部下の基準を上げる


 読者様からメールをしばしばいただいており、メルマガでもご紹介している。
今回は、特に印象深いメールをいただいた。大学4年生の方からのメールだ。多分このメールマガジンの読者様の中で、最年少の方ではなかろうか。

※W様のメッセージ
すぐれた技術や能力を持っていてもそれを必要とするニーズや上手く売り出すマーケティング力がないといけない、というのは就活にも通ずるものがあるのかもしれません。
どんなに頭が良くても、それを面接の時に上手くアピールしなければいけないし、いくらすごい技術や特技を持っていてもそれがその会社にとって必要なものでなければ雇っては貰えません。さほど成績が良いわけではないのに内定をいっぱい貰うような人は自分を売り出すプレゼン力や企業のニーズを見分ける力があるのかもしれません。
自分もそのような力を身に付けられるよう、意識しながら頑張りたいと思います。

非常に志の高い若者だと関心した。
感想を下さったコラムは、ローソンのPB商品開発の新聞記事に対するモノだ。全く違う分野の話題を、自分の事として引き寄せて理解する能力がある。

実はこの方には、「就職」という所にゴールを置くから、企業のニーズにしか気が向かない。就職の更に先にある「人生の目的」にゴールを置けば、社会のニーズに応えると言う視点が持て、更に大きな使命に気がつくはずだ。と言う趣旨の返事を書いた。

普通の学生さんならば、良い気付きですね。頑張ってください。と言う趣旨の返事を送ったと思う。しかしこの方にそんな返事を書いては失礼だと言う思いがわき、書き直した。

この様なやり取りは、キャッチボールを同じだと思っている。
息子が小さかった時には、捕り易い様に下手投げで投げてやったモノだ。
私が小学生の頃、一度だけ父親とキャッチボールをしたことがある。父親はしゅるしゅると回転のうなりを上げるボールを投げ込んできた。私は捕球するのが精一杯だった。10球も受けないうちに私の左手はグローブの中で真っ赤になっていた。内気な少年だった私が、野球をやる様になったのが、父親には嬉しかったのだろうと思っている。そして小学生だった自分も、父親に対等に扱って貰えたと感じたモノだ。

野球のノックが上手いコーチは、後一歩で届かない所に打ち込むと言う。つまり全く捕球出来ない所に飛んできたボールは、選手のモチベーションを上げない。あと少しで捕れる打球を追い続けているうちに、自分の守備範囲が広がる。こういう訓練が選手の「基準」を引き上げることになる。

あなたはご自分の部下の良いコーチになっていますか?
褒める事も大事だけれど、相手の基準を上げる様なノックを打ち込む事も重要だ。


このコラムは、2014年4月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第357号に掲載した記事に加筆しました。

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