作成者別アーカイブ: master@QmHP

失敗しないとダメ

――リチウムイオン電池の開発に入る前に三つの研究をしていた。その三つの失敗が成功につながった?

 「今日の講義の中でもその話をしました。失敗しないと絶対に成功はありませんよ、と。企業での基礎研究は、1人で2年くらいやる。見込みがあるかどうかみて、ないとなると次に行く。3番目までは見事に失敗しました。
4番目はリチウムイオン電池。それぞれ失敗した理由はある。失敗を生かした。失敗しないとダメだと思う」

朝日新聞より

 ノーベル賞受賞受賞決定後、名城大学で吉野彰教授が記念講義をされた。
その後の記者会見で上記のように答えておられる。

人は失敗しようとして失敗をしているわけではない。もちろん成功を目指している。当然未知のことに挑戦をしているのだから、失敗はする。しかしその失敗は成功するための失敗だ。失敗の原因を調べ再挑戦する。したがってこの失敗は成功のための失敗となる。つまり成功の過程にある失敗は、ほんとうの失敗ではなく、上手くゆかない方法の発見であり、成功への一歩だ。

本当の失敗とは、挑戦を諦めることである。


このコラムは、2019年11月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第901号に掲載した記事に加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

不良原因分析

 先週は「GM~踊れドクター」というTVドラマをまとめて見た.

米国でトップレベルの総合診断医師が,ダンサーとして日本で再デビューする事を夢見て帰国する,というかなり無理な設定のTVドラマだ(笑)

仕事を終えて,ビールを飲みながらドラマを見ている.面白ければそれで良いのだが,一応そのドラマを見る事の意義を考えることにしている.
このドラマの面白さは,患者の容態,行動,言動から可能性のある疾患を上げ一つずつ検証確認し,消去法で真因に迫って行くプロセスに有る.

このプロセスが,我々の不良原因分析に似ている.
不良現品,生産現場を良く観察し,可能性のある不良原因を一つずつ仮説検証する.
ドラマでは仮説検証の過程で,新たな仮説が浮かび上がり更に検証を進め真因を見つけることになっている.

まさに不良原因分析のプロセスそのものだ.
ホワイトボードに,可能性のある不良原因を書き上げる.それぞれに検証方法を考え,検証により原因を一つずつ消し込んで行く.

ドラマの設定では,このミーティングの過程で研修医や問題の有る医師たちが成長して行く.

我々の仕事も同じだ.
不具合原因解析のプロセスを「見える化」することにより,メンバーが解析のアプローチ方法や考え方を身につけることになる.
客先から不良が戻って来た時に,深刻な顔をして考え込まないで,メンバーを集めホワイトボードに解析のプロセスを見える化しながら,解析をしてみよう.メンバーの成長チャンスだと思えば,客先不良にもそんなに落ち込まずにいられるだろう.


このコラムは、2012年7月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第265号に掲載した記事に加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

プリント基板の白化不良

 先日オフィスでプリント基板の品質問題に関するご相談を受けた.
プリント基板に電子部品を実装し半田付けをした後に,プリント基板のところどころが白化してしまうという不具合が発生し,どう対策すればよいかと言うご相談だった.

このような不具合現象は,一般に「ミーズリング」「クレイジング」「ボイド」「デラミネーション」と呼ばれている.積層プリント基板の内部に剥離や気泡が発生するために,外観上白化した様に見える.

積層プリント基板は,回路パターンを形成する配線板の間に.プリプレーグと呼ばれる絶縁樹脂をサンドイッチして熱硬化させて作る.プリプレーグはガラス繊維に半硬化樹脂を浸み込ませたシート状になっている.

例えるならば,プリプレーグは生八橋のようなものだ.硬い八橋で生八橋を挟んでもう一度焼くと言うイメージだ.

ミーズリング,クレイジング,ボイド,デラミネーションはプリプレーグ部分に剥離,気泡,空洞が出来てしまう現象だ.

