消えたペヤング 虫1匹に払う数十億円の代償


消えたペヤング 虫1匹に払う数十億円の代償

 カップ焼きそば「ペヤングソースやきそば」が全国から一斉に姿を消した。原因は商品混入を指摘された1匹の虫。製造する「まるか食品」は全商品を自主回収し、生産を全面停止。数十億円かけて設備の刷新も検討しており、周囲から「そこまでやるのか」と驚きの声も漏れる。年間売上高約80億円の中堅企業にとって負担は重い。まるか食品はなぜ、これほどの「代償」を払うことにしたのか。そして耐えられるのか。

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(日本経済新聞より)

 虫一匹で、年商80億円の会社が潰れるかも知れない。
市場からの回収費用、生産設備の刷新などで数十億の費用がかかると言う。更に、生産停止による機会損失や、従業員の雇用を考えれば、年商分くらいの金額は吹き飛んでしまうだろう。最も深刻なのは、消費者の信頼を失ってしまった事だ。これは金額では換算出来ない。未来に渡って課せられた負債となる。

品質問題で、企業が丸ごと無くなってしまったのを何度も見て来ている。

品質保証関連の仕事をされている方は、対岸の火災と、高みの見物をしている場合ではない。自社の中を再点検する必要があるだろう。特にB to C製品を扱っている場合、今回の様に一発退場を、食らう事がある。

以前勤務していた会社は、B to B製品を取り扱っていたが、私がいた事業部でB to C製品を、販売したことがある。当時品質保証部長をしていた私は、自社製品の噂がネットに出ていないか、日々検索していたモノだ(苦笑)
幸い、たまに検索に引っかかるのは商品に好意的な書き込みしかなかったが、毎日ヒヤヒヤしていた。当時東芝クレーマー事件が話題になっており、神経を尖らせていたモノだ。

このような問題を回避するためには、潜在的問題を先手で改善しておくしか方法はない。新聞記事には「初動の対応が悪い」と指摘があったが、事が起きてからでは遅いのだ。

例えばペヤングの工場内部の写真(多分工場勤務者からの漏泄だろう)を見ると、お世辞にも奇麗な工場とは言い難い。食品工場としては、かなりお粗末だ。とても顧客に公開出来る工場ではない。設備を更新したとしても、今のままの設備管理では1年で顧客に見せられる工場では無くなるだろう。基礎化粧品のメーカが、毎日生産設備を分解清掃している事を、TVコマーシャルに流した事がある。もし、まるか食品にまだチャンスが有るとすれば、このくらいの事をやらなければ、失われた信頼は取り戻せないだろう。

問題が起きてしまってからでは遅い。
品質保証の本来の仕事とは、発生した問題の後処理ではない。問題が起きない様にする事が、本来の品質保証の仕事だ。


このコラムは、2014年12月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第404号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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