シャープ、鴻海頼み誤算 再建、サムスンに活路
シャープは6日、韓国サムスン電子と資本提携すると正式発表した。
サムスンの日本法人を引受先とする第三者割当増資を実施し、発行済み株式の3.04%に当たる103億円の出資を受ける。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との協業で危機を脱するシナリオに狂いが生じ、財務改善と業績回復の両方につながるサムスンとの提携に活路を見いだそうとしている。(日経電子版より)
シャープと鴻海の資本提携の合意から,既に1年経とうとしている.
670億円の資金調達で,シャープは復活のストーリィを描いただろう.しかし資本提携の発表後も株価の下落が続いた.ここで鴻海がゴネ始める(笑)
株価が下がったのだから,出資総額も下げると言う論理だ.非常に論理的・合理的な交渉だが,シャープがこの条件をのまなかった.シャープは,喉から手が出るほど資金が欲しいのが見え見えなのに,強気な交渉に見えた.逆に,出資総額が減らされては焼け石に水と言う崖っぷちなのかもしれない.そういう意味では,サムソンとの資本提携もそれほど財務改善には貢献しないのかもしれない.
台湾企業を見ていると,あの手この手の交渉術を繰り出して来る.当事者は胃の痛む思いをされているだろうが,外野から見ていると「よくもまぁ」と感心する事もしばしばだ.
以前指導していた台湾企業に対し,鴻海から資本提携の申し出があった.
その台湾企業は、鴻海傘下のEMS企業・フォックスコンに製品を供給していた.そのため鴻海は経営権を支配したかったのだろう.資本の51%に当たる金額をオファーして来た.
オーナー経営者は,その提案に合意したのだが,調印の直前に自分が経営する別の会社から資金を移動して,鴻海の出資比率が50%未満になる様にしたのだ.結局この企みが鴻海にばれて,出資の話はご破算となった.
笑話の様だが本当の話だ.
彼はビジネスはゲームだと思っているようで,何事も相手との「勝ち負け」で判断しているフシがある.以前部品納入業者に,支払いを止めたことがある.そんな事はするなと叱ったが,納入業者とのパワーバランスを考慮し,値引き交渉のために支払いを止めており「ゲームなんだから大丈夫だ」と取り合わなかった.
こういう経営では,この企業は今より大きくなる事はないだろう.多分彼一代で終わりだ.
このコラムは、2013年3月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第300号に掲載した記事に加筆しました。
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