その原因は

  1. プリント基板積層後にプリント基板が吸湿し,その水分が半田槽による加熱で膨張する.
  2. 積層時のプリプレーグ硬化が不十分のため,半田槽の過熱により後硬化する.
  3. プリプレーグの保管状態が悪いため,吸湿しその水分が加熱により膨張する.

などが考えられる.

最後の3.が原因の場合,メーカで積層プリント基板が出来上がった時点で白化不良が発生しているはずだ.

メーカにおける材料・完成品管理,積層工程以降で吸湿しないかなどを確認する.自社での保管条件を確認する.などにより原因を特定し対策を立てなければならない.

納入直後のもの,自社で保管後のものを同一条件で半田槽に流して比較する.
白化不良する場所に偏りがないか調べる.
など現場・現物で確認をすればよいだろう.

プリント基板をベーキング(高温放置)すれば,改善するかもしれない.
しかしベーキングは銅パターン酸化のリスクがある.銅パターンが酸化すれば、半田付け不良が多発する.
ベーキングは真の原因をつぶさずに対処療法をするだけだ.一時的に改善しても,根本原因に対策ができていないので再発の可能性が高い.


このコラムは、2011年3月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第196号に掲載した記事に加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

樊遅 農を学ばんと請う

fánchí(1)qǐngxuéjià(2)
yuē:“lǎonóng
qǐngxuéwéi(3)
yuē:“lǎo。”
fánchíchū
yuē:“xiǎorénzāifánshànghàomíngǎnjìngshànghàomíngǎnshànghàoxìnmíngǎnyòngqíngshìfāngzhīmínqiǎng(4)érzhìyānyòngjià。”

《论语》子路第十三-4

(1)樊迟:孔子の弟子。姓ははん、名はしゅあざなは子遅
(2)稼:穀物を植える
(3)圃:畑
(4)襁:子供を背負うカゴ

素読文:
はんまなばんとう。
子曰わく:“われ老農ろうのうかず。
つくることをまなばんとう。
曰わく:“吾はろうに如かず。
樊遅ず。
子曰わく:“しょうじんなるかなはんしゅや。かみれいこのめば、すなわたみあえけいせざるし。かみこのめば、すなわたみあえふくせざるし。かみしんこのめば、すなわたみあえじょうもちいざるし。くのごとくならば、すなわほうたみの子を襁負きょうふしていたらん。いずくんぞもちいん。

解釈:
樊遅は穀物栽培について教えを請うた。
子曰く「私は穀物農家にはかなわない」
樊遅は野菜の栽培について教えを請うた。
子曰く「私は野菜農家にはかなわない」
樊遅は退出する。
孔子曰く「樊遅は小人だ。上に立つ者が礼を重んずれば、民は上に立つ者を敬する。上に立つ者が義を重んじれば、民は上に立つ者に服する。上に立つ者が信を重んすれば、民は情を重んずる。もしそうなれば、民は四方から子を背負って集まってくるだろう。為政者に農業の知識など必要ない。

国を治める者にとって重要なのは、殖産興業の知識や技術よりも「礼」「義」「信」だ、ということです。

信頼性不良問題

 工程内の検査では不良が見つからず,市場で使用中に不良が発生するものを信頼性不良と呼んでいる.

寿命モードの不良,例えば
金属疲労,プラスチックの油脂クレージング割れ,金属のマイグレーション,半田クリープなどさまざまな信頼性不良がある。

本サイトのコラムで「信頼性不良」の事例を紹介している。

工程内検査では不良が見つからず.エンドユーザが使用中に1,2年経って不良が発生する.厄介な不良モードである.
信頼性不良が発生した場合原因の解析・対策をするのは当然だが,更に厄介なのはすでに市場に出荷してしまったものに対してどのような処置をするかということだ.

処置の仕方によっては,莫大な損失金額が発生する.

当然事業として生産活動をしているので,損失金額を最小限にするよう検討することは必要だ.しかし基本はエンドユーザを第一に考えることである.

