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実験計画法

 毎月定期的に開催している「品質道場」で、統計的品質管理もテーマとして取り上げている。そこで分散分析も教えている。随分前になるが、工程改善を指導していた工場で、実験計画法を教えようとしたことがある。分散分析が理解出来れば、その延長で実験計画法も使える様になるはずだと考えた。

しかし日本から赴任しておられた経営幹部から、実験計画法はハードルが高い、と辞退された(苦笑)その時は諦めたが、計算式を埋め込んだワークシートを用意し、実験計画法の意味と使い方を理解してもらえば応用出来るはずだと、チャンスを待っていた。

たまたまQCC活動を指導しているお客様工場で、現状の加工技術を別の技術に置き換えて圧倒的なコストダウンを目指すサークルが出て来た。加工条件を決めるために実験計画法を応用するチャンスが来た。満を持して先週末に半日かけて実験計画法の研修をした。

間接部門を含めて十人前後の中国人幹部に実験計画法を教えた。
本来応用して欲しいサークルのリーダは、全く違うアプローチを考えていた様で、余り熱心に研修を聞いていなかった(苦笑)研修の終盤になって、この研修は自分のためにやってくれたんだと気が付いた様だ(笑)

更に数学とは縁がなさそうな製造部門の女性管理者も非常に興味を持ち、研修後に質問で食いついて来た。数式は理解出来ないが、意味は理解出来た様だ。

途中で気が付いたリーダと、女性管理者の二人が実験計画法を応用して成果を出せば、この会社では普通に実験計画法を使う様になるだろう。今週は全力でフォローする予定だ。


このコラムは、2015年5月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第424号に掲載した記事です。

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2021年度QCC道場発表会

先週8月5日木曜日に2021年度第一回のQCC道場発表会を開催した。

今回のQCC道場は、コロナ禍により何度かZOOM開催となった。発表会もサークルを送り出した上司様が日本から参加ということでZOOMを準備した。QCC道場も何度かオンライン開催しているので大丈夫だと思っていたが、会場にいるサークルが、持参のPCで発表する場合、PCがZOOMにログインしていないので画面共有ができない、というトラブルもあった。同じ場所にいてもZOOMにログインしないとダメだと学習できた。(後から考えれば当たり前の話だが、問題が発生するまで気がつかなかった)

5チームのうち2チームが活動当初に立てた目標を達成できなかった。
1チームは多工程かつ多品種にわたる製品の品質改善を目指したが、さすがに1回の活動では全ての製品で改善目標は達成できなかった。

もう1チームは初めてQCC活動を体験した中国企業のサークルだ。彼らは顧客と一緒に参加した。目標が達成できず、何度か対策を再検討して再チャレンジ、結果的に活動期間内には目標を達成できなかった。しかし彼らの熱意に対し、他のチームからアドバイス、激励を受け、目標達成するまで頑張ると決意表明をされた。
このサークルは活動を通してQC手法の活用ばかりではなく、不良現象の観察、原因の特定など実践し成果を体験することで、改善活動への意欲が増したと思う。

プレス加工のサークルは、コンマ数%の不良を見事に根絶した。
プラスチック成形のサークルは、段取り替えを劇的に短縮し、コストダウンだけでなく設備の可動率を上げることで、売り上げ増加の可能性を広げることができた。
商品企画・販売のサークルは、不良現品を解体することで原因を特定。その原因を抽象化し不良が発生する可能性のある工程・部位に対して生産委託工場とともに未然防止対策を実施した。

それぞれの成果は、社内で共有され改善活動が活性化・進化するはずだ。
この時のポイントは、上述のサークルのように不良原因を抽象化・形式智に置き換えることにより組織の知恵(暗黙知)に変換することだ。そして社内で活動体験を共有することで、改善活動のモチベーションも向上する。

9月に今年度第二回目のQCC道場を開催する予定だ。


このコラムは、2021年8月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1173号に掲載した記事です。

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自主改善活動

 若い人には想像もできないだろうが、戦後の一時期まで、日本製製品は粗悪品の代名詞だった。日本から輸出される製品の評価は「安かろう・悪かろう」であった。

そのメイドインジャパン製品が、品質で絶対的な信頼を勝ち得たのは、日本の製造現場で働く人々の自主改善活動の貢献と考えている。

小集団活動、QCサークル活動、TQC活動、TQM活動と時代によりその呼称は変化したが,現場の労働者を中心とした自主的な改善活動が,メイドインジャパンと言うブランドを築いたと言ってよいだろう。

