしまえば、ハンセン病支援ボランティアはなくなってしまう。それよりも彼らが、排出し続けているボランティア経験を持つ優秀な新社会人が無くなる。これは大きな社会損失だ。

私個人が出来る支援では、焼け石に水だろう。
このメルマガを読んでおられる方々の支援を是非お願いしたい。

企業として支援、個人として定期的に支援、単発で支援、いろいろな方法が選べる様になっている。

「家」ホームページから支援が出来る様になっている。

ホームページの「サポートする」と言うタグをクリックすると、支援方法の説明が有る。
日本の郵便振替以外にも、中国工商銀行、香港HSBCへの振込が可能だ


このコラムは、2015年12月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第456号に掲載した記事に加筆修正しました。

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君子なりや否や

zēngyuē:“tuōliùchǐzhī(1)bǎizhīmìng(2)línjié(3)érduójūnrénjūnrén。”

《论语》泰伯第八-6

(1)六尺之孤:六尺(130cm)の孤児。16歳未満の親を亡くした子。
(2)百里之命:百里四方にある国の政令。諸侯の政令。
(3)大节:国家の大事件。

素読文:
そういわく、もっ六尺りくせきたくすべく、もっひゃくめいすべし。大節たいせつのぞみてうばうべからず。くんじんか、くんじんなり。

解釈:
曾子曰く:“幼君の補佐を託すことができ、国政を任せることができ、大事に瀕して動揺屈服することがない。こういう人物を君子と言うべきか?いやこういう人物こそ君子と言うべきだろう。”

続・時間軸

 メルマガ461号で時間軸について考えた。
時間軸の目盛りや方向を変えることで、今までと違う発想が得られるかも、と言う提案だった。

これのコラムに関して読者様からメッセージをいただいた。

※N様のメッセージ
> 逆方向の時間軸で考えると「3年後に売り上げが100億になった。何をしたの
> だろうか?」と言う課題になる。

うわっ、今一瞬目の前が真っ白になり、2秒後に目から鱗が落ちました。

いささか大げさなご感想をいただき、恐縮している(笑)
実は「時間軸を逆にして考える」という発想は、私のオリジナルではない。
元ネタがある。

生田知久と言う方の、アイデンティティ探求、自己葛藤、自己統合による自己実現法に感銘を受け、彼の昔の著作を見つけ次第読んでいる。

その中の1冊に、時間軸を逆にするという発想があった。

「24時間でかならず成長する方法」生田知久著

ちょっとタイトルが気恥ずかしくて、メルマガでは紹介しなかった(笑)
簡単に読める本なので、ご興味がある方は読んでみていただきたい。
ただし読んだだけでは、24時間どころか24年かかっても成長はしないと思う。


このコラムは、2016年2月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第463号に掲載した記事に加筆修正しました。

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中国人マーケティング

 先週は『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?』の著者・中島恵さんがゲストスピーカーをされる勉強会に参加した。

『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?』中島恵著

中島さんの分析によると、銀座辺りで爆買いをしている人たちは、内陸部から団体旅行で来たプチリッチ層だそうだ。彼らは日用品から家電製品まで、スマホの「必買清単」に元づき、買い漁った戦利品を道ばたでスーツケースに詰めている。

中国人訪日客の約70%は初めて日本に来る団体旅行客、25%がリピート訪問客、5%がヘビーデューティ訪問客だ。

個人旅行でくる場合は、個人でビザを取得することになる。ビザ取得は預金口座の残高確認、旅行代理店に預ける保証金などが必要になり、そこそこの金持ちでなければビザはとれない。

個人旅行客の中には、既に買い物には興味がなく、日本的体験を求める本物の富裕層が含まれる。この人たちは、元々ヨーロッパのリゾートなどを旅行していた人たちだ。この層が旅行先を日本に切り替え始めている。残念ながら日本には、スーパーリッチ層を満足させられるサービスは少ない。日本に来る人が増えているのは、多分テロ不安の影響だろう。

