CNET Newsの報道によると、サムスンのバッテリ生産子会社Samsung SDIの天津市工場でリチウム電池の不良が原因とみられる火災が発生した。
(CNET Japanより)
記事には、バッテリの不良が原因とみられる小規模な火災が発生したとある。複数のバッテリィを含む廃棄品が発火したと地元消防当局の発表を伝えている。
最初のリコールの原因となったのは、電池の設計問題。交換の電池により発生した事故は製造問題。それに対するサムスンの対策は検査の強化。
本件に関して本メールマガジン第513号では、検査の強化(流出対策)では何も解決しない。発火の原因に対する対策が必要だと指摘した。
私の心配は的中してしまったようだ。
検査を強化すれば、付加価値を生まない検査コストが増加する。しかし少なくとも市場への流出は防ぐことができるかもしれない。現に検査で不良品を発見できている。しかし選別廃棄した不良品が発火事故を起こしている。
この記事を深読みをすると、もっと根の深い「闇」が見えて来る。
目視検査で発見できた不良品が、廃棄後に発火するだろうか?充電することにより、エネルギーを供給しなければ発火事故は発生しないはずだ。
なぜこのような事故が発生するのか考えてみた。
- 目視検査で不良品を見逃し、充電中に発火。
- 検査工程の設計が悪く、充電したのちにX線検査装置で内部短絡を発見、発熱している不良品を不用意にゴミ箱に廃棄。
これに対しさらに再発防止対策を検討すると
- 目視検査の二重化
- 爆発物処理用のゴミ箱を用意
など、ますますおかしな対策を施すことになる。
肝心なことは、発生原因に対する再発防止対策をすることである。
流出防止対策は「念のため」程度に考えた方が良いだろう。
このコラムは、2017年2月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第515号に掲載した記事に加筆しました。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】