これがうまくいったのは、日本人と日本社会の特異性に依存する所が大きい。
細かい所に気配りする感性。
物事を極める所まで追求する精神。
均一性社会文化。

最後の均一性社会文化は、個性の発揮と言う点ではマイナスに働くが、チームの協調性と言う面ではプラスに働く。小集団活動に向いている。

では日本とは異なる中国で、小集団活動の成果は再現性を持つのだろうか?
多くの方はネガティブな考えをお持ちだと思う。
しかし私は、可能だと信じている。

日本人が細かい所に気配りが出来ると言うのは、細かい気配りが出来なければ居心地が悪くなる社会で生活しているからだ。
物事を極めれば尊敬される、そう言う事例を多く見て育ったからだ。

成人した社会人に、こう言う環境で仕事をしてもらう事は難しい事ではない。
社内の規則・制度をその様にすれば良い。少なくとも社内で仕事をする時に、その様な能力を発揮してもらえば良いのだ。

例えば、気配りが出来ると昇給・昇格する。仕事を極めれば昇給・昇格する、
そういう人事制度を作り、昇給・昇格の基準を明確にする。これで気配りが出来る人間になる意欲がわく。仕事を極める意欲がわく。

意欲が生まれれば、能力をつけるのは容易だ。
我々も細かい所に気が付く能力を先天的に持っていた訳ではない。訓練により身につけたモノだ。

例えば、問題の要因を漏れなく挙げる。起こりうるリスクを漏れなく挙げる。
こう言う訓練を具体的にするのが、新QC七つ道具と言われる手法だ。
我々は、子供の時から長時間かけて能力を身につけたが、ツールはそれを短縮する力がある。


このコラムは、2013年8月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第324号に掲載した記事です。

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課題達成型QCC活動

 仕入先工場と合同でQCC活動をしているお客様がある。今回第4期目となる。

金属加工職場のサークルが生産計画を達成するための活動に取り組んでいる。
現状把握で、複数ある工程の内NC加工2工程の日産能力が生産計画に対し不足している事を確認。

原因分析の中間発表で以下のように説明した。
 ・NCマシンの刃具の交換が多い。
 ・刃具の移動速度が遅い。
以上が日産能力不足の要因であり、検証のため刃具の交換頻度を減らす。刃具の移動速度を上げる。と言う検証実験をした。その結果二つの要因が生産能力不足の原因である。

検証するまでもなく、刃具の交換回数を減らせば加工時間は減るし、刃具の移動速度を上げれば加工時間は減る。当たり前のことを手間暇かけてQCC活動にしている。

QCC活動の「問題解決型」QCCストーリィがテーマ選定、現状把握、目標設定、原因分析、対策検討・実施、効果確認、歯止め、反省と今後の取り組み、となっているので、無理やりそれに合わせようとして無理な展開となっている。

こう言う事を続けていると「発表のための活動」になってしまい、活動への熱意が冷めてしまうことになる。

この活動の場合は「課題達成型」のQCストーリィを活用すれば良い。
生産計画に合わせた日産生産台数が理想状態であり、理想状態を実現する方法を検討する、と言うストーリィになる。
つまり加工が「遅い原因」を分析・検証するのではなく、「速く加工」する方法を考えれば良い。

このサークルメンバーにも「課題達成型」のQCストーリィを教えてあったが腑に落ちていなかったのだろう。個別の指導で理解できたようだ。

教える側であっても気付きや成長があるモノだ。
相手が理解できないと考えていると教える側に気付きも成長もない。
教え方に問題があると「自責」で考えれば気付きが得られる。


このコラムは、2019年6月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第836号に掲載した記事に加筆しました。

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異業種交流活動

 先週は、東莞の日系時計メーカ様で第四期QCC道場の成果発表会を開催した。
仕入れ先のメーカを巻き込んでQCC活動を実践している。今回は自社サークル2チーム、仕入れ先3社から3チームが参加し、合同でQCC活動を行なった。

既に4回目となり私はほとんど教えることはない。各チームが互いにコメントしあいながら進めている。第一回期の活動で年間効果金額350万元を叩き出したチームがあった。活動が進むとその様な大きな改善テーマは残っていないが、各チーム安定して成果を出し続けている。