直接顧客がセットメーカであっても,エンドユーザの立場で検討しなければならない.製品を供給した顧客は,エンドユーザに対して品質責任を持っているので,エンドユーザの立場に立っていない処置は受け入れてもらえない.

例えば銀行ATMのトランザクリョンを処理するノンストップコンピュータで信頼性不良が発生すると,エンドユーザである銀行に迷惑をかける.場合によっては新聞沙汰になり銀行の信頼が低下する.
しかしこのような製品の場合,一般的には保守体制が確立されており予防保全で不良が発生する前に部品を順次交換してしまうことができる.

本当に厄介なのは,民生品である.
例えば,一昔前はTVに使っている高圧トランス(フライバックトランス)の焼損事故がしばしば発生した.当事使用していたフライバックトランスは赤燐系の難燃材料を使用しており,赤燐が信頼性不良の原因となることがままあった.

民生品なのでエンドユーザでの使用環境は千差万別だ.前出のコンピュータの場合は空調の効いた電算室に設置される.したがって使用環境が一定しており,不良が発生する期間も読みやすい.

TVなどはラーメン屋の麺をゆでる釜の上に設置されている場合もあり,電気製品にとっては湿度・温度ともに劣悪な環境となる.

しかし民生品だからといって,許されない故障モードはある.
ただ画像が出なくなるだけならば大きなクレームにならない可能性が高いが,発煙事故となると話は違う.この場合は事故が1件2件発生しただけで,新聞告知で回収するなど莫大な費用がかかる.

他社の事例,異業種の事例などから自社製品への影響を読み取り事前に対策をしておくことが必要だ.このメールマガジンでもしばしば品質問題を取り上げているが,自社製品に当てはめて読んでいただきたいと考えている.


このコラムは、2009年10月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第119号に掲載した記事に加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

電源コンセントの不良

 独立行政法人・製品評価技術基盤機構・NITEのホームページに2008年9月24日から9月30日までの事故速報が紹介されていた.事故速報79件中の3件が電源コンセントの不良と思われる事故である.

AC電源コンセント部分から火花が出て火災に至る事故だ.
現象だけから推定すると,ACコードのプラグを受ける金具の部分がゆるくプラグをくわえる接触圧力が不足したため接触が不安定になり火花がパチパチと発生したのであろう.

以上は日本での事故であるが,中国で販売している電源テーブルタップや,壁コンセントはすぐにユルユルになってしまう.事故統計データのようなものは見た事がないが,きっと多くの火災事故の原因になっているのではないだろうか.

特にソファーの裏側にある壁コンセントなど気をつけないと危ない.
ソファーに座るたびにコンセントに振動がかかる.ソファーの材質が燃えやすい.条件がそろっている.
NITEの事故情報を見てソファーの裏にある壁コンセントから電源ケーブルを早速引き抜いた(笑)

皆さんのオフィス,工場などの電源コンセントも一度点検をされてはいかがだろうか.火災に至らないまでも接触不良で電源が瞬断,PCのデータが飛んでしまった,などという悲しいことになりかねない.

ところで事故速報でもっと気になるのは複写機の背面から黒い煙が出たという事故報告が8件も発生していることだ.いずれも原因調査中になっているが,早く手を打たないと大きな事故につながりかねない.特に複写機は機械の周り,内部に紙が置かれているので容易に類焼してしまうだろう.


このコラムは、2008年10月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第46号に掲載した記事に加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

不良データの取り方

 不良データはパレート図などで整理して,上位の不良から対策をする.というのが定石である.

しかしこの方法がうまく行かないと考えている方があった.
「現場が生産するときに支障となるような不良項目と集計上件数の多い不良項目とが一致するとは限らない。」という主張である.
そのため,「現場が優先して解消してもらいたいと思っている不良項目を確かめることが大事だ。」と言っておられる.

この方は不良データが役に立たないので,もっと現場の声を聞いて対応しようという主張をもっておられる.この考え方を否定するつもりは全くないが,別の考え方ができないであろうか.

