「顧客満足」という言葉が当たり前になっている。顧客とは次工程であり、その顧客の顧客も顧客だ。最終的には市場で製品を購入していただいた消費者も顧客である。次々と顧客満足を鎖の輪のように繋いでいくことで顧客満足のリンクが完成する。その顧客満足チェーンの一つのリンクが壊れても顧客満足は達成できなくなる。
今更当たり前のことを書いたが、実は信じられない最悪の事例を体験した。
顧客満足の反対は顧客不満足である。顧客満足は顧客満足チェーンの一つ一つの努力の上に成り立っている。しかし顧客不満足はそのチェーンの一つでも機能しなければ、すべてのチェーンの努力は水泡に帰す。
日本で購入したブルートゥース・イヤホンが故障したため近所の電気店でブルートゥース・イヤホンを購入した。有名ブランドの製品だが割引で格安になっていた。通勤時にオーディオブックやPodcast、ランニング中に音楽を聴くために使っている。音質に対する要求は高くない。要求はただ耐久性のみ。
しかし、一週間もしないうちに大音量の雑音を発して壊れた。
当然このような顧客不満足を解消するために初期不良品の無償交換を保証している。しかしこれは「顧客満足」ではなく「顧客不満の解消」でしかない。
もしアフターサービスを顧客満足に繋げようとするならば、顧客の使用状況を尋ね、故障原因を特定し、製品設計・製造方法の改善をしなければならない。
しかし不良品を工場に返却し代替え品を受け取っても、故障原因の報告はない。
まぁ、通常の消費者がそのようなことに興味を持っているとは思えないので、そこは許容範囲としなけらばならないだろう。しかし送られてきた交換品は充電もできないし、最初のペアリングもできない不良品だった。
返却の際に取扱説明書を同梱するのを忘れたら、代替え品には、丁寧にも、取扱説明書は添付されていなかった。わざわざ取説を取り除き代替え品を発送したとしか思えない。
今回の事例で「顧客不満の解消」どころか「顧客不満の増長」となり、結果として「ブランド不信」という最悪の結果となった。
正しいクレーム対応で「顧客不満の解消」だけでなく「顧客支持」が得られた事例もある。
少なくとも今回の事例で、私は今回購入したブルートゥース・イヤホンメーカの製品は二度と買うことはないだろう。
このコラムは、2021年8月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1176号に掲載した記事です。
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