月別アーカイブ: 2020年10月

雑巾がけ

 私が小学生の頃(コミック「三丁目の夕日」の頃)は、教室の清掃は児童の仕事だった。床は雑巾がけをした。以前中国企業の指導をしたおりに、仲間の中国人コンサルにそんな話をしたことがある。

中国では、学校でも職場でも「清潔工」と呼ばれる専門の清掃担当者がいる。
汚す人と掃除する人の役割分担が明確になっている(笑)
私たちの世代は汚した人が掃除すると躾けられた。

当時指導していた中国企業からは「精益生産系統」(TPS)を指導してくれと依頼されていたが、TPSを実践できるレベルにはなく、これがTPSだといって5Sの指導をしていた(笑)仲間の中国人コンサルも日本の小学校におおいに興味を持ったようだが、今では子供達が教室の雑巾掛けをすることはないのかもしれない。

私の友人の工場は、従業員全員で床の雑巾がけをしている。
1万クラスのクリーンルームの塵埃度を測定すると、千クラスの値となる。多分毎日床を雑巾がけをしているからだと思う。クリーンルームの中は極力歩かない、掃除機をかけない。これは床に堆積した埃が空中に舞い上がるからだ。床を雑巾がけすればクリーン度が上がる、これにはちゃんと因果関係があるように思う。

ところで、当時指導した中国企業は我々に騙されて(笑)TPSの代わりに5Sの指導を受けたわけだが、5Sだけでも生産性は3倍以上になった。


このコラムは、2018年11月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第750号に掲載した記事です。

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続・統計の活用

 1月14日配信のメールマガジン「統計の活用」で厚労省「毎月勤労統計」の不適切調査問題を取り上げた。最終的には大臣の俸給返納、担当官僚の懲罰で幕引きとなったようだ。

問題を再度整理すると以下のようになる。

  • 厚労省が発表している毎月勤労統計は、従業員500名以上の事業所からの回答を回収し平均給与などを調査、発表している。
  • 規則では全事業所のデータを収集することになっていた。
  • 東京都に関しては対象事業所の1/3をサンプリング抽出し全国平均を算出。
  • 18年から、東京都のサンプリング合計を3倍して全国平均を算出

この問題の本質は、財務省に正確無比な全数データがあるのだからそれを使うべきだと申し上げた。

この意見は事情を知らぬ者の寝言だったようだ。
税務署が持っているデータは、その他の用途には使えないよう法律で決められているそうだ。役所の縦割り行政の弊害という指摘は正しかったが、法律から変えねばならないというのは、役人にはどうにもできないことだ。

統計を担当する職員が足りなかったのではないか、という予測は正しかったようだ。2004年には6000人いた職員が2000人に減っているそうだ。主に農水省の職員が減ったらしいが、厚労省も300人から200人に減っているという。

4000人もリストラしたのだろうか?
公務員は安定した職業だと思っていたが、それは過去の話なのかもしれない。
しかし統計担当の職員を各省庁が個別に抱えるというのも無駄の多い話だ。統計処理が担当ならばどの省庁の仕事でも同じようにできるはずだ。ここにも縦割り行政の弊害がある。


このコラムは、2019年1月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第778号に掲載した記事です。

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統計の活用

「誰がなぜ、こっそり補正? 厚労省の統計、広がる不信感」

 「毎月勤労統計」の不適切調査問題で、厚生労働省が11日に公表した検証結果では、なぜ不適切な調査が始まり、どうして昨年1月調査分から本来の調査手法に近づける補正がされていたのか疑問点が多く残った。ほかの政府統計への影響もまだ見通せず、野党は追及姿勢を強めている。

 「真実を統計で客観的に伝えることが使命。意図的な操作はまったくない」

 厚労省の中井雅之参事官は11日の検証結果の会見で、昨年1月調査分から補正したのは賃金の伸び率が高く出やすいやり方に変更する意図的な操作だったのではと質問されると、こう強く否定した。

(以下略)

全文

(朝日新聞デジタルより)

