月別アーカイブ: 2023年7月

仲弓よ騂牛たれ

wèizhònggōng(1)yuē:“niú(2)zhīxīng(3)qiějiǎosuīyòngshānchuānshě(2)zhū。”

《论语》雍也第六-6

Create by 音読さん

(1)仲弓:姓はぜん。名はよう仲弓はあざな
(2)犁牛:農耕用の牛。黒と黄色のまだら模様。
(3)骍:生贄にする牛。赤い毛色。

素読文:

仲弓ちゅうきゅういていわく:“ぎゅうも、あかくしてつのあらば、もちうることなからんとほっすといえども、山川さんせんこれてんや。”

解釈:
孔子は仲弓についてこう言われた:“農耕用の牛の子であっても、赤くて角があれば、神に供える牛として使うことができよう。”

あからさまに言えば、家柄の良くない仲弓であっても能力さえあれば、それなりの地位につけるだろう。という意味でしょうか。孔子の時代には「実力」より「血筋」が優先されていたのでしょう。
あるいは孔子は、何かにつけ自分の家筋を気にして消極的な態度を取る仲弓の背中を押そうとしたのでしょうか。

仲弓南面せよ

yuē:“yōng(1)使shǐnánmiàn(2)。”

《论语》雍也第六-1

Create by 音読さん

(1)雍:姓はぜん、名はようあざな仲弓ちゅうきゅう
(2)南面:君主に位に就く事。

素読文:
いわく:“よう南面なんめんせしむべし。”

解釈:

孔子曰く:“雍は君主の風格がある。君主の位に就くことができよう。”

賢者・孔子は国を治めることはありませんでした。仲弓に期待していた様です。

今週の雑感:祝WBC優勝

 久しぶりに野球中継に釘付けとなった。中国で暮らしていた頃は、野球中継が見られなく(日本食呑み屋に行けば見る事はできるが、エンゲル係数が上が跳ね上がる)一球ごとにストライク・ボール、打球の行方、アウト・セーフ情報を更新するアプリで観戦していた。翌朝新聞記事を読めば事足りる話だが、それでも野球ファンとしては(ほぼ)リアルタイムで観戦したかった。

日本に帰国するのは春節の時期なので、野球中継は10年以上見ていなかった。
TV観戦は球場で観戦するのと比べれば臨場感は相当劣るだろうが、チャンスやピンチには思わず大きい声が出てしまう。その度に横で寝ている老犬を驚かすことになった(笑)

試合経緯や結果については読者の皆様は既にご存知のことだろう。ここでは触れない。

今・浦島太郎の自分には選手名でわかるのは大谷翔平くらいだ(苦笑)
なぜ侍ジャパンに外国人が入っているのかなど、TV観戦中に家人に質問して煩がられた。それよりも全く野球に興味がなかった家内が、選手の顔と名前を認識しているのに驚いた。日本国中ににわか野球ファンが増えた様だ。

日本のチームを見ていて、当然のことながら、日本らしいチームだと感じた。毎試合ベンチにユニフォームが2着吊るしてある。不思議に思っていた。調べてみると、代表に選ばれたが怪我などで出場辞退選手のユニフォームだという。

参加できなかった仲間を思う監督、コーチ、選手の想いなのだろう。こういうチームだから自分が持てる力以上の働きができるのだろう。


このコラムは、2021年3月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1423号に掲載した記事です。

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警報スピーカーにトイレ紙 運転士が音量絞る? JR西

警報スピーカーにトイレ紙 運転士が音量絞る? JR西

 JR西日本は6日、列車の緊急時に自動で非常ブレーキがかかる「緊急列車停止(EB)装置」で、運転席に設置されたスピーカーに紙を挟み、音量を絞る「細工」をしていたケースが計10両で見つかったと発表した。同社はスピーカー音をうるさく感じた運転士がかかわった可能性が強いとみており、
再発防止に向けて指導を徹底する。

