究極のモノづくり


モノ造りの時代
書籍名:ものづくりの時代―町工場の挑戦
著者:小関 智弘
出版社:日本放送出版協会


伊勢神宮の建て替えに使われた和釘は,木材の中に節があってもそれをよけて中に進むそうである.その秘訣は,のの字型をした釘の頭,鉄の鍛え方にある.
こういう和釘が1300年も前から使われている.

こういう和釘は「究極のモノ」と言っても差し支えはないだろう.

私の考えている「究極のモノ造り」は,こういう技術を代々1300年も伝えるということだ.

実はこの和釘を作ってきた伊勢の船大工は,伊勢湾での漁業の衰退と共に,途絶えてしまっている.
現代にこの和釘を蘇らせたのは,新潟・三条の鍛冶屋さんだ.
彼らは「三条鍛冶道場」を作ってこのモノ造りの技術を次の1000年後に伝えようとしている.

この和釘のように古い日本のモノ造りの技術を代々伝えて行くのも「究極のモノ造り」と言えるだろう.
伊勢神宮は20年に一度遷宮により建て替えられている.
世界の遺跡が,建物そのモノを残しているのに対し,日本の遺跡はその建造物のココロや技術を継承しているといえるだろう.

たかが釘,設計技術的にはローテクかもしれないが,モノ造り技術的にはハイテクだ.
こういう技術こそ,日本国内で守ってゆかなければならない技術だと思う.

ものづくりの時代 町工場の挑戦

アマゾンで見ると,この本は既に絶版になっているようです.
このような素晴らしい本がすぐに絶版になってしまうのは大変悲しいものです.

しかし古本が1円から出品されているので,まだ救いはありますね.

町工場・スーパーなものづくり

同じ著者・小関氏による,中小企業モノ造りの書籍

鉄、千年のいのち 

著者の白鷹氏は法隆寺の建て直しの時に和釘を造られました.