スピード出すぎる滑り台


スピード出すぎる滑り台、15人がけが…オープン前に使用禁止

 生駒山上遊園地(奈良県生駒市)にある滑り台で6、7両日、子ども約15人が頭に軽いけがを負っていたことがわかった。滑り台は、13日にオープン予定の有料ゾーンに新設され、子どもらはプレオープンに招かれていた。遊園地の運営を手掛ける近鉄は、当面は使用中止にするとしている。

読売新聞オンラインより

 記事によると、滑り台はチューブ形で長さ25メートル、高低差10メートル。負傷した子供達は滑走中に上部に頭をぶつけ、たんこぶや擦り傷ができた。スピードが出すぎて、体が浮き上がるなどしたことが原因と考えている様だ。

更に近くにある別のチューブ形の滑り台では、8日に女性従業員が試験的に滑った際、右足が引っかかるなどして骨折している。

遊具業界での評価手法に関して無知だが、今回の事故を「妥当性評価」で発覚した不適合と考えて見た。

まず安全性を考慮に入れて設計する。体格、体重などにより滑り台の諸元を決定るす。設計結果はシミュレーションや過去の知見などにより問題ない事を設計検証する。
完成した滑り台現物が設計諸元と一致している事を確認するのが、検証評価だ。
そのあと実際に使用して見て、設計時に想定できなかった使用法がないことを確認するのを妥当性評価という。
妥当性評価の最終段階では、実際に子供が滑って想定外の滑り方がないことを確認する。

記事だけでは判然としないが、安全性の検証評価が完了する前に妥当性評価を行ってしまった様に見受ける。

6、7日の事故が発生した時点で安全性検証をやり直すべきだった。しかし8日には女性職員が骨折する事故を発生させている。「骨折」と記事に書いてあるが「全治◯ヶ月の重傷」と表現すべき負傷なのではなかろうか?

13日の営業開始に合わせて、本来行わなければならない確認ステップを省略してスケジュールの遅れを挽回しようとしたのではなかろうかと疑念を感じる。

安全より優先すべきスケジュールなどない。


このコラムは、2019年7月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第850号に掲載した記事に加筆しました。

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