 JR西によると、EB装置は2005年4月の宝塚線(福知山線)脱線事故を機に設置が義務づけられた。列車の運転席に設置され、1分間にわたって運転操作が行われないと警報音が鳴る。その際に運転士が確認ボタンを押すか運転操作をしないと、5秒後に非常ブレーキがかかる仕組みになっている。

 スピーカー音を小さくする「細工」が発覚したのは、山陰線で8月31日に発生したトラブルが発端だった。

 島根県東出雲町のトンネル内で、普通列車のEB装置が作動し、非常ブレーキがかかり停止した。運転士が「スピーカーの警報音が小さく気づかなかった」と報告。車両基地で調べた結果、スピーカー(直径約7センチ)のふたと本体の間にトイレットペーパーが挟まれていた。

 JR西が同じスピーカーの構造を持つ1594両を一斉点検したところ、山陰線のほか、和歌山線や山陽線、呉線などの車両9両でも同様の細工を確認。各路線の運転士約1300人から事情を聴いたが、だれが細工をしたのかは判明していないという。

 8月18日には、24両の電車で自動列車停止装置(ATS)の作動を知らせるスピーカーにテープが張られていた問題が判明したばかり。JR西は「安全に重大な影響はないが、運転室内の機器類の適切な取り扱いについて指導を徹底する」としている。

(asahi.comより)

 先週はメンテナンスのミスで事故が発生した事例をご紹介したが、今週のニュースはもっと深刻だ。まだ事故にはつながっていないが、今回の場合は「ミス」によるものではなく、「故意」によるものだからだ。

このニュースを見ると、かなり根が深そうだ。
今年3月31日に発生した事故から時系列に並べてみるとこうなる。

3月31日:JR西日本が、運転士が意識を失うなどした際に自動的に非常ブレーキをかけるEB(緊急列車停止)装置が働かない状態で、列車を運行していたことが31日わかった。2年間で少なくとも4件あり、このうち1件は装置そのものが取り外されたまま18日間運行していた。

8月4日:JR西日本が、運転士に急変があった場合に自動で非常ブレーキをかける緊急列車停止(EB)装置の電源が切れた状態で電車を運行していた
ことがわかった。定期点検時のミスが原因とみられる。今年3月にもEB装置を取り外したまま運行するなどの不備が4件発覚し、再発防止策を講じたはずだった。

8月16日:ATSは、ブレーキをかける必要性などを運転士に知らせ、必要な操作をしないと、自動的にブレーキがかかる。6月に運転士から「ATSの音が小さい」と申告があり、該当する320両を調べたところ、103系24両で、スピーカーにテープが張ってあるのが確認された。

JR西日本はこの事件に対して、真剣に再発防止を考えていないとしか考えられない。

3月31日の問題発見時に、ナゼ今回のスピーカの音量調整を防げなかったかが、問題だ。EB装置の電源が入っていないという事故から、EB装置の作動を知らせるスピーカにも「未然対策」を広げるべきである。

EB装置に電源が入っていない(EB装置そのものがない)という状況によって失われる機能は、

  • 警報音を発生する
  • 4秒後に緊急ブレーキをかける
    • である。

      これら失われる機能に対しどう対策をするのか、という視点が必要だ。
      素人である私にも、スピーカの点検は、3月の時点で行うべきものと分かる。

      8月16日になって、スピーカにテープが張ってあることに気がつき、再点検をしている。しかし9月4日にスピーカにトイレットペーパーがはさまれているのが発見されている。

      8月16日に見つかったのはATSのスピーカであり、9月4日はED装置のものだ。
      スピーカが違うので8月にはED装置のスピーカの点検は出来なかった、というのでは情けない。機能から類推すれば、容易に水平展開できたはずだ。

      こういうのをもぐら叩きと言う。

      もぐら叩きとなってしまう真因はかなり深いところにあると見ている。
      そもそもED装置が導入されたのは、2005年4月の宝塚線(福知山線)脱線事故を機に06年、国土交通省が省令を改正しED装置の設置を義務づけたからだ。

