月別アーカイブ: 2016年11月

現場改善

 中国企業で生産改善の指導をしている。行き当たりばったりの改善ではなく、計画的な改善、メンバーの達成感と問題発見能力、解決能力を育成するため、QCCの手法を使って指導をしている。

製造現場の主任さん達から、次工程の問題、改善課題を挙げてもらった。
全部で17項目の課題が集まった。初めてQCC活動に取り組む人たちなので要領が得られない様で、すぐに改善出来る項目が大半を占めていた(苦笑)
それらを「すぐにやる」項目として、取りかかってもらった。これだけでも、相当な改善効果となる(笑)

現状把握、原因分析をしなければ対策につながらない、QCC活動として取り組む価値があるテーマを選び、チームで改善を始めた。

部品の組み付け作業が時間がかかる、という問題だ。
この問題の改善のために、製造,設計、生産技術、品証のメンバーでチームを作り活動する事にした。

先ずは現状把握だ。
どのくらい時間がかかっており、どの作業が困難なのか説明を聞いてもよく理解出来ない(苦笑)作業が大変だと分かっているが、その現状を定性的、定量的に説明する習慣がなかったのだろう。他の機種の倍時間がかかる、だけではさすがに理解出来ない。早速現場で現状把握をする事にした。
目的を持って現場を観察すれば、問題点を整理し、現状の「悪さ加減」を定量的に把握出来る。先ずはここからスタートだ。

今まで経験がない、という事はハンデに違いないが、逆に考えればその分成長の伸びしろが大きいという事だ。
同様の状況で指導した同業の工場では、初めての活動で作業効率を4倍にした事がある。


このコラムは、2016年11月21日配信のメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第503号に掲載した記事に若干加筆したものです。
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QCサークル成果発表交流会

中国でQCサークル活動がうまくゆくのだろうか?と疑問を持っておられる方もあると思います。
しかし広東省では、毎年定例でQCサークル成果発表会が開催されています。
改革開放後に中国に進出した第一陣の日本電機業界の先輩諸氏がQCサークル活動を指導されたおかげです。
当時指導を受けた中国の若者たちが中心となり、QCサークル活動を継続しています。多分中国国内では、広東省がQCサークル活動の歴史が一番長いと思います。広東省質量協会主催のQCサークル成果発表会は、大手民営企業、国営企業などが多数参加しています。2016年第36回成果発表会には、253サークルが発表する大きな大会になっています。
私も以前参加したことがあります。多くのサークルが2日間で発表する熱気のある大会でした。しかし発表だけで質疑応答や講評はありません。もっとサークル同士の交流をするように、主催者側の友人にアドバイスしましたが3年間変化なく、以降成果発表会には参加していません(苦笑)

この様な経緯で、自社でQCサークル成果発表交流会を主催することにしました。

社外のQCサークルとの交流により、自社のQCサークル活動を活性化したい。
他社のQCサークル活動を参考にし、社内でQCサークル活動を始めたい。
QCサークル活動運営ノウハウなどを、他社の経営者と話し合いたい。

このような方は是非ご参加ください。

indexQCサークル成果発表交流会

日程:2016年12月16日(金)
   15:00~17:00 成果発表交流
   17:30~20:00 懇親会
場所:東莞市南城区ホテル会議室
会費:300元(発表者と弊社お客様は無料)

成果発表は中国語、日本語どちらでも構いません。
成果発表の通訳さんをお連れください。
(通訳さんの参加が困難な場合はご相談ください)

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QCC活動の効能

 品質月間にQCC活動の効能について考えてみたい。
戦後焼け野原となった日本が「世界の工場」としての地位を築いた背景に品質管理活動があった。その活動を全社従業員にまで展開する役割を担ったのが、QCC活動と言っても良かろう。

既にQCC活動の効能は証明済みだが、その後日本経済はバブルに向かいデフレに陥る。バブル崩壊期にQCC活動が下火になり始めた、という印象を持っている。
バブル崩壊後、日本の製造業が徐々に力をなくして来た。特に電器業界の凋落が目につく。家電業界は軒並み中国企業に買われてしまった。

