「誰がなぜ、こっそり補正? 厚労省の統計、広がる不信感」
「毎月勤労統計」の不適切調査問題で、厚生労働省が11日に公表した検証結果では、なぜ不適切な調査が始まり、どうして昨年1月調査分から本来の調査手法に近づける補正がされていたのか疑問点が多く残った。ほかの政府統計への影響もまだ見通せず、野党は追及姿勢を強めている。
「真実を統計で客観的に伝えることが使命。意図的な操作はまったくない」
厚労省の中井雅之参事官は11日の検証結果の会見で、昨年1月調査分から補正したのは賃金の伸び率が高く出やすいやり方に変更する意図的な操作だったのではと質問されると、こう強く否定した。
(以下略)
(朝日新聞デジタルより)
1月12日付の電子版記事だ。
内容をかいつまんで説明すると以下の様になる。
・厚労省が発表している毎月勤労統計は、従業員500名以上の事業所からの回答
を回収し平均給与などを調査、発表している。
・規則では全事業所のデータを収集することになっていた。
・東京都に関しては対象事業所の1/3をサンプリング抽出し全国平均を算出。
・18年から、東京都のサンプリング合計を3倍して全国平均を算出。
東京都分は1/3の事業所しか調査していないため、全国平均に与える影響が
小さくなる。それを補正するために東京都のサンプリング合計を3倍にして
平均給与を計算する様に変更した訳だ。東京都は給与が高めの企業が多いため、
計算方法変更後に平均給与が上昇した様に見えている。
新聞の論調は、アベノミクスに忖度し計算方法を変更したのではないか、との
論調だ(苦笑)
しかし問題はそこではないと思う。
なぜ東京だけサンプリング調査なのか?更に言えば、基礎データとして事業所
からの回答をそのまま使っているところだ。
ここを指摘すれば、東京都の事業所数が多くて職員を増やさねば対応できない、
などの理由が返ってくるのだろうか(苦笑)
しかし本当の問題は、縦割りの官僚組織にある。
平均給与を計算したいのであれば、税務署のデータを使えば勤労者一人一人の
正確なデータが手に入るはずだ。
厚労省から財務省に一言お願いすればよかったはずだ。
野党に転落しさらに分裂してしまった前政権の「事業仕分け」は何だったのか
と言いたいところだ。
誰だって正確な統計データはすでに有るとわかっていたはずだ。
それをわざわざ人手をかけて不正確な統計情報を公開していた訳だ。
このコラムは、2019年1月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第771号に掲載した記事です。
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