安全教育


 どの企業も事故の未然防止の一環として安全教育を実施しておられるだろう。
例えば粉塵爆発。アルミニウムの粉塵や、小麦粉の粉塵は一定の条件がそろうと爆発する。当然そのような業界で仕事をしておられる方には、既知のことであり、対策をしっかりし、新人にも安全教育をしておられると思う。
しかしそのような事故は、門外漢には分からないことだ。事故は繰り返し発生している。

失敗学の大家、畑村教授も学部に進学してきた学生にご自身で安全教育をしておられる。学生にとって思わぬところに危険があることを知ることは重要だ。
しかし教える側にとっては、毎年同じことを話しておりマンネリ化してしまうと、畑村教授は自省しておられる。毎回同じことを話す繰り返し作業をする者の気持ちが、教育対象者に伝わってしまうものだ。

教師は毎年新しい学生に同じことを教え続けなければならない。10年間同じ講義ノートを使い続けるなどということもあるだろう。こういう教授の講義を受ける学生は退屈を感じる。(これは畑村教授のことではなく、私の体験であることをお断りしておく)

企業の安全教育も同様な事に陥る事があるはずだ。しかし安全事故は絶対に防止しなければならない。

私の工場経営の師匠である原田則夫師は、新入社員教育を入社2年目の社員にさせていた。新入社員は一つ上の先輩から教わる。下手をすると教育係が年下になることもありうる。しかし教育係を買って出た社員は、昨年学んだことを自分の目線で話をする。講義に先立ち昨年学んだことを再学習する効果もある。教わる側も、はるかに年長の部長さんから教わるより、同年輩の先輩から学ぶ方が、親近感を持てるだろう。

参考:原田則夫

教育係に丸投げしたのでは、効果は期待できない。
教育係をチームにし、教え方を研究させる。研修内容・効果を確認しフィードバックする。このようなやり方で研修効果を上げるだけではなく、意欲のある班長候補が育っていくはずだ。


このコラムは、2018年3月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第640号に掲載した記事に加筆修正しました。

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