中国人のモチベーション


 読者様からこんなご意見をいただいた.

最近は中国の若者(30代前半から下)と話す機会はありますが、逆に日本の若者と話す機会が少ないです。

中国のホワイトカラーの若者は、収入と同様に自分のスキルアップを考えている人が大半かと思います。会社は給料得る場と同時にスキルを身に付ける場と考えています。
ですから新しい仕事にも貪欲なほど真剣に取り組んでくれますね。
むしろ日本の若者の方が、目先の給与や仕事のラクさで、仕事を選り好みしているように感じます。

私が今駐在している会社の中国人若者には、
「この会社にいる日本人(私以外に3人いるが、その方は皆団塊の世代の方)は、みんな日本の製造業が安かろう悪かろうを売り物にした時代が終焉を迎え、人件費上昇や幾多の不況を技術革新で乗り越え時代を引っ張った人たちです。
その方たちから直接指導を受けられることを幸運だと思って欲しい。
あと10年もしたらこんな機会はカネをだしてもない。もちろん私も幸運に思って指導を受けている。」
と話しています。

私もまったく同感だ.
この読者様が中国人リーダたちにすばらしい指導をされているのが良く分かる.

中国で工場を経営されている方の中には,
「中国人に教育をしてもすぐに辞めてゆく.教育にかける時間もコストももったいない」
「中国人にノウハウを教えてしまうと,自分たちの競争優位点が失われる」
とお考えの方がまだまだいらっしゃる.

しかし逆に中国人幹部の教育に熱心に取り組んでおられる会社ほど幹部の離職率が低い.
中には二番手三番手のリーダに成長の機会を与えるために,ナンバーワン幹部が辞めてゆく仕組みを真剣に考えておられる方もある.

また教えてしまって簡単に真似の出来るノウハウはノウハウとは呼ばない.日本のモノ造りの本当の強みは,毎日改善を続ける「改善体質」にあると考えている.これは簡単には真似が出来ない.

中国人リーダ達の「成長意欲」をモチベーションの源泉とし,成長のための「場」と「機会」を与え続けるのが,経営者や経営幹部の仕事だと思っている.


このコラムは、2008年7月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第44号に掲載した記事に加筆しました。

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