何より課題発見、活動手法、プレゼンテーションのレベルが格段に上がった。
メンバーの成長が最も大きな成果だと考えている。QC手法を使いこなす、課題を発見する能力ばかりではなく、積極的に取り組む行動力が上がっている。

今回の総評では、もっと統計的手法を使おう、と檄を飛ばした。
もう30年ほど前になるが、前職時代に関連会社のシックスシグマ発表会を参観する機会があった。製造部門の成果発表で「効果をχ自乗検定で確認」と発表しているのを聞いて、両腕に鳥肌が立った。以来QC手法だけではなく統計手法も積極的に使うべきだと考えている。

今回参加したチームは皆χ自乗検定を使うことはできる。しかし質問されると答えられない、などの理由で遠慮している様だ(笑)
なぜポアソン分布になるのかなど説明する必要はない。そういうもんだと理解していればいいのだ(笑)「使ったもの勝ち」の図々しさを発揮して良い(笑)計算そのものはExcelがやってくれる。間違わずに手法を適用すれば良いだけだ。

ホランティアで支援している東莞和僑会では、参加企業の中国人幹部の改善能力向上を目指して、改善交流会を開催している。こちらも異業種合同で学び合い教え合うことにより参加者の成長を狙っている。

東莞和僑会「改善交流会」

今後は現場改善だけではなく、工場経営者も異業種交流を進める必要があると考えている。市場の要求が大きく変わっている。業界内に閉じこもっていてはジリ貧を待つことになるだろう。


このコラムは、2019年8月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第861号に掲載した記事に加筆したものです。

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相互学習支援

 私は、生産現場の改善を生業としている。前職時代から同様の仕事を永らくしている。独立後仕事のやり方が変わった。独立後暫くの間は、自分で改善案を考え、顧客のメンバーが現場に展開すると言う方法だった。

例えば、ベルトコンベアラインで作業している工員さんの座る向きを変えれば、ワークの取り置きは左手で出来る。従って右手に持った工具を取り置きする必要が無くなる。と言う具合に現場で顧客の改善リーダに教えていた。
このやり方でどんどん成果が出る。自分も充実感を感じていた。

しかし暫くして、このやり方ではダメだと気が付いた。このやり方で成長するリーダが限られている事に気がついたのだ。優秀なリーダは、教えられた事を水平展開する意欲を発揮し、自分で工夫し出す。私はリーダがこのレベルに到達する事を目指しているのだが、大半は次は何をしましょうか?と受け身のままだ。

そこで教え方を変えてみた。先ほどの事例で言えば、右手でコンベアのワークを取り置きするたびに、工具を一度置くのがムダだ。どうすれば改善出来る?と質問する事にした。

以前は、改善方法を教えて、その理由を説明していた。
それを、問題点を指摘して、改善方法を考える様に質問することにした。

このやり方で、自分なりに指導方法が改善出来たと考えていた。しかしまだまだだと、後に気がつく(笑)

きっかけは吉田新一郎氏の書籍を読んだ事だ。

「効果10倍の教える技術」

「『学び』で組織は成長する」

吉田氏は大人への教授法について、色々な手法を紹介してくれている。その後吉田氏の著作は翻訳も含めて何冊か読んでみた。

そして今キーワードになっているのが「相互学習支援」だ。「講師から学習者への1対1もしくは1対nの一方向の教授法」から「講師と学習者間の1対1もしくは1対nの双方向教授法」と自分なりに進化したが、更に「講師と学習者および学習者対学習者のn対n双方向学習支援」という考え方に至った。

例えば、研修中の演習成果発表を講師が評価するのではなく、学習者全員で評価する、こういうやり方が相互学習支援のひとつだ。

相互学習支援により、

  • 学習者間の信頼関係が深くなる。
  • 学んだ事をアウトプットする事により、より学習効果が高まる。

等の効果があると考えている。

私の様に期間限定で外部から改善指導をする様な場合、特にこの考え方が有効だと考えている。

例えばQCC活動の様に、指導者がいない場面でもサークルメンバーだけで活動を推進して行く場合に「相互学習支援」は普通に発生しているはずだ。


このコラムは、2017年7月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第543号に掲載した記事に加筆修正しました。

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ブレインストーミング

 先週末は品質道場で「新QC七つ道具」を勉強した。
少人数で実習を取り入れながらやっている。知識だけではなく、即応用の能力を磨いていただいている。

ところで新QC七つ道具は一般的には、以下の7つをいう。

  • 親和図法
  • 連関図法
  • 系統図法
  • マトリックス図法
  • アローダイアグラム
  • PDPC法
  • マトリックスデータ解析法
  • 問題の原因分析や対策立案などに威力を発揮する手法が取り揃っている。
    品質道場では、マトリックスデータ解析法の代わりにブレインストーミングを入れている。