家電業界の衰退とQCC活動の衰退を結びつけるのはムリがあるかも知れない。
しかしバブル崩壊後多くの製造現場で現場力を失いつつあるのは事実だろう。
日本製造業の現場力の源泉だった人財が、派遣・アルバイトなどの人材に置き換わり、改善力が失われた。QCC活動の様な改善力を鍛える場が無くなれば、現場力を維持する事も困難だろう。

QCC活動の効能は、実際に得られる改善効果だけではなく、人財育成効果があると考えている。特に中国の様に、教育水準にばらつきがある従業員の底上げに大きな効果がある。

監督職の指示通りに作業をするのが仕事と思っている人たちには、改善への動機も意欲も生まれないだろう。しかしQCC活動を通して、自ら作業方法の改善を体験する。この体験を喜びと感じれば成長は早い。

中国の生産現場におけるQCC活動の最大の効能は、人財育成効果だと考えている。
それは知識のみならず、自ら成長意欲を高める効果がある。


このコラムは、2016年11月7日配信のメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第501号に掲載した記事です。
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QCC活動

 私は幾分ヘソが曲がっている様で(大いにヘソが曲がっていると言う知人が多いが)大学院を卒業後、従業員30人程度の会社に就職した。コンサル会社ではない。製造業だ。開発型のファブレス企業でもない。製造部門の作業員も入れて30人の立派な零細企業だ(笑)

そこから突然1部上場企業に転職した。最初に配属された製品開発部署の課員が30人以上いた。

零細企業では、今日の飯の種を設計する(設計期間1週間なんて当たり前)。
しかし転職先では1年後、2年後に商品化する製品の設計をしている。大いに規模の格差を実感した。更にカルチャーショックを受けたのは「QCC活動」だ。実際の開発業務とは別のテーマをサークルごとに自由に取り組むことが出来るのに大いに感激した。長期にわたる開発プロジェクトの合間に、短期間で完結出来るテーマに取り組むことが、気分転換にもなっていた。

自分自身の意志とは逆に、社内のQCC活動が徐々に形骸化して行った。
そんな折に、品質部門を担当することになり、活動する側から指導する側に立場が変わり、どうすれば再び活発になるかを考えた。そのお陰で、事業部の代表サークルが社内の成果発表会で好成績を取れる様になった。

独立後、中国工場の指導でも顧客の現場リーダ、管理者でチームを作りQCC的に改善をするスタイルでやっている。

QCCスタイルで活動することにより、自主性や協調性を養う、改善手法や取り組み方を実体験を通して教えることができる。この方法により、契約期間が終了した後も、顧客社内で改善が継続する様になる。

日本のQCC活動と少し違っているのは、テーマをトップとサークルメンバーが一緒に選定するところだ。ボトムアップでも、トップダウンでもなく、トップ・ボトム協調型と言えば良いだろうか。活動テーマ選定に関しては、サークルの自主性を損なわない様にトップが関与するスタイルだ。その後の活動はメンバーの自主活動となる。

これにより、経営層が狙いたい成果と、メンバーの自主性、改善能力向上を目指すことができる。

こういうスタイルで、日系企業、中華系企業の指導をしている。
今指導をしている日系企業では、中国人幹部の育成と、組織を「考える集団」に変容したいと言う経営者の思いを実現する為にQCC活動を導入することになった。

QCC活動の導入を指導した企業はまだ数社しかないが、私の周りには既にQCC活動をされている企業も有り、年に1回QCC成果発表会を開催すると言う独立以来の念願がもう少しで達成出来そうだ。


このコラムは、メールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】に掲載した記事に加筆しました。
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従業員の成長

 一昔前は、中国人従業員に教育をしてもすぐ辞めてしまうからムダだ、という徒労感を訴える日本人経営者・経営幹部がおられた。中国ばかりではなく東南アジア諸国でも、ローカルスタッフの転職に頭を悩ませていた経営者が多かった。彼らはローカルスタッフを「バナナ」に例えていた。外から見ると黄色をしており我々日本人と同じだ。しかし皮を剥くと中は白色で、欧米人と同様にドライな考え方をしている、と言う意味だ。

