四次元ポケット


 土曜日の昼下がりYoutubeでBGMを聞きながら仕事をしていたら、スポットCMで「四次元ポケット」というプロジェクトを知った。

日本の中堅・中小企業の力を組み合わせ、世の中をあっと言わせる物を開発しようと言うコンセプトだ。富士ゼロックスがサポートしている。
富士ゼロックスのホームページから引用すると、

「四次元ポケットPROJECT」コンセプト
これからの日本を支える大きな原動力。それが中堅・中小企業のチカラです。
いま、その得意分野を組み合わせることができれば、世の中があっと驚くようなモノをどんどん実現していくことでしょう。
わたしたち富士ゼロックスは、ITソリューションによるさまざまな支援を通して、中堅・中小企業のビジネスを加速させていきます。

「四次元ポケットPROJECT」概要
国民的人気を誇るまんが「ドラえもん」。
22世紀からきたドラえもんは、四次元ポケットから次々に「ひみつ道具」をとり出し、のび太くんのピンチを助け、夢を叶えてくれます。
こんな「ひみつ道具」がいま実在したとしたら、どんなに楽しいのだろうかと私たちは考えました。そして、複数の企業の技術を駆使して実際に「ひみつ道具」作りに挑戦するという夢のプロジェクトを立ち上げました。
それが「四次元ポケットPROJECT」。
実在する企業の技術やノウハウをそれぞれ連携することで、1社では不可能だった新たな価値を生み出すことができる。
富士ゼロックスはこのプロジェクトに参加する企業の連携をITソリューションで支援します。第二弾は「望遠メガフォン」。

望遠メガフォンとは、ドラえもんのポケットから出て来る秘密の道具で、遠方にいる人にピンポイントで音声を届ける拡声機だ。
望遠メガフォンを造ったプロジェクトメンバーは、ユカイ工学、GOCCO、クロスエフェクト、スイッチサイエンス、海内工業、三和メッキ工業の精鋭達だ。

設計の中心となったユカイ工学は、ロボットベンチャーだ。ロボットと言っても彼らの造るロボットは、産業用のロボットではない。脳波を検出し、感情の変化を耳の動きで表現する「ネコ耳」など、今何の役に立つのか良く分からないが(笑)将来とんでもないアプリケーションに化けそうなモノを造っている。

それを筐体設計、回路基板、板金、メッキの技術を持つ会社が一緒になって、望遠メガフォンのプロジェクトに取り組んだ。ドラえもんの玩具と笑ってはいけない。

超高指向性のスピーカ、肉厚さが違う支柱をプレス技術で造る、距離測定用のレーザ測長機、紙製プリント基板、3Dプリンターを駆使した筐体作成、など各社の技術を持ち寄って完成させた。

それぞれは小さな会社でも、それぞれの技術を持ち寄れば、面白い物が造れる。
それを広告宣伝の形で、大企業がスポンサーする。
こういう動きがもっと盛んになれば、新しい産業が出来るだろう。

先週のコラムにも書いたが、19世紀の産業革命以来、20世紀の軍需産業、21世紀のロボット産業と進化して来た産業に、「おもしろい」を核としたネットワーク型の全く新しい産業が生まれる予感がする。

中小企業連合が活躍した、まいど一号(宇宙衛星)、江戸っ子一号(深海探査機)は、中小企業でも高度な製品を開発製造する事を証明した。
四次元ポケットプロジェクトは、実用よりは将来の夢を造るプロジェクトといっても良かろう。

我々も中国モノ造り企業の力を集め「ニイハオ一号」プロジェクトをやってみたいモノだ。何を造れば良いかはまだ分からないが、残りの人生をかけて見たいと思っている。


このコラムは、2014年9月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第377号に掲載した記事に加筆しました。

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