続・平均値と中央値


 以前のメールマガジンでコロナウイルス症治療薬の臨床試験で効果の判定は治験薬とプラセボの中央値を比較して行うと解説した。

メルマガ1056号「平均値と中央値」

それに対してこちらのニュースでは平均値で70%の有効性が確認できたと言っている。

「英アストラゼネカ ワクチン臨床試験暫定結果 平均70%の有効性」

中央値と平均値のどちらで評価するのが正しいのか?と疑問に思われた方もあると思う。再度平均値と中央値について解説したい。

治療薬の臨床試験では、治療薬を処方したグループとプラセボ薬(効果のない偽薬)を処方したグループで各々治癒に要した期間を比較評価する。この際、プラセボ群と治験薬群の治癒期間の中央値で比較評価する。これは治癒期間がすごく早い、または遅いという「離れ値」があるため平均値がそれぞれの群の特性を代表しないため、代表値として中央値を使って評価する。

一方、ワクチンは予防薬であり治癒期間を比較できない。ワクチンの効果は抗体ができたか、できなかったかで評価する。ここで平均70%と言っているのは、ワクチンの摂取量を変えて試験したところワクチンの有効性は高いもので90%、低いもので62%、平均で70%という意味だ。

コロナウィルス感染者が急激に増えている。記事によるとアストラゼネカは来年30億回分を生産可能にする、とある。第三波の鎮静化には間に合わないと思われる。


このコラムは、2020年11月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1065号に掲載した記事です。

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