今はそういう考えの方は少ないだろう。
昔から、従業員の教育に真剣に取り組んでおられる方も少なからず存知上げている。そういう方々は、「教えても辞めるからムダ?教えないから辞めるんだ」と言われる。

中国工場の責任者となり、従業員の育成が重要との信念で頑張って来られた経営者がおられる。初めの5年間は、見る見る成長して行った。これは教える側にも大いなる達成感がありモチベーションが上がる。しかしここ2,3年は従業員の成長速度が落ちて来ている様に感じる、とおっしゃっている。

この経営者の話を聞いて、自分なりに考えてみた。

最初の5年間は、真っ白な紙に絵を描いた期間だと思う。紙の上は、美しい絵で埋まって行く。この期間の成長は、一目で分かる。しかし、ある程度成長が進むと成長は停まる。いわゆる「S字カーブ」と言う現象だ。次の成長の前に踊り場が来る。

最初の5年間は、比較的簡単な生産上のオペレーションを教えたはずだ。それに習熟して来ると、そのオペレーションを如何に改善するか?と言う段階に入る。学ぶ難易度も上がっている。当然成長速度が落ちたり、教えた事が実践出来ない者も出て来る。

ではこの「踊り場」を越えるまでじっと我慢すれば良いのか?
ほとんどの経営者は、そんな余裕は無いはずだ。一刻も早く従業員を成長させ、更に上の経営を目指したいはずだ。

私はS字カーブの停滞は「知識を能力に変換する時間の停滞」だと考えている。つまり急速に成長した時期の知識は、即応用する事で知識→行動の過程で能力に変換される。しかし与えられた知識を応用するチャンスが無ければ、能力にならないばかりか、早晩忘れてしまう。

例えば我が師匠・原田師は、出稼ぎ作業者出身の文員さんに、コストは固定費と変動費に分かれることを教え、損益分岐点の概念まで教えている。教えただけでは多分彼女は、忘れてしまうだろう。原田師の「会社を辞して故郷に帰った時に食堂の経営くらい出来る様にしてやろう」と言う思いはムダとなる。しかし原田師は、この文員さんに社内の喫茶部の経営を任せて、毎月の損益を
グラフに描かせていた。

つまり教えた知識を、仕事上で発揮する機会を作る事が重要だ。
上記の例で言えば、損益を黒字化しようと思えば、売り上げを損益分岐点以上にする。損益分岐点を下げるには固定経費を少なくする。などを仕事を通して体験することにより腑に落ちる。この過程で知識は能力に昇華する。

「従業員の成長が鈍化している」と言う問題に対する私なりの対策は、仕事を通して成長する様に仕向ける事だ。日常のオペレーションの中には、その様なチャンスは少ないかも知れない。
しかし「改善」を課題とすれば、チャンスはいくらでも作れる。QCC活動などがもっとも分かり易い例だろう。

QC七つ道具や統計的手法を教えただけでは活用出来る様にはならない。
定例で開催している品質道場では、演習や宿題により知識が能力となる様に工夫している。しかし日々の仕事の中でそれらを活用する機会を作れば、更に効果は上がる。QCC活動は、その機会を意図的に作る事が出来ると考えている。

今QCCを指導しているお客様では、生産性革新のために加工方法の見直しに取り組んでいるチームがある。彼らには実験計画法を活用してもらう。


このコラムは、メールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】2015年5月4日号に掲載した記事に加筆しました。
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QCC3.0

日本の製造業が、力を付け「モノ造りニッポン」と言う称号を得た影には、品質に対する継続的改善が有ったと言って良かろう。
当時先を走っていた欧米先進国に一歩でも追いつこうと、執拗なまでに改善活動をして来た。その原動力がQCC活動であり、QC七つ道具などの手法だ。
これをQCC1.0と名付けてみたい。

