最近「嫌われる勇気」と言う本を読んだ。ベストセラーだから読んだ訳ではないが、人のモチベーションに関係ありそうな本だったので読んでみた。
哲学者と悩める若者の対話、と言う物語形式で「アドラー心理学」の入門書となっている。馴染みのあるフロイト流の心理学とは、違う視点で人のココロに付いて書いた本だ。
今までアドラー心理学を知らなかった事を悔いた(笑)
「人は感謝された時に、他者に貢献出来たと感じる。そして自分が価値ある存在だと思えた時にだけ勇気を持てる。」
と言う文章を読んで、勇気を持てる状態と言うのが、モチベーションが高い状態だと理解した。だから部下のモチベーションを上げたければ、褒めるより感謝する方が効果が高いはずだ。
以前メルマガで紹介した、障がい者雇用で有名な日本理化学工業のエピソードを思い出した。
日本理化学工業に勤務する知的障がい者のA君は、しばしば無断欠勤をする。
彼はチョークの生産ラインの最後で、ベルトコンベアーに乗って運ばれて来るチョークを梱包する係だ。A君が休むと、監督職がピンチヒッターとして、ラインに入る。そして監督職としての仕事ができなくなる。
困った監督職者は、A君をラインの外に連れ出して、自分がいないラインを見せた。ベルトコンベアーに乗ったチョークは、次々と床の上に落ちてしまう。
A君は、自分が休むと皆に迷惑がかかる事、普段自分が人の役に立っている事を理解出来た。その結果A君は、熱があっても出社してしまう様になる。
健常者も知的障がい者も、モチベーションのあり方は同じだろう。
人から頼りにされている、役に立っていると、実感出来た時にモチベーションは上がる。だから「褒める」より「感謝する」方が効果が高いのだ。
友人の若手経営者は、しょっちゅう従業員に「ありがとう」と言っている。きっと彼も、感謝の力を知っているのだろう。私も小林正観先生の教えに従い「ありがとう」と言っている。相手がいない場合は独り言で「ありがとう」と言っている(笑)
アマゾンの読者書評が、アドラー心理学を上手くまとめていた。以下に紹介しておこう。
「私は、過去にまったくの畑違いの職場に異動となり、これまで築いたキャリアもご破産、周囲の目も厳しく、応援も得られず孤立したので、やがて心身ともに悲鳴を上げ、2回の休職を繰り返してしまいました。それは辛い日々でした。」
そんな私に、これは衝撃の一冊となりました。
さっきの「 」の文章は、本書を読めば、このように書き直さなくてはなりません。「私は、新しい職場で『役立たず』と人から評価され傷つくことを過度に恐れ、それを回避するため休みました。心身ともに悲鳴を上げたのは、それにより休むことができるからです。辛いですが、休めば傷つかなくて済みます。そして、休むという目的のため、『畑違いの職場への異動』『キャリアがご破産』『周囲の目が厳しい』『応援も得られず孤立』という一連の理由を、後から後から探しました。」
これは衝撃ですよ。衝撃と言わずして何という。(以下略)
このコラムは、2015年2月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第411号に掲載した記事に加筆しました。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】