初代iPodナノ、過熱のけが4人に なおリコールせず


 米アップル製の携帯デジタルプレーヤー「iPodナノ」の初代モデルが充電中に過熱・焼損する問題で、消費者庁は27日、新たな事故が起きてユーザー1人がやけどをしたと発表した。これで事故は27件目、負傷者は計4人になった。経済産業省はリコール(回収・無償修理)するよう再三求めているが、同社は応じていない。

 問題のモデルは「MA004J/A」「MA005J/A」「MA099J/A」「MA107J/A」の4機種で、2006年9月までの1年間に計181万2千台が販売された。これらの一部のバッテリーは製造不良があり、充電中に最高約200度まで過熱する恐れがある。

 消費者庁によると、新たな事故は今月13日、東京都で起きた。充電中に製品から火花が出て破裂音がし、ユーザーが製品に触れた際に指先にやけどを負ったという。

 事故は07年11月から起きており、うち6件は消防機関から火災と認定されている。しかし、同社はリコールという自主的な対応はとらず、実際に過熱などが起きて顧客窓口(0120・27753・5)に連絡してきた人に限り、バッテリー交換に応じている。同社広報部はその理由について、これまでの取材に対しては「重大な人的被害や物的損害は報告されていない」と説明してきた。この日は「対応できる者がいない」としてコメントしなかった。

 経産省製品安全課は「アップル社の対応は十分でないと考えており、注意喚起のやり方も含めて積極的な対応を促していく」と話している。

(asahi.comより)

 アップル社の対応が理解できない。
火傷、火災の危険性があれば、社告、回収修理をするのが常識だ。

アップルのホームページには以下の告知がされている。

弊社は、ごくまれなケースとして2005年9月から2006年12月に販売された第1世代 iPod nanoのバッテリーが過熱を起こし、使用ができなくなったり、変形していることを確認しました。弊社はこのような事故の報告を何件か受けており(すべて第1世代iPod nanoであり、0.001パーセント未満です)、これらは一つのバッテリー・サプライヤーからの供給であることを特定しています。これまで、重大な人的被害や物的損害は報告されておらず、また他のiPod nanoのモデルについてはこうした報告はまったく受けていません。

第1世代のiPod nanoをお使いでバッテリー過熱を感じられたお客さまは、AppleCare(顧客窓口)にて交換いたしますので、ご連絡をお願いいたします。
 また、他の第1世代iPod nanoをお使いのお客さまで少しでもご不安を感じられた方も、AppleCareにご連絡ください。

回収はしないが、交換修理をする。というスタンスだ。

事故発生率が0.001%(10ppm)未満であると言っているが、安全事故の場合は事故発生率はゼロでなければならない。

また事故が製品出荷開始後2年目から始まっている。
事故が「寿命故障モード」で発生している可能性がある。この場合現在の事故発生率は余り重要な意味を持たない。事故発生率は徐々に高くなるはずだ。

iPodの様なコンシューマ製品は、2、3年で使わなくなる。
私は未だに第二世代のiPodを使っているが、そのような消費者は少数派だろう。5年前の製品の回収を告知しても、ほとんど戻って来ないのが実情だろう。

大事になる前に、回収告知をしてしまった方が、良い結果につながるはずだ。

iPodは、簡単には電池を交換できない構造となっている。
新しいiPhoneは内部電池が接着剤で固定されていると、聞いている。同様に初代iPod nanoの電池が交換不可能な実装形態だとすると、本体ごと新品交換をしているはずだ。この場合、既に初代iPod nanoの生産は終了しているので、完成品在庫の数だけしか対応が出来ない。これがアップル社が自主回収を拒んでいる真の原因なのではないだろうか。

過去の製品でも、月産100台でも、生産可能ならば、アップルのピンチを救い、自らの成長のチャンスとすることが出来る。大量にモノを作るだけではなく、この様なモノ造りが出来る企業に、今後成長のチャンスがあると考えているが、いかがだろうか。


このコラムは、2010年8月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第164号に掲載した記事です。

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