ヘビーデューティ訪問客は、ひと月に何度も日本に来る。彼らの目的は買い物ではなく、日本人アイドルの公演などを見るために来る。いわゆる日本オタクの人たちだ。

爆買いで儲かるのは免税店だが、初めて日本に来た団体客が日本の魅力に取り憑かれ、リピート顧客が増えれば、彼らがお金を落とす場所は変わる。顧客の育成がうまくできれば、日本の地方再生に活かせるだろう。

爆買いで儲かっているラオックスは中国資本だ。ホテルにも中国資本が入り始めている。旅行代金は中国の旅行社が受け取る。本当に日本の景気に貢献しているのかどうか微妙だ。本物の富裕層の欲求に応え、日本に紅マネーが落ちる様にしなければならない。

今現在爆買景気で秘かに儲けているのは誰か?
爆買い後のビジネスチャンスは?
そんなことに興味がある方は、中島恵さんの書籍に目を通していただきたい。

『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?』中島恵著


このコラムは、2016年2月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第464号に掲載した記事です。

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何を学ぶか、子どもが決める

 「君は今年、何を学ぶの?」。新学年が始まる2月初め、ニュージーランドの高校では教師が生徒によく、こんな質問をします。40以上の科目から、生徒自身が、興味や将来の進路に合わせて選ぶためです。授業も講義がメイン
ではなく、生徒が自らテーマを決めて課題に取り組み、教師はサポートに回るスタイルです。

(朝日新聞電子版より)

 ニュージーランドの公立高校では、教師から「教わる」のではなく、自ら「学ぶ」方式がとられている。
日本では、子供に必要な教科を国が準備して教育をする方式だ。この記事を読んで、日本方式は教える側の都合ではないかと言う疑念を感じた。

確かに、読み書き計算の基礎的な能力は等しく教えなければならないだろうが、高校生に画一的な教育をする必要があるだろうか?日本の高校は大学予備校の位置づけになっており、大学受験に合格する「学力」を身につけることが目的化してしまっているのではないだろうか?

そう簡単には解決できる問題ではなさそうだ。
しかし企業の中で行われる人材教育は、大学受験を考慮する必要はない。

宇宙産業に取り組む中小企業・カムイスペースワークスの植松社長は「教育とは死に至らない失敗を安全に経験させるためのモノです」と言い切っている。

「思うは招く~自分たちの力で最高のロケットを作る!」植松努著

会社が無くなってしまう様な失敗は経験させることは出来ないが、仕事で失敗することで得られる学びは大きいはずだ。
「学び」とは「体験」と言い換えることが出来そうだ。
良き指導者は、部下に体験を通して成長支援ができる人だ。


このコラムは、2016年2月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第464号に掲載した記事です。

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相互支援学習

 私の仕事はお客様の生産現場の改善だ。現場の改善を通して業績アップに貢献することが任務だ。その任務で最重要点と心得ているのは、改善が継続することだ。我々の仕事が終わっても、改善が維持・向上していく様にする。そのためには、改善リーダを育成し、組織に改善文化を植え付ける。いわば人と組織の成長を支援するのが仕事だ。

最初から、これが自分仕事だと明確に分かっていた訳ではない。
前職時代に、リーダは育てられたが、組織は育てられなかったと言う挫折を体験した。独立後も指導の成果が顧客によってばらつく。しかし成果があまり出なかった顧客も、暫くしてここまで来ましたと連絡が来る様になる。そう言う経験を通して、自分の仕事は「人と組織の成長を支援する」ことだと徐々に明確になって来た。

最近は指導に「相互学習支援」を取り入れている。
相互学習支援とは、指導者対学習者と言う従来の学習構造を発展させ、指導者だけではなく、学習者自身も相互に支援すると言う考え方だ。

既に色々なお客様や、自社研修プログラムに応用している。
現在指導している中国企業の改善プロジェクトでは、いきなり成果が出始めている。
先週末に開催した品質道場も、第七期に入ったのを契機に相互学習支援の仕組みを取り入れた。学習者同士の支援により学びがより深くなり、新たな気付きを得ることが出来ると期待している。

最近、指導者を育成するのは学習者だと、実感している。私自身が、現場改善指導をしながら自分自身が成長しているのを実感している。


このコラムは、2016年4月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第470号に掲載した記事です。

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真似されないモノ造り

 中国でのモノ造りで,最大の心配事は「真似される」と言う事だろう.

