6月1日夜に発生した横浜市シーサイドライン自動運転列車逆走事故をメールマガジン835号「列車逆走事故」で取り上げた。
運輸安全委員会は6月14日に事故原因を発表している。
横浜市の新交通システム「シーサイドライン」で無人の自動運転車両が逆走した事故で、車両内の電気系統が断線したまま約50分間運行していたことがわかった。国の運輸安全委員会が14日、調査経過を公表した。
事故は1日に折り返し駅の新杉田駅で起きた。駅側の自動列車運転装置(ATO)が出した方向転換の指示が車両側のモーター制御装置に伝わらず、逆走したとみられる。
運輸安全委によると、モーターへの指示は、車両内のケーブルを通じて制御装置に伝わる。一方、新杉田駅を出る下り方向への指示と、同駅に向かう上り方向への指示はそれぞれ別のケーブルで伝えていた。
運転装置の記録から、事故の約50分前に下り運転をしていた際、下り方向の信号を伝えるケーブルが断線したとみられる。シーサイドラインには断線を検知する仕組みがなく、いずれの方向指示もモーターに伝わらなくなった場合は直前までの方向に進むようになっていた。そのため列車はそのまま走り続け、
終点の金沢八景駅で別系統のケーブルを使って上り方向に折り返した。再び新杉田駅に着いた際に断線でモーターの進行方向が切り替わらず、事故が起きたとみられる。朝日新聞ディジタルより
駅側ATOから車両側制御装置に「下り方向への指示」「上り方向への指示」が別ケーブルで伝わる。という記述が理解に苦しむ。ケーブル中を「指示」が車両制御装置に伝わる。というと回線中をコマンドが伝わり、それに対しACK・NACK(了解・非了解)の返事が返ってくるイメージを持つ。一方上り・下りの指示がそれぞれ別のケーブルで伝えていた、ということは「指示」というよりON・OFFの電気信号でモーターの回転方向を制御していたのだろう。
問題の根本原因である断線原因について触れていない。断線があることを前提とするならば、ATOと車両制御装置間の通信は双方向とし、コマンドとアクノレッジのやり取りをするようにすべきと考えるがいかがだろう。
装置間の電気信号配線を光ファイバーにすれば二重化しても配線数は少なくなるはずだ。
ところで記事を注意深く読んで見ると「運転装置の記録から、事故の約50分前に下り運転をしていた際、下り方向の信号を伝えるケーブルが断線したとみられる」とある。そのすぐ後に「シーサイドラインには断線を検知する仕組みがなく」と書いている。断線を検出する仕組みがないのに、「約50分前に断線」と断定できるのだろうか?
このコラムは、2019年6月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第841号に掲載した記事に加筆しました。
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