 1月12日付の電子版記事だ。
内容をかいつまんで説明すると以下の様になる。

・厚労省が発表している毎月勤労統計は、従業員500名以上の事業所からの回答
 を回収し平均給与などを調査、発表している。
・規則では全事業所のデータを収集することになっていた。
・東京都に関しては対象事業所の1/3をサンプリング抽出し全国平均を算出。
・18年から、東京都のサンプリング合計を3倍して全国平均を算出。

東京都分は1/3の事業所しか調査していないため、全国平均に与える影響が
小さくなる。それを補正するために東京都のサンプリング合計を3倍にして
平均給与を計算する様に変更した訳だ。東京都は給与が高めの企業が多いため、
計算方法変更後に平均給与が上昇した様に見えている。

新聞の論調は、アベノミクスに忖度し計算方法を変更したのではないか、との
論調だ(苦笑)

しかし問題はそこではないと思う。
なぜ東京だけサンプリング調査なのか?更に言えば、基礎データとして事業所
からの回答をそのまま使っているところだ。

ここを指摘すれば、東京都の事業所数が多くて職員を増やさねば対応できない、
などの理由が返ってくるのだろうか(苦笑)

しかし本当の問題は、縦割りの官僚組織にある。
平均給与を計算したいのであれば、税務署のデータを使えば勤労者一人一人の
正確なデータが手に入るはずだ。

厚労省から財務省に一言お願いすればよかったはずだ。
野党に転落しさらに分裂してしまった前政権の「事業仕分け」は何だったのか
と言いたいところだ。

誰だって正確な統計データはすでに有るとわかっていたはずだ。
それをわざわざ人手をかけて不正確な統計情報を公開していた訳だ。


このコラムは、2019年1月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第771号に掲載した記事です。

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誤操作

 中国メディアによると、香港発大連行き中国国際航空106便で10日、機体が約7千メートル急降下するトラブルがあった。中国の航空当局は13日、操縦室内で電子たばこを吸った副操縦士が、空調装置を誤操作したことが原因とする調査結果を発表した。

 トラブルは10日午後7時半(日本時間午後8時半)ごろに発生。高度約1万メートルを飛行中の操縦室内で電子たばこを吸っていた副操縦士が、煙が客室に漏れるのを防ごうと空調装置を操作した際、誤って客室内の空調システムを停止させた。そのため客室内の酸素が不足し、高度約3千メートルまで緊急降下したという。

 客室では天井から酸素マスクが下りたが、その後空調が復旧し、機体は再び通常の高度に上昇。午後10時半(日本時間午後11時半)ごろ、大連空港に着陸した。乗員・乗客計162人にけがはなかった。(瀋陽=平賀拓哉)

(asahi.comより)

 基本的には、コックピットで操縦士が喫煙するなど論外だ。電子タバコでも方式によっては、一酸化炭素を吸入することになる。

血液中のヘモグロビンは肺で酸素と結合し体全体に酸素を配給している。
ヘモグロビンは一酸化炭素との親和性も高い。一酸化炭素との親和性は高度に依存し、上空にゆけば一酸化炭素と結合しやすくなる。従って操縦中の喫煙は、相対的低酸素症を引き起こし、事故などで急減圧の際に脳に十分な酸素が配給されず、判断力等の低下につながる可能性がある。米国FAAでは、乗務時はもとより乗務8時間前からの喫煙を禁じているそうだ。

当然この事故の原因は副操縦士の規則違反にある。
飲酒の様に、喫煙による血中ヘモグロビンの一酸化炭素親和性を測定出来れば類似の事故は再発防止できるかもしれない。しかしあまり現実的とは思えない。それよりは、今回の事故で見つかった「誤操作」のリスクを解消する対策の方が有効だと思うがいかがだろう。