以前、電解コンデンサを生産している台湾資本の中国工場を訪問したことがある.かなり良い工場だと判断したが,肝心の電解液を作る工程の品質保証が不明確だった.そのために,工程内で幾度となく検査が繰り返される.これらの検査は,間接的に電解液の調合が正しかったとを確かめるための工程だ.

なぜこんな手間のかかる事をするのかと言うと,電解液の調合方法を,従業員に盗まれない様にするためだ.電解液の調合工程は,別の場所で別の作業員が調合した二つの液体を合わせる事で完成する.二人の作業員が共謀しなければ,電解液のレシピは分からない様になっている.

ここまで厳重に管理しているのは,この会社の創業者自身が,日系コンデンサメーカで,電解液のレシピを盗んで来たからだ.自分と同じ様に,自分の従業員も電解液のレシピを盗むと考えるから,厳重な管理下に置き,ムダなコストをかけてでも秘密保持に腐心する.

こういう事例は,中国のモノ造りではいろんな所で見られる.
中国の市場には,ブランドバックの偽物を至る所で買うことができる.
しかしルイビトン社の売り上げは,中国がトップらしい.真似されるからと,中国市場に出荷しなければ,相当の売り上げを諦めねばならない.

こういう心配を解消するのはそこそこ難しい.
一つの方法は「突き抜けてしまう」事だ.

このメルマガでも何度かご紹介した,岡野雅行氏は痛くない注射針をプレスで作っている.なぜ痛くないかと言うと,針の直径が極端に細い.そのため蚊に刺されたくらいにしか感じないのだ.

「カネは後からついてくる!」岡野雅行著」

針を板金プレスでどうやって造るのか,想像もつかない.
このアイディアは,40年以上前に岡野氏が開発した鈴を板金プレスで造る工法にオリジナルがある.
ある会社から依頼され,鈴を板金プレスで量産する技術を開発し,金型を納入したそうだ.当時特許を取得したが,既に特許の有効期限は切れている.それでもまだ誰も,鈴を板金プレスで造れる人はいないそうだ.

プレスで作っているので曲げているだけだ.注射針は鈴より更に難しいだろう.

「痛くない注射針」も誰にも真似出来ない商品になるだろう.技術的に突き抜けてしまえば,誰にも真似が出来ない.

またルイビトンのバックの様に,本物は細部にこだわった縫製がしてある.偽物のバックと比較すれば,一目瞭然だ.中国人富裕層は,絶対に偽物を買わないだろう(笑)

技術的に突き抜けることができなくても,細部へのこだわりに突き抜ける所があれば,真似しきれないモノ造りは出来る.安くしか売れない偽物と,コストをかけてでも価値を高められる本物との違いだ.


このコラムは、2013年3月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第300号に掲載した記事です。

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君子の道

zēngyǒumèngjìng(1)wèn(2)zhīzēngyányuē:“niǎozhījiāngmíngāirénzhījiāngyánshànjūnsuǒguìdàozhěsāndòngróngmào(3)yuǎnbàomàn(4)zhèngyán(5)jìnxìnchū(6)yuǎnbèi(7)biāndòuzhīshì(8)yǒu(9)cún。”

《论语》泰伯第八-4

(1)孟敬子:魯の国の大夫、仲孫氏で名は捷しょう、武伯の子。
(2)问:探望。見舞いに行く。
(3)动容貌:心の中の感情を容貌に表す。
(4)暴慢:粗暴、ほしいままに振る舞う。
(5)正颜色:顔つきを厳粛にする。
(6)出辞气:言葉遣い。
(7)鄙倍:粗野で理に背く。
(8)笾豆之事:笾豆は祭祀に使う道具。祭祀に関わること。
(9)有司:祭祀に関わる官吏。

