キックオフミーティング


 先週は東莞の家具工場を訪問した。この工場は欧米、日本、国内向けに中級以上の家具を生産している。開業して10年ほどの工場だ。中国人若手経営者が次のステップを目指し、私に指導依頼をしてきた。

初回は経営者・経営幹部に集まってもらいキックオフミーティングを実施した。
このミーティングの狙いは、活動の方向性を共有し、メンバー各自の役割をコミットメントしてもらうことだ。

会議室には16人もメンバーが集まっており、ちょっと当惑した。経営判断をしている人たちとミーティングをするつもりだった。想定していたのは5、6人。
この会社では製造部門が、工程ごとに分かれており、それぞれの部門の主管が会議室に集まっていた。いきなり現場リーダを交えたキックオフとなった。

彼らと一緒に2時間かけて、活動の目的・目標を決定した。
その目的・目標は、
「華南で最初に日系顧客から全数検品を免除される家具工場になる」

日本の家具業界では、中国の委託先工場で生産した家具は100%検品するのが常識となっているらしい。それらの顧客から、品質に関する信頼を勝ち取り検品を免除してもらおうというのが目標だ。

プロジェクトが解決しなければならない重要課題を8個決め、3つの戦略的取り組みに対する全員の役割を決定。その活動に対するコミットメントを得た。

最後にプロジェクトの名称を皆で考え『百分百』とした。
100%良品を生産する、と言う意図がこめられている。

そして最後に総経理の音頭で、『百分百』を3回シュプレヒコールして会議を終了した。この会議で参加者16人のうち15人の思いはひとつになったようだ。

一人だけ、白けた小母さんがおり、会議中ずっと気になっていた。
彼女は財務担当だと後で分かった。きっと総経理が、いかさまなコンサル会社にだまされてムダ金を使わないか監視に来ていたのだろう(笑)

彼女が会議室を出るときの表情を見る限り、ムダ金ではなさそうだと理解してくれたように思う。


このコラムは、2010年12月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第182号に掲載した記事です。

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