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水無常形

『夫兵形象水,水之形,避高而趨下,兵之形,避実而撃虚。水因地而制流,兵因敵而制勝。故兵無常勢,水無常形,能因敵変化而取勝者,謂之神。』

孫子の兵法に有る一説だ。読み下し文にすると以下の様になる。

れ兵の形は水にかたどる。水の形は高きを避けてひくきにおもむく。兵の形は実を避けて虚を撃つ。水は地に因りて流れを制し、兵は敵にりて勝を制す。故に兵に常勢なく、水に常形なし。能く敵にりて変化して勝を取る者、これを神と謂う。

水は高き所に留まらず常に下に有る。特定の形を持たず、四角い水槽に有れば四角となり、丸い器に有れば丸くなる。

老子はこう言っている。
上善若水,水善利万物而不争。
上善は水の如し。水は善く万物を利して争わず。

柔術の極意に「柔能く剛を制す」と言う言葉が有る。
経営の極意は『水無常形』『上善若水,水善利万物而不争』ではなかろうか。
万物の源である水が高きを目指さず、他者に寄り添い利他を目指す。そういう経営が最終的には利を得る、と中国古典が教えている様な気がする。


このコラムは、2018年2月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第632号に掲載した記事に加筆しました。

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