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常識・非常識

 常識と非常識の境目について考えて見た。
1月21日付の朝日新聞の記事「知られざる可能性を追う 卵で世界を救いたい」にゆで卵の料理法が紹介してあった。
我々の常識では、ゆで卵は白身が外側、黄身が内側だ。しかし1785年刊行の料理本に紹介されている「黄身返し卵」は黄身が外側白身が内側になる。

黄身が外側にあるゆで卵は、我々にとって「非常識」だ。
黄身は卵黄膜に包まれており、その外側に卵白、卵殻があるという構造が常識だ。ゆで卵は黄身が内側にある、という常識は卵黄膜の存在に依存している。
卵黄膜を破る方法があれば、卵黄と卵白の比重差、固化温度差により、黄身が外側にあるゆで卵を作ることが可能になる。

したがって「非常識」を実現するためには「常識」を支えている要因に対するブレークスルーを見つければ良いことになる。

100均ショップは、なんでも百円という非常識を実現した。
100均ショップのパラダイムシフトは、売価はコストに利益を上乗せするいう常識を、売価を固定し利益は売値からコストを差し引いたモノという常識変更により実現している。現在はコストに利益を上乗せして売価を決める考え方の方が非常識といってもいいだろう。

つまり常識と非常識の境目は流動的だということだ。
時代と共に変わる。業界ごとにも違う。技術的ブレークスルーがあれば変わる。逆に考えれば、非常識を常識にした者が時代を作るということになる。

卵の例に戻ると、外から卵殻を破れば「死」、内から卵殻を破れば「誕生」となる。
外からの常識・非常識のパラダイムシフトは危機になるが、内からのパラダイムシフトは機会になる。
日々「非常識」にチャレンジしたい。


このコラムは、2018年1月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第620号に掲載したコラムです。

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