    マトリックスデータ解析法とは多変量解析の一つであり、顧客アンケート結果から顧客要求の傾向を掴む、などの応用に使える。しかし工場の改善活動などに関わる人たちに活用する機会は少ない。より汎用性が高く、活用できる場面が多いブレインストーミングを覚えた方が良いと考えている。

    ブレインストーミングは、学校教育にも活用されている。ホームルームの時間にブレインストーミングを活用している高校があるそうだ。また企業内での企画会議で、ブレインストーミングをすると良いアイディアが出るだけでなく、チームの結束が高まる、仕事が楽しくなるなどの効果がある。

    面白法人「カヤック」という変わった企業の創業者・柳澤大輔氏は社内でブレインストーミングを活用していると言っておられた。

    参考:「カヤックが社員に約束できること」」

    初めてQCC活動をするメンバーを集め、自工程や他の工程の改善課題をブレインストーミングであげると、あっという間に5、60個の改善課題が出てくる。「言えない問題」「言ってはいけない問題」が一気に噴出してくる(笑)
    工程の組長さんたちの関係が悪化するのではなかろうかと心配したが、無用の心配だった。逆に組長さんたちがお互いの苦労を理解し合い、助け合う機運が生まれた。
    ブレインストーミングにはルールがある。正しく運用すればこうなるはずだ。
    正しく運用しないと「話し合い」は「言い合い」になってしまう。


    このコラムは、2017年8月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第548号に掲載した記事に加筆修正しました。

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表現力

 独立して13年余り、多種多様な生産現場で改善のお手伝いをして来た。前職勤務時に生産委託先の指導をして来た期間を入れると20年余りになる。

生産委託先の品質・生産性改善指導をしていた時は、自分の中でこのくらいは改善できるだろうと目算し取り組んでいた。リーダシップを発揮し、指導先のリーダを巻き込んで改善する方式だった。

独立してこれでは効率が悪いことに気がついた。目標を提示し、改善方法を教え改善リーダを育成する。その結果業績に貢献し、改善リーダの能力も向上する。しかしそれは「与えられた経験」だ。自ら勝ち取った経験ではない。
そんなことを考える様になった。

問題発見能力・解決能力を高め、継続的に改善活動を進める意欲を高める。
これを効率よくやるためには、自分で問題を発見し解決する。そして達成感を感じることが必要だと考えている。

そんなわけでQCCストーリィを意識した指導をして来た。
改善活動のテーマ・目標も指導先のリーダたちが話し合って決める。もちろん自由気ままに活動してもらうわけではない。業績に直結するテーマを選ぶ様に、成果が出る様に導く。成果が達成感となり、継続の意欲が高まるからだ。

例えば、直行率が80%の工程の改善をする。目標は18%改善、直行率98%にする。こういう目標をメンバーが決めると、指導をするわけだ。

同じ活動テーマでも、言い方を変えれば「20%の不良を1/10に減らす」となる。同じことだが18%改善という目標より、不良を1/10に減少の方がより高い目標の様に感じる。成果も同様だ。達成感が違う。達成感が自信につながる。さらに改善効果を金額換算する。より実感が湧くだろう。

活動の内容も成果も同じだが、表現を変えるだけでメンバーの達成感が上がり、さらに改善を続けようという意欲が湧く。


このコラムは、2018年8月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第702号に掲載した記事に加筆しました。

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中国的QCC事情

 先週土曜日に,広東省質量協会,広東省科学諮詢服務中心主催のQCC成果発表大会「2011科技創新与QC小組成果発表大会」に招待され参加してきた.

1日半で50ほどのテーマ発表をするという,超過密スケジュールだった.
私は,家電メーカ・美的集団,エアコンメーカ・格力,志高,Welling,洗剤メーカ・立白,通信関連・Skywordなど16のテーマ発表を聞いた.全て中国企業のサークルだ.

昔,日本のQCCが活発だった頃を思わせる活気があり,発表者は皆活き活きと発表していた.彼らはまったく原稿を見ずに15分の発表をする.よほど練習をしたのであろう.十分熱意が伝わる発表であった.

