「印影を間違えたから」94万人の通知再送付 年金機構


 国から公的年金の運営業務を委託されている日本年金機構が、間違った印影が印刷された国民年金保険料の通知を年金加入者に送っていたことが分かった。千葉、新潟、長野の3県在住の約94万人分に上り、訂正版を再送付した。受注業者のミスのため、再送付にかかった費用は業者負担となったが、同機構は「不手際で迷惑をかけ、大変申し訳ない」としている。

 印影が間違っていたのは、国民年金保険料の控除証明書(10月1日付発行)で、所得税の確定申告などをする際に添付する書類だ。証明書は「歳入徴収官 厚生労働省年金局事業管理課長」名で出されるが、別の役職者の「支出官厚生労働省年金局事業企画課長」と記された印影が印刷されていた。確定申告などで証明書を提出すれば、その年に支払った国民年金保険料の全額を所得控除できるが、印影が間違っていると証明書としての効力がないという。

 同機構によると、3県分を受注した業者が、別の受注業務のために保管していた印影を印刷した。機構は送付前に確認したが、気づかなかったという。証明書は10月下旬~11月初めに発送され、誤りに気づいた年金加入者から
の連絡で判明した。

(asahi.comより)

 なんともお粗末なミスだ。
実は私も以前同様な不具合に直面したことがある。

製品に貼り付ける主銘板ラベルの安全規格ファイル番号が間違っていたのだ。ラベルはこちらでデザインしており、ラベル業者には版下データで渡しているのでこのような不良が発生するはずが無い。

調査の結果、その業者はこちらが渡したガーバーデータが読めずに、確認用のPDF図面から自分達で版下データを起こした。この時に安全規格ファイル番号を間違えて転記してしまった。ということが分かった。

中国では、しばしばこういうことが起きる。
データフォーマットが読めないと分かった時点で、連絡・相談してくれれば何事も発生しなかったはずだ。

勿論この事故はラベル業者の責任である。しかしラベル業者の責任として片付けてしまえば、再発防止ができない。この様な場合も、自己責任と考え再発防止を検討する。

データ出図時のチェックリストに、データファイルタイプの確認を追加し、設計作業者と購買担当者が確認をすることとした。

上記のニュース記事によれば、年金機構には責任が無いような書き方がしてあるが、業者のミスをそのまま顧客に流出させた責任はある。

私の事例では、工場の受け入れ検査で間違いを見つけており、生産現場、顧客には一切迷惑をかけることは無かった。

ところで今回と類似の事故を想定してみよう。
ありがちなのが、設計変更前の部材が誤納入される事故だ。
発注側も、業者も設計変更直後は「変化点管理」で十分注意しており、事故は発生しにくい。しかし設計変更後2回目、3回目の発注で、レビジョンの古い物が納入されると言う事故はありがちだ。

これを防止するために、図面は発注・納入ごとに出図・返却するようにしておくのが効果的だ。

社内においてはISO9001の仕組みにより、図面の最新版が閲覧されるように保障されているはずだ。しかし業者における外部図面の最新版管理を保障するのは容易ではない。
勿論、仕入先を選定する際に、それが保障できるかどうかを監査しているはずだが、それが維持できていることを保証することはそれほどたやすくは無い。

発注時に加工図面を渡し、納品時に図面を回収する。こうすることにより、業者側で旧図面に従って生産をしてしまう事故は防げる。


このコラムは、2010年12月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第182号に掲載した記事です。

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