QCC1.0とは、以下の手順に従った問題解決型活動だ。
現状の問題を把握し、原因を分析し、改善対策を実施する。すなわち現状の「悪さ加減」を見つけ、改善する活動だ。日本の製造業がもっとも得意とする改善活動であり、これはもはや日本企業のDNAと言っても良かろう。これを継続し続けたことにより、他に追随出来ない品質レベルを達成した。QCC1.0が日本の戦後復興を助けたのは間違いない。
しかしそれがビネスとして成功しているかと言うと、はなはだ疑問だ。
コモディティ化してしまった家電製品などは、中国企業に追い上げられている。
一方日本にはアップルの様な魅力的製品を創造する企業は稀だ。

QCC1.0が有るのならば、QCC2.0も有る。そうでなければわざわざ1.0と名付けた意味がない(笑)

元々QCC活動は、製造現場を中心にして取り組まれて来た。しかしTQCと言う概念が出て来る。全社で取り組むQC活動と言う意味だ。間接部門を含む全社で取り組む活動となってきた。これをQCC2.0と呼びたい。

間接部門も製造部門と同じ様に、現状の悪さ加減を把握し、原因を分析して改善すると言う活動をしたが、製造部門の様には上手く行かない。製造部門の問題は、解決すれば大きな成果が得られるが、間接部門の問題はさほど大きな成果が期待出来ない。それよりも今の業務レベルをもっと上げる、新しい業務に取り組む、と言う活動の方が大きな成果が期待出来る。しかしこの様な活動
は、QCC1.0の現状把握・原因分析の問題解決型アプローチでは、上手く行かない。

そこで考え出されたのが、「課題達成型活動」だ。
例えば、フレキシブルな納期対応をする為に、従来ロットごとにまとめ生産をしていたのを、平準生産に変えたい、という課題が有ったとする。
これを問題解決型アプローチで取り組むと、ムリがある。現状(まとめ生産)の悪さ加減を把握しても、平準生産に移行する対策は出て来ない。
「課題達成型」は平準化生産と言う「理想状態」を実現するための課題を定義して、実現していくと言うアプローチになる。

この事例の活動を、無理やり問題解決型で活動することも可能だ。
「顧客の納期要求に応えられない」と言う問題を解決する活動として、現状把握をしてみたら「まとめ生産」がフレキシブル生産を阻害し、顧客納期要求を満足出来ない原因と判明した。この原因に対する対策を検討する。と言うストーリィになる。
しかし「無理やり感」が漂う。顧客の納期要求に応えられる様に「平準生産を行う」という課題を設定し、どうすれば良いかを検討した方が素直で良い。

つまりQCC1.0とQCC2.0の違いをまとめると以下の様になる。
QCC1.0は「何を改善するか」と言うWhat型の活動。
QCC2.0は「どうやって課題を達成するか」と言うHow型の活動。
別の言い方をすると、
QCC1.0は過去と現在の悪さ加減を改善する活動。
QCC2.0は現在もしくは未来に設定した課題を達成する活動。
となる。
QCC2.0の活動は、「改善」ではなく「改革」を目指すことができる。
しかし先に述べたように、この活動をしていれば「アップル」の様になれるかというと、否定的な答えしか返って来ないだろう。

アップルは、今までユーザが体験したことが無い製品を創造することにより、ユーザに「魅力的品質」を提供する企業と言って良いだろう。
「問題解決」「課題達成」では不十分だ。それに加えて「価値創造」が必要だ。

価値創造型のQCC活動をQCC3.0と名付けたい。
問題解決型活動も課題達成型活動もその活動目標は、自己都合だ。
価値創造型活動の目標は顧客都合だ。顧客が考える理想状態をまず知ることが必要となる。
顧客が考える理想状態(What)をどのように実現するか(How)、QCC3.0はWhat+How型の活動となる。

顧客の期待する理想状態を実現させれば「顧客満足」が得られる。

顧客が期待していなかった欲求を満たせば「顧客感動」が得られる。
アップルが目指しているのは「顧客満足」ではない。彼らはユーザに、どんな製品が欲しいですか?などと言うアンケートはしない。
まだユーザが期待すらしていない「感動価値」を創造しようとしているのだ。

アップルは、天才のアイディアと強力なリーダシップで、感動価値を創造する企業だ。
我々凡人はQCCの様なチームワークを使ったフレームワークで対抗するしかないだろう。


このコラムは、メールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】2015年7月13日号に掲載した記事に加筆しました。
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