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若者の労働意識の変化

 先週の編集後記で、中国の品質低下について以下の投げかけを読者様にした。

最近友人が、中国の業務品質が2010年を境に低下している、と言っていました。
私には余りその実感がなかったのですが、周りの人何人かに聞いてみたら、同様に最近工程内不良が増えている、客先クレームが増えた、とおっしゃる方がありました。日系企業です。

もし本当ならば、品質を上げて来ている中華系企業に追いつかれることになります。
大変興味があります。色々な人に聞いていますが、まだ答えの様なモノは、全く見つかりません。本当に最近品質が落ちて来ているのか?それはなぜか?
ご意見・情報がある方は、ぜひお聞かせください。

この一週間で集まったご意見は,「最近品質が低下している」というご意見が多数派だった。
メルマガにも書いたが,私は品質低下のトレンドを感じていない。

皆さんのご意見の共通点は「人材採用難」だ。

  • 必要な人数を確保出来ない。
  • 採用してもすぐに辞めてしまうので,技能訓練が間に合わない。
  • 女工さんを採用したいが集まらない。

急激な需要増のため,急遽作業員を大量に雇用した。そのため工程内に混乱が見られる。と言う方もあったが,これは一時的な現象とお考えだった。教育訓練が間に合わなかったタイムラグで,混乱が生じているだけでトレンド
ではない,修正可能だと言うご意見だ。

人材採用難にはいくつか要因があるだろう。

  • 一人っ子政策による労働人口減少。
     私の周辺(内陸からで稼ぎに来ている製造業勤務者がメイン)には,兄弟がある人ばかりだ。しかも三人兄弟なんてのは少ない方で,六人兄弟の人もいる。しかし全体統計から見れば,減少傾向にあり、これからも続くだろう。
  • 若者の労働意識の変化
     若者の製造業離れが進んでいる。既に来年の卒業生(中国では9月が新学期)の就職活動が始まっている。東莞の技術系大学でも、多くの企業が参加し説明会を開催した。製造業に集まった履歴書は,全体の10%ほどしかなかったそうだ。
  • 仕事に対する「我慢」が出来なくなって来た。
  • 仕事よりも余暇を重要視する。

労働意識の変化も原因を「一人っ子政策」と考える人が多い。

2000年頃の出稼ぎ労働者は、ほぼ例外なく給料日には銀行の窓口に並んだ。田舎の弟,妹の学費,家族の生活を支えるため仕送りをするのだ。

深セン市の最低賃金は2004年と比較すると,2.6倍に上がっている。
農村の所得上昇はそんな高い上昇率ではないが,出稼ぎマネーを参入すれば、農村地域の生活も相当豊かになっているだろう。

若者達は「我慢が出来なくなった」のではなく「我慢する必要がなくなった」のだ。

これは先に経済成長を遂げた日本は既に知っていた事だ。
日本の中にヒントがある。私は東京ディズニーランドがそのヒントだと思っている。

従業員の90%がアルバイト。年間離職率は50%!毎年9,000人のアルバイトが入れ替わっている。
それでも毎年入場者数を増やし,98%のリピート顧客を抱える。
2012年度の売り上げは約4,000億円、522億円の利益を出している。
この成果は,アルバイトが来園者に感動を与え続けているからだ。

この構図が中国の工場と同じだと気が付いた。
従業員のほとんどが農村からの出稼ぎであり,一定期間働いたら故郷に帰る。50%はないにしても,離職率は高い。学生アルバイトと同じだ。

学生アルバイトを使って成果を上げているディズニーランドのマネジメントを研究すれば,中国の工場経営にも役立つはずだ。これに気が付いた時は相当興奮した(笑)
以来ディズニーランドのマネジメントに関する書籍を読みあさり,TDL出身の方の話を聞きに行ったりした。

ディズニーランドの学生アルバイトの労働意欲が高いのは,

  • 自分の仕事(作業)と企業の目的・理念の関連を理解している。
  • 誇りを感じられる職場環境がある。
  • やりがいを持てる仕組みとしかけがある。

だと考えている。

中国より先に豊かになった日本の若者が意欲的に働く。
このメカニズムを理解すれば,一人っ子の労働意欲も高めることができる。

参考図書「9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方」


このコラムは、2013年12月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第342号に掲載した記事に加筆修正しました。

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