この事例では、副操縦士の人為ミスは「情報の誤り」「認識の誤り」「判断の誤り」「行動の誤り」の内の「行動の誤り」に分類される。

「行動の誤り」を防止するためには、
・行動そのものを取りやめる。
・行動の誤りを誘発する要因を排除する。
という対策が考えられる。

  • 行動そのものは取りやめる対策
    記事から判断すると、客室の酸素濃度が低下すると自動的に高度を下げる機能が装備されているようだ。この機能を外してしまうと本当に空調設備の故障が発生した時に困る。
    上空では客室空調設備の停止ができないようにインターロックをかけておく。
    上空で意図的に客室空調を止める必要がなければ、この対策は有効だろう。
    操縦室も空調を止める必要があるのだろうか(もちろん喫煙以外に・笑)
  • 行動の誤りを誘発する要因を排除する対策
    「押し間違えた」という人為ミスを誘発する要因を考える。
    似ているので押し間違える。
    近くにあって一緒に押してしまう。

    客室設備の操作盤と操縦室内の操作盤を分ける。
    スイッチの色・形を客室系と操縦室系で別にする。
    などが考えられる。
    操作盤の配置変更は、難しくてもスイッチの色・形の変更は現場レベルでも可能だ。

航空機会社の新機種設計にこのアイディアを取り入れれば未然防止となる。

我々製造業でも、職場での喫煙が重大な事故原因となる可能性がある。
工場そのもの、設備、従業員に甚大な被害が発生するだけでなく地域社会にも被害は拡大するだろう。

このような重大リスク対策を従業員のモラルだけに頼っていても良いだろうか?


このコラムは、2018年7月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第694号に掲載した記事です。

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メンテナンス・修理工程

 先週配信のメールマガジン第745号でライオンエアのB737MAX機の墜落事故を取り上げた。墜落の原因として仰角センサー(AOA)の故障(メンテナンス修理問題を作り込んだ)という仮説で、修理・メンテナンス時に問題を作り込む可能性について検討した。

(ブラックボックスの解析により対気速度計の故障により、機体の速度、高度が異常値となっていたことが判明したようだ)

この記事に対して読者様からメッセージをいただいた。

※O様のメッセージ
 初めまして。いつも配信を楽しみにしています。
私も今まさしく、「修理過程で不具合の要因を作ってしまった」という場面に接しています。修理が発生すると、「以前もこうやって修理した」という、作業者の経験に依存して工程を完了してしまうように感じています。世界市場で有名な企業でも、日本の町の小さな工場でも、不具合の規模こそ違えど、発生する品質の問題は類似していると思いました。

航空機の機体整備を製造業の観点で見直すと、設備点検・メンテナンスに相当するだろう。視野を広げれば、生産ラインでの修理作業も同類になる。

量産品の生産ラインでは、事前に故障モードを洗い出し、故障部位の特定方法、修理方法などをあらかじめ決めておく。ほとんどの場合は、類似の製品を過去より継続的に生産しており、過去の経験智を活用できるだろう。

それでも問題は発生する↓(苦笑)
顧客クレーム(誤出荷)

量産機種の良いところは、不良現象の蓄積が早いこと、修理要員の習熟が早いことだ。なにせたくさん作るので不良数も多い(苦笑)

一方、一品モノの生産となるとなかなか不良事例が集まらない。修理要員も不良箇所を突き止めるのに時間がかかる。修理手順も確立できていない場合が多い。設備点検・メンテナンス修理も同様だ。

これらの修理作業を経験・記憶に頼らず、経験・記録により累積できるようにするのがコツだと思う。

この記録をFMEAの潜在不良として蓄積する。
(工程FMEAに展開するよりは、機能ごとに潜在不良を蓄積し設計FMEAに近い形にする方がよかろう)これにより作業員や修理要員の経験智を累積することができ、共有が可能となる。

このような作業をするときは、現象から原因を推測する帰納法と、原因から現象を予測する演繹法を行ったり来たりしながら分析をする。このような訓練を積めば、生産開始前にあらかたの不具合は対策済みになるはずだ。


このコラムは、2018年11月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第747号に掲載した記事に加筆しました。

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矜而不争、群而不党

yuē:“jūnjīn(1)érzhēngqúnérdǎng。”

《论语》卫灵公第十五-22

(1)矜:重々しい、厳粛

素読文:
いわく:“くんきょうにしてあらそわず、ぐんしてとうせず。”

解釈:
子曰く:“君子は厳粛にして他人と争わず、人と交流するが群れない”

