QCC活動の効能


 品質月間にQCC活動の効能について考えてみたい。
戦後焼け野原となった日本が「世界の工場」としての地位を築いた背景に品質管理活動があった。その活動を全社従業員にまで展開する役割を担ったのが、QCC活動と言っても良かろう。

既にQCC活動の効能は証明済みだが、その後日本経済はバブルに向かいデフレに陥る。バブル崩壊期にQCC活動が下火になり始めた、という印象を持っている。
バブル崩壊後、日本の製造業が徐々に力をなくして来た。特に電器業界の凋落が目につく。家電業界は軒並み中国企業に買われてしまった。

家電業界の衰退とQCC活動の衰退を結びつけるのはムリがあるかも知れない。
しかしバブル崩壊後多くの製造現場で現場力を失いつつあるのは事実だろう。
日本製造業の現場力の源泉だった人財が、派遣・アルバイトなどの人材に置き換わり、改善力が失われた。QCC活動の様な改善力を鍛える場が無くなれば、現場力を維持する事も困難だろう。

QCC活動の効能は、実際に得られる改善効果だけではなく、人財育成効果があると考えている。特に中国の様に、教育水準にばらつきがある従業員の底上げに大きな効果がある。

監督職の指示通りに作業をするのが仕事と思っている人たちには、改善への動機も意欲も生まれないだろう。しかしQCC活動を通して、自ら作業方法の改善を体験する。この体験を喜びと感じれば成長は早い。

中国の生産現場におけるQCC活動の最大の効能は、人財育成効果だと考えている。
それは知識のみならず、自ら成長意欲を高める効果がある。


このコラムは、2016年11月7日配信のメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第501号に掲載した記事です。
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