      ED装置、ATSともに運転手がブレーキ操作をしなかった場合に、自動的に緊急停止をかける機能を持っている。そのため毎回事件を発見した際の記者会見では「ATSがあるので事故にはつながらない」とJR西日本は釈明している。

      このような考えが根底にあり、毎回の対策が本気になっていないと推測して
      いる。

      例えば、ED装置が実装されていない状態で運転したという不具合が見つかった時に打った対策は、

      • メンテナンスで取り外す時は文書で報告する
      • 運転席天井にあるED装置の電源スイッチを確認するだった。
      • その対策は現場では守られず、8月4日にも再び、ED装置の電源が入っていない状態で運行していたのが発覚している。

      本気で対策するならば、作業者や運転手の注意力に頼るのではなく、ED装置が動作していなければ運転が出来ないように改造すべきだ。
      当然それにはコストがかかる。コストがかけられなければ、運転台にあるED操作スイッチのそばに、ED装置の電源と連動したパイロットランプを付けておくだけで、運転手の負担を増やさずに点検をすることが出来たはずだ。

      たぶん現場の全員が、国土交通省が出してきたED取り付けという宝塚線脱線事故の対策を信じていないからだろう。現場からかけ離れた「空論」で作られた対策は、効果がないばかりか、現場の統率も得られない。

      あなたの工場に、

      • なかなか改善できない不良。
      • 何度対策を打ってももぐら叩き状態になっている不良
      • 客先報告のため苦し紛れに再発防止を作ったが作業員が従わない。

      そんな問題があれば、ぜひ見直していただきたい。


      このコラムは、2010年9月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第170号に掲載した記事に加筆しました。

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忠信ありて学を好む

yuē:“shíshìzhī(1)yǒuzhōngxìnqiū(2)zhěyānqiūzhīhàoxué。”

by音読さん

(1)十室之邑:十戸ほどの小さな村
(2)丘:孔子の名

素読文:

いわく:“十室じっしつゆうかならずちゅうしんきゅうのごときものらん。きゅうがくこのむにしかざるなり。”

解釈:

孔子曰く:“十戸ほどの村なら、自分程度の忠信の者は必ずいるだろう。しかし私ほど学を好む者はない”

学を好み忠信なき輩は、害あるのみ。忠信ありて学を好まざる者は進歩なし。ということでしょうか。

過ちを自ら責める

yuē:“wèijiànnéngjiànguòérnèisòngzhě。”

《《论语》公冶长第五-27

Created By 音読さん

素読文:

いわく:“んぬるかな。われいまあやまちて、うちみずからせむものざるなり。”

解釈:

孔子曰く:“ひどい世の中になってしまったものだ。過ちを自ら見つけ自らを責める者を見なくなってしまった”

孔子の時代から、言い訳で問題を隠す者がいたようです。

巧言令色・足恭を恥ず

yuē:“qiǎoyán(1)lìng(2)gōngzuǒqiūmíng(4)chǐzhīqiūchǐzhīyuànéryǒurénzuǒqiūmíngchǐzhīqiūchǐzhī” 。

《论语》公冶长第五-25

(1)巧言:巧みな言葉
(2)令色:上辺だけ取り繕った表情
(3)足恭:度を越した恭しさ
(4)左丘明:姓は左丘、名が明。春秋時代、魯国の史学者。

Created By 音読さん

素読文:

いわく、巧言こうげんれいしょくすうきょうなるは、きゅうめいこれず。きゅうまたこれず。うらみをかくしてひとともとするは、きゅうめいこれず。きゅうこれず。

解釈:

巧言令色少なし仁と孔子は言っています。
本章では巧言令色・足恭は恥ずべき態度だと言っています。更にそういう人を友とすることも恥であると切り捨てています。