現場の改善に役に立たないデータは集めても無意味である.品質管理部などの自己満足にしかならない.改善の役に立って始めてデータが活きてくる.

例えば,パレート図で不良数量が多い供給メーカを上位から順に品質改善をしても,現場の改善につながらないと彼は主張する.当然であろう.購入数量の多い供給メーカは,分母が大きいので不良数量でデータを整理すれば,上位に位置づけられることになる.

これはデータが役に立たないのではなく、テータの取り方が適切ではない.不良数量ではなく不良率でデータを整理すれば,購入量に左右されないデータが得られるはずである.

また工程が困る度合いと,不良率が一致しないと言う彼の主張もありうるだろう.
この場合は不良率でデータを整理しないで,不良による工程の停止時間、修理にかかる時間などの不良による損失でデータを評価すべきである.

データが役に立たないのではなく、データを取る目的をはっきりさせ,それにあわせたデータの評価をすべきだと考えている.


このコラムは、2008年8月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第46号に掲載した記事に加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

不良品の流出

 中国の生産委託工場で,どう見ても工程内で不良として除去されねばならない物が出荷されてしまう事があった.

プラスチック筐体に入った電源装置が客先から不良返却されてきた.
中をあけてみると,部品固定用の接着剤がめちゃくちゃに塗布されていた.不良は別に原因があったのだが,何人もの作業員が接着剤の塗布が異常であるのを見ているはずなのにそのまま出荷してしまった.

接着剤を塗布した作業者,その下流のケースをつけるまでの工程の作業者が接着剤の塗布に異常があることを見ていながら全員何事もなくその製品を流してしまったわけだ.「異常品」を見つけても自分の作業として指示がされていなければ何もしない.

どうも彼らには,他人の仕事に口を出してはいけないという間違った「美徳」がある様である.

問題を発生させた工程と,その後で気が付くべき工程の作業者全員に連帯責任で罰金をかけるという手もあると思う.しかし過去の出来事で叱られても実感がわかない.このような不良が見つかるのは,氷山の一角でしかないので単に「運が悪かった」と思うだけ.ということであまり効果がないだろう.

また現場で叱ろうと思っても,このような現場に出会うのはよほどの幸運がなければ見つからない.

即効性は期待でないが,毎日毎日言い続けて作業者や班長たちの意識を換えてゆくしかてはないと思っている.
私は「Check-Do-Check」,前工程から受け取ったものをチェックして自分の作業をする,自分の作業結果をチェックして次工程に流す,ということをしつこく指導した.
また前日の不良品を集めて製造,品証,生産技術を中心とした幹部と毎朝不具合検討会をやっていたが,この場で教材になると思える不具合品があると,製造の班長を呼び現物を見せてしつこく教えた.

「異常とはいつもと違うこと」の具体例を現物で見せるわけだ.そして異常があれば必ず報告するように作業員に指導させる.

最終製品がエンドユーザにどのように使われているのかを,理解させる.それと平行して自分たちの使命(例えば良い品質の製品をお客様に届けて他の会社より高くても買っていただく)を良く理解させて,仕事に対する誇りを持たせる.

自分たちの仕事や製品に対する誇りがあれば,指示されたこと以上の仕事ができると考えている.


このコラムは、2008年5月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第34号に掲載した記事に加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

設計不良

 ある台湾メーカの中国工場を指導していて驚いた事がある.
半完成品の最初の通電検査で不良が大量に発生しているのである.数%というオーダーではなく数十%も不良になっている.

訳を聞いて更に驚いた.
回路に使用しているICのばらつきによって,このようなことはしばしば起きる.その場合検査外れ品は回路中の抵抗を交換してやれば検査は合格し良品となる.従って工程内に山ほどラインアウトされた半完成品は,後ほど作業者が抵抗を交換してラインに再投入するのである.

私に言わせれば,これは設計不良である.
このような製品はすぐにラインを止めて,設計を変更すべきである.