発表内容は,ほとんどが不良低減など「問題解決型」のテーマであった.しかも全てが製造部門を中心とした発表であり,間接部門の発表はなかった.このあたりも,日本でQCCが活発だった頃と状況は似ている.

取り組んだ内容を見ると,設計問題としか思えない不良がいくつもあった.本来生産前に解消しておくべき問題点が,先送りされ工程内不良として認識され,対策を打っている,という状況にあるようだ.

初歩的な設計ちょんぼが散見され,まだまだ私が貢献できそうな領域が残っていると確信した(笑)

そんな中に1件だけ「課題達成型」といえる発表があった.
問題を解決するのではなく,「生産効率を2倍にする」の様な課題を設定して,それに取り組む活動を「課題達成型」と呼んでいる.したがって原因分析よりは「あるべき姿」を明確にし,現状とあるべき姿のギャップをいかにして埋めるのか,という活動になる.

問題を解消するのではなく,「現状打破」「新規業務」に対する取り組みには,課題達成型の活動が適している.特に間接部門の取り組みは,問題解決型のQCストーリィに違和感があり,課題達成型のQCストーリィで取り組むとうまく行く事例が多い.

今回の発表でも,課題達成型で取り組んだほうがうまく行きそうなテーマが他にも2件ほどあった.
問題解決型で取り組んでいるため,あるべき姿を明確にせずに,原因分析をして,「非要因」「要因」と振り分けてしまっている.「非要因」の中にあるチャンスを捨てることになる.

実は以前勤務していた会社では1990年代に,間接部門の取り組みや,更に大きな成果を目指した取り組みを活発にするために,「課題達成型」「顧客指向型」というQCストーリィを追加し,「問題解決型」QCストーリィと合わせ新しいQCストーリィを再構成した.

中国企業のQCCへの取り組みは,我々の1990年代の取り組みに一歩近づいたといえるだろう.発表会の熱気や,活動メンバーたちの熱意を考えると,日本をキャッチアップするのはそう遠い時期ではないと感じた.

50数テーマの発表の中に日系企業の発表は1テーマしか確認できなかった.うかうかしていられない.日系企業も,中国企業のQCC活動と交流し,刺激を受けた方がよい.

QCC活動の適切な指導をし,成果とともに,人材の育成を図らなければ,日本企業の優位点はあっという間に埋められてしまうという危機感を持った.

こちらの記事もご参照ください.「中国的QCサークル事情」

「課題達成型」「顧客指向型」の新しいQCC活動詳細については,こちら書籍をご参照いただきたい.
続QCサークルのためのQCストーリー入門


このコラムは、2011年4月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第201号に掲載した記事に加筆しました。

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視線を上げる

 以前メルマガで、二宮尊徳の「遠きを計る者は富み、近くを計る者は貧す」と言う言葉をご紹介した。

「遠きを見て計る」
参考:「二宮尊徳の経営学」童門冬二著

言うまでもないが、企業の中でも遠くが見えている者は仕事ができる。
目の前を見て仕事をしている者より、視線を上げ遠くを見て仕事をする者が大きな成果を出せるはずだ。

職位が上がれば視線も上げる必要がある。逆に言えば現状の職位より一つ二つ上位職の視線を持っている者が昇進するのだろう。

昨年から始めたQCC道場では、二期でのべ14サークルの指導をした。
経理、課長クラスがリーダのサークル、班長・組長クラスだけのサークルが混在した状態で実践活動を指導した。

例えば班長・組長だけのサークルは、作業効率改善のテーマで3人の作業を2人で出来るようにする、という目標を立てたりする。33%も効率が上がる。立派なテーマではあるが、少し視線を上げて課全体を見渡すことができれば、同じ改善で10人の作業を6人にすることも可能だろう。

当然班長・組長が任されている仕事の範囲からすれば、3人を2人に改善するだけで十分だ。しかし普段から視線を上げる訓練をしておけば、上位職に昇進しても即力を発揮できるだろう。

誰でもちょっとしたきっかけで、視線を上げることができる。「目から鱗が落ちる」と言うが、まさに上を遮っていた頭の中のフィルターがポロリと落下し視界が広がる。

教えるより気づかせる。
指導者対学習者の学びだけではなく、学習者相互の学びの効果を入れる。
QCC道場はこんな考え方で視線を上げ、実践により問題発見、問題解決能力と意欲を高めることを目指している。


このコラムは、2018年4月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第648号に掲載した記事に加筆したものです。

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