君子は和して同ぜず。
君子は周して比せず。
孔子は君子の心得として同様なことを何度も語っています。

現実的とは

 「現実的」という言葉を辞書で調べてみると、

  1. 考え方などが現実に即している様。
  2. 理想や夢がなくて、実際の利害にのみさといさま。
    (大辞林)

と出ている。あまりポジティブな言葉ではなさそうだ。

言ってみれば「その時に感じている限界」に即して考える、行動することが現実的な考え方、現実的な行動ということになる。

例えば「地域社会から愛される商店になる」という理想を持った小売業者があるとする。
経営者はどうすれば地域社会から愛される商店になれるか考えてみるが、良い考えが浮かばない。従業員にも声をかけ一緒に考える。皆良い考えがないようで沈黙が続く。古参の経営幹部が「とりあえずお客様に感謝の意味を込めて割引セールでもしますか?」

こういうのが現実的な意見、現実的な解決策だ。

「お客様に愛される商店」という理想を実現したいと考えた背景には「永続的な繁栄」を手に入れたいという思いがあるはずだ。「安売り」で愛される商店では永続的繁栄はおぼつかない。

「とりあえず」という言葉が現実的であろうとする姿勢の表れであり、本来の可能性を制限している。
「地域社会から愛される商店」という理想の背景にある本当に望んでいる事は何かに焦点を当て、可能性を作り出す事に集中すべきだ。

「現実的に」とか「とりあえず」という言葉を聞いた時には注意が必要だ。


このコラムは、2018年11月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第749号号に掲載した記事に加筆・修正したものです。

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熟練工

 日本の中小企業の事例だ。この工場は精密部品の挽き物加工、直径1.0~10mmといった小径の部品加工を得意とする工場。製品は弱電用機構部品だ。この工場では常時4、5名の検査員が、顕微鏡で製品検査作業を行っている。

仕上がり寸法などは、AOI(自動光学検査)で自動化できるだろう。しかし熟練検査員の目視検査が必要不可欠だという。

検査員は顕微鏡をのぞいて、部品の雰囲気の変化を感じとる。「雰囲気」とはあいまいな表現だが、光の反射が違うなど「いつもと何かが違う」といったレベルの些細な差異だ。不良品とはいえないが、製造セクションにその感触を伝えることで不良が出る前に改善できると言う。

その「雰囲気の変化」が使用材料の間違いとか、熱処理工程の異常など、目視検査基準には書いてない不良や異常であったりするのだろう。

自動検査装置ではこの様な「雰囲気の変化」を見つけることは出来ないだろう。検査装置に人工知能を搭載すれば可能となるかもしれないが、熟練工達の暗黙智がなければ、計算機は学習出来ない。

日本と中国(もしくは途上国)に工場がある方は、ご経験があると思うが、日本工場の目視検査員は消費者リスクギリギリで検査するが、中国工場の目視検査員は生産者リスクを食いつぶして検査する。つまり、日本の目視検査員は顧客の受け入れ検査ギリギリの線で合格判定し、中国の目視検査員はオーバーキル気味で検査する、ということだ。

日本人検査員が年齢が高めで、良い具合に視力が衰えているとか、中国人検査員が職業的使命感に燃え、寸分の不良も許さない、などの理由があるかも知れない。しかしこれは真因ではないだろう。

この違いを生むのは、日本には長期安定雇用(企業側だけではなく従業員側も)の傾向があるためではないだろうか?この道何十年の熟練工がいる日本の工場と、離職率が月当たり二桁にならんとする中国工場では熟練工の暗黙智に大いに差があるだろう。

この差を埋めるには、日本の熟練工の暗黙智を彼らが定年になる前にAI化する。又は中国工場の企業文化を日本の企業文化に近づけ、中国人従業員の安定雇用を進める。この二つしか選択肢がないと思うが、あなたはどう思われるだろう。


このコラムは、2019年3月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第792号に掲載した記事に加筆しました。

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教育投資

 日本の製造業の力が徐々に落ちているのではないかという漠然とした不安がある。ラジオ番組で、企業の教育投資を日米で比較しているのを聞いた。
日本:GDP比0.1%
米国:GDP比2.0%
なんと20倍もの差がある。