素読文:
そうやまいり。孟敬もうけいこれう。そういていわく:“とりまさなんとするや、の鳴くやかなし。ひとまさなんとするや、うやし。くんみちたっとところものさんあり。容貌ようぼううごかしては、ここ暴慢ぼうまんとおざかる。がんしょくただしては、ここしんちかづく。辞気じきいだしては、ここばいとおざかる。籩豆へんとうことは、すなわゆうそんす。”

解釈:
曾子が病床にあった時、孟敬子が見舞いに行った。
曾子曰わく:“鳥は死ぬ前に哀しげに鳴き、人は死ぬ前に善言を言う。君子が尊ぶべきことが三つある。心中を容貌にあらわし、粗暴にならないこと。顔つきを正して信に近づくこと。言葉遣いを正して粗野で理にかなわぬことを言わないこと。祭祀に関わることは官吏が執り行うので君子が口を出すことではない。”

シャープ再生

 先週のキャッシュフローに引き続き、経営の失敗事例だ。鴻海からの融資金額が1000億円減額されても、日本からの融資を選ばず鴻海の買収を受け入れた。

日経新聞などは、郭台銘氏の人柄を好意的に描いたりして、日本人の反感を和らげようとしている様に感じる。確かに郭氏は、創業当時子供に飲ませるミルクを買う金もなく、奥さんは米の炊き汁を子供に飲ませて育てた。という苦労人だ。しかし基本的に彼の経営は、「騙し騙され」の謀略経営だと理解している。以前このメルマガで、知人の台湾人経営者と富士康(フォックスコン)の、騙し合いの顛末をご紹介した。郭台銘はそう言う世界で生きている人だ。

ラオックスが中国家電量販店蘇寧電器に買収されると言う衝撃から、ほどなく三洋、シャープ、東芝と日本の家電メーカが中国企業に買収されてしまった。

この失敗の原因はどこに有ったのか?その教訓をどう生かすか?と言うことが家電業界のみならず、製造業に携わっている者が考えなければならないことだと思う。いや製造業だけでなく全ての企業に言えることかも知れない。円安基調がいったん反転しそうな気配を見せている今が、日本企業が狙われる時なのかも知れない。

私には経営の失敗を分析する情報も知見もないが、自分の考えた仮説を述べてみたい。読者の皆さんも是非ご自分で考えてみていただきたい。今の世の中は報道を鵜呑みにせず、自分で考えなければ生き残れない時代だと感じている。

  • 高級指向の商品戦略
    日本国内では家電製品は飽和状態に有り、寿命買い替え需要を各社が奪い合うと言う状況だと理解している。その市場でシェアを伸ばすためには、高級指向、痒い所に手が届く便利指向に向かうことになる。万人に受けるものではなく、市場を細分化しその中で顧客の強い支持を得る。この商品戦略は正しいと思う。
  • 企業体質
    しかしニッチ戦略は、弱者の戦略であり大きな構えを持った企業は小さな市場だけでは生きて行けない。つまり鰹ならば十分生きて行ける小魚の群れでは、クジラは満腹にはならないと言うことだ。日本国内の成熟市場だけで,生き残ろうとするならば,固定費を削ぎ落とし身軽な経営体質にならなければ無理だろう。

今のマス市場は発展途上国であり、彼らの炊飯器に対する要求は、「極上の味わい」ではなく、「安くて長持ち」なのだ。この市場に対応する構えを残したまま、ニッチ戦略をするのは不可能だ。つまりマス市場は,同一規格大量生産の市場であり、固定費をかけて生産量を上げなければならない。一方のニッチ戦略は多品種少量生産の市場だ。こちらは大量生産の設備を抱えたままでは、利益が出せない。


このコラムは、2016年4月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第470号に掲載した記事です。

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