しかしこの製品は量産開始以来ずっと工場の努力で生産し続けてきたのである.今更差し戻されても,というのが台湾本社設計部門のいいわけである.

ここは100歩譲って,先にICの特性を測っておきランク別にしておく.出庫するICのランクにあわせて抵抗を変更して生産する.このように部品表と製造基準を変えてもらった.

これで不良は1%未満となり通常の生産が可能となった.

更にこの工場には,試作審査と量産移行審査の制度を導入させた.
試作時の生産性の問題を整理し,これがきちんと解決していなければ量産には移らない.これをこの2回の審査できちんと確認をしてゆくわけである.審査を通らなければ,本社の設計部門に差し戻しである.

この制度を導入して一番喜んだのが,工場サイドのエンジニアだった.彼らは毎回本社設計部門の言われるがままに生産するしかなかった.それが自分たちで審査をしてだめなら「設計を受け取らない」「作らない」という選択があることを知り,モチベーションがすごく上がった.

もちろん「作らない」という負の対応ばかりではなく,今まで押し付けられていた生産を,自分たちで改善するという意欲が出てきた.

このように製造現場が変わると,本社設計部門も必然的に変わらなければならなくなる.現場の改革が,連鎖して全社を改革してゆくのである.


このコラムは、2007年10月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第5号に掲載した記事に加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

人財品質

 品質月間に合わせ「設計品質」「製造品質」について考えてみた。最後に「人財品質」について考えてみたい。「人の品質」という言葉は奇異な印象を与えるだろう。「人質」という言葉もしっくりしないかも知れない。
企業活動における人のバフォーマンス、とでも理解すれば良かろうか。この定義で人財品質を考えると次の様な式を思いつく。

企業業績=a×全従業員の人財品質の総和×b×その他の経営因子
人財品質=能力×意欲×cosθ

企業業績は全従業員の人財品質の総和と、経営因子(商品力、不景気・好景気などの経営経営で制御できる因、制御できない因子)の掛け算で求められるのではなかろうか。

人財品質は能力と意欲はかけ算と考えるのが妥当だろう。つまり能力が高くても意欲が0ならば、業績に貢献する事はない。逆も然り、意欲ばかりあっても能力がなければ業績貢献は低い。
θは角度を表す数値で、企業が目指す方向と個人の方向の差異をさす。
つまり企業が目指す方向と個人の仕事に対する方向性が一致すれば、θは0°、cosθは1(最大値)となる。この様な人が「人財」と呼ばれる。

企業の方向性と個人の方向性に差異があれば、cosθの値は小さくなり、90°でcosθは0となる。つまり業績に何ら貢献をしない。こういう人を「人在」という。いるだけという意味だ。

θが180°、すなわち企業の目指す方向と個人の方向性が逆向きの場合、cosθは-1となり、業績に負の貢献を与える事になる。こういう人を「人罪」という。業績に害を与える存在となる。

マネジメントの仕事は人を活用し業績を出す事、と考えれば、管理職は部下の能力と意欲を高め,組織に方針を徹底する事が仕事だ。

つまり業績が悪いのは部下のせいではなく、管理職のマネジメントの問題だ。

元々人財品質が高い、もしくは人財品質を高めやすい人はいる。こういう人を「素質」がある人、というのだろう。素質がある人を採用し、人財となる様に育成する事が管理職の仕事だ。

素質の高い人とはどういう人か。私は「3K人材」だと思っている。「3K職場」の「3K」ではない。
好奇心。
向上心。
貢献心。
の3K心を持っている人を素質が高い人だと考えている。

好奇心、向上心が高ければ、能力や意欲を高めやすい。貢献心があれば,方針に対するぶれ(θ)を小さく出来る。

人財品質の根源はこの「3K」だと思うのだがいかがだろう。

こちらもご参考に
設計品質
製造品質


このコラムは、2016年11月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第504号に掲載した記事に加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】