シリコンバレーで注目される投資家ピーター・ティールと糸井重里の対談記事にこんなフレーズが出ていた。
『アンナ・カレーニナ』(トルストイ)の冒頭に、「幸せな家族はどれも同じように見えるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」と書かれています。
ビジネスにおいては、その反対が真実だと考えています。
幸せな企業は、それぞれの形があるのです。それぞれ、独自のことを行っているからです。
一方、不幸せな企業はどれも似通っています。つまり、他社との類似性から逃れられていないのです。だからこそ、不幸せなのです。
つまり同じような事業ドメインで、同じような商品・サービスを、同じような戦略でビジネスをしていれば、必然的に競争となる。競争は企業にとって不幸。独自ドメインで、独自の商品・サービスを独自戦略でビジネスをすれば競争ではなく、独占となる。独占は企業にとって幸せである。という理屈だ。
もちろんこの意見に全面的に賛成だ。
しかし視点を変えると幸せな企業はどれも同じように見えるのではなかろうか?
幸せな企業に属している従業員は、仕事を楽しみ、仕事を通して成長している。自分の仕事に生きがいを感じ、誇りを持っている。
一方不幸な企業に属している従業員は、仕事に対しそれぞれ異なる不満を抱え、仕事以外にそれぞれ異なる生きがいを求めている。
企業の幸福を追求すれば従業員が幸せになるのか、従業員の幸福を追求すれば企業が幸せになるのか?一般的な経営論では、企業が業績をあげるから従業員が幸福になる、と考える。
確かに業績の良い企業の従業員は幸福であるという相関関係はあるだろう。しかし因果関係を考えた時に、従業員を幸せにするから企業の業績が上がる、と考えた方が正しいのではなかろうか?
■■ 編集後記 ■■
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ピーター・ティールは、こうも言っています。
「競争は利益を失う。競争は敗者のもの。他社と差別化ができていないから競争が発生する」
改めて言いますが、彼の意見に賛成です。
では、また来週。
このコラムは、2018年10月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第734号に掲載した記事です。
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