他にも資料を調べてみた。

「生産性向上につながる 人材投資・人事改革」日本総合研究所によると、米国、スウェーデン、フランス、ドイツ、日本の時間当たり労働生産性伸び率1970~1990年:日本は9%。スウェーデンに次いで2位。2010~2015年:日本は0.4%程度。5カ国中最下位。4%近くある米国の1/10。

経済産業省の『「雇用関係によらない働き方」に関する 研究会・報告書』によると、OJT以外の人材育成投資をGDP比でイタリア、フランス、ドイツ、英国、米国、日本を比較すると2001年~2010年のデータで日本は最下位0.2%程度、一位のフランス1.8%と比較すると9倍の差がある。
さらに悪いことに、日本は1995年~2000年と比較すれば2001年~2010年の人材育成投資が半減している。その他の国は微減のドイツを除く4カ国は皆増加だ。

教育投資の低さと減少が、労働生産性伸び率の低下と順位後退につながっているのではないだろうか?

さらに従業員教育の内容に踏み込むと、階層別の教育に取り組んでいる企業の割合は以下の様になる。

  • 新入社員教育:93.5%
  • 新入社員フォロー教育:77.5%
  • 中級管理者教育:59.8%
  • 上級管理者教育:56.8%
  • 経営幹部教育:28.4%
    (「2016年度 教育研修費用の実態調査」産業総合研究所)

新入社員教育はほとんどの企業が取り組んでいるが、職位が上がるほど教育が行われていない。職位が上がるほど管理能力も上げなければならない。経験智だけで補えということなのか。

あなたの会社では、教育投資に対する目標があるだろうか?
もちろん教育にかける経費が目標であるはずはない。教育による従業員の能力向上、その結果得られる企業の成長を示す指標を目標にしなければならない。
利益の1%を教育投資に使って、利益が10%上がれば投資効率10倍という事になる。


このコラムは、2019年4月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第805号に掲載した記事に加筆しました。

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社内研修

 11月は品質月間だった。社内で品質に関する研修などを開催された方もあるだろう。我々も11月に品質関係の社内研修をしてほしいと依頼されることがある。

品質月間に合わせて、品質に関する社内研修をしよう、という発想だと思う。
しかし「品質月間だから」というのは社内研修をする理由にはならない。
研修は重要度は高いが、緊急度が低い。したがって先に計画を立てておかねば忙しくて実施できなくなってしまった、ということになりかねない。そのため計画を立てて品質月間に実施するという考え方は正しいと思う。

しかし目的が「年度計画達成」であるはずはない。

中国の古典にこんな言葉がある。
「不聞不若聞之、聞之不若見之、見之不若知之、知之不若行之、学至于行之而止矣。」(荀子・儒效篇)

聞かないことは聞くことに及ばず、聞くことは見ることに及ばず、見ることは知ることに及ばず、知ることは行うことに及ばない。学ぶこととは、そのことを行うことまでやって、そこでようやく終わりとなるのである。という意味だ。

知識があっても、知識が能力にならなければ意味がない。
能力があっても、能力を使わなければ意味がない。
能力を行動に移して初めて成果が得られる。

つまり研修の目的は、研修によって得られた知識を行動することによって成果を出すことだ。

自部門で仕事をするのにどんな能力がいるのかまず定義する。
そしてメンバー一人一人が現在それらの能力がどのレベルにあるのか調べ、スキルマップを作る。1年間でどこまで成長して欲しいのかを話し合い、教育計画を作る。教育計画には、ON-JT(仕事の経験で学ぶ)OFF-JT(研修などで学ぶ)の二通りがある。中間レビューで進捗をチェックしながら、年度末に達成度を評価する。

このような方法で、上司の期待を部下に理解してもらい、部下の成長にどう支援するか計画を作る。

そろそろ来年の計画を考える頃だと思う。
来年の年度計画には、間違っても「品質研修:年1回」と書かないように(笑)


このコラムは、2019年12月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第909号に掲載した記事に加筆しました。

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