自主改善活動


 若い人には想像もできないだろうが、戦後の一時期まで、日本製製品は粗悪品の代名詞だった。日本から輸出される製品の評価は「安かろう・悪かろう」であった。

そのメイドインジャパン製品が、品質で絶対的な信頼を勝ち得たのは、日本の製造現場で働く人々の自主改善活動の貢献と考えている。

小集団活動、QCサークル活動、TQC活動、TQM活動と時代によりその呼称は変化したが,現場の労働者を中心とした自主的な改善活動が,メイドインジャパンと言うブランドを築いたと言ってよいだろう。

これがうまくいったのは、日本人と日本社会の特異性に依存する所が大きい。
細かい所に気配りする感性。
物事を極める所まで追求する精神。
均一性社会文化。

最後の均一性社会文化は、個性の発揮と言う点ではマイナスに働くが、チームの協調性と言う面ではプラスに働く。小集団活動に向いている。

では日本とは異なる中国で、小集団活動の成果は再現性を持つのだろうか?
多くの方はネガティブな考えをお持ちだと思う。
しかし私は、可能だと信じている。

日本人が細かい所に気配りが出来ると言うのは、細かい気配りが出来なければ居心地が悪くなる社会で生活しているからだ。
物事を極めれば尊敬される、そう言う事例を多く見て育ったからだ。

成人した社会人に、こう言う環境で仕事をしてもらう事は難しい事ではない。
社内の規則・制度をその様にすれば良い。少なくとも社内で仕事をする時に、その様な能力を発揮してもらえば良いのだ。

例えば、気配りが出来ると昇給・昇格する。仕事を極めれば昇給・昇格する、
そういう人事制度を作り、昇給・昇格の基準を明確にする。これで気配りが出来る人間になる意欲がわく。仕事を極める意欲がわく。

意欲が生まれれば、能力をつけるのは容易だ。
我々も細かい所に気が付く能力を先天的に持っていた訳ではない。訓練により身につけたモノだ。

例えば、問題の要因を漏れなく挙げる。起こりうるリスクを漏れなく挙げる。
こう言う訓練を具体的にするのが、新QC七つ道具と言われる手法だ。
我々は、子供の時から長時間かけて能力を身につけたが、ツールはそれを短縮する力がある。


このコラムは、2013年8月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第324号に掲載した記事です。

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