子どもの貧困対策のために寄付を募る「子供の未来応援基金」をめぐり、民主党の蓮舫代表代行は2日の参院予算委員会で、費用対効果の悪さを指摘した。2億円以上の税金を使って呼びかけているのに、集まった寄付は約2千万円。蓮舫氏は「2億円を基金に入れれば良かった」と訴えた。
基金は昨年10月に創設。集まった資金を子どもの支援活動をするNPOの支援などに充てる計画だ。政府はポスターの制作やフォーラム開催のほか、インターネット広報関連などで約2億円使ったが、寄付は今年2月現在で
約1949万円しか集まっていない。基金を担当する加藤勝信少子化相は委員会で「(2億円は)広報のみではなく、国民運動としての広報・啓発活動として使っている」と釈明した。
(朝日新聞電子版より)
2億円の設備投資をして2千万円の利益回収しか出来なければ、企業としては投資の失敗と言わざるを得ないだろう。2億円をそのまま基金とすべきという考えは一見合理的の様に見える。
しかし、ビールを飲んでもすぐに小水になるだけだから、ビールを直接小便器に流す、と考える人は誰一人いないだろう。たとえは悪いが、資金の使い方を短絡的にしか考えていない、と私には思える。
2億円が半年で2千万円のリターンになるならば、年20%の利回りとなる。低金利時代に20%の利回りならば、十分効果があったと考える事も出来る。野党として追求すべきは、2億円が特定の団体だけの利益になっているなどの不正に対してだ(そのような事実が有ったかどうかは知らないが)。
子供は国の未来そのものだ。少子化が進む中、社会が子育てを応援するという活動は、国の未来を保証するものであり、政府がその為の投資をするのは当然だと思う。国の投資は10年20年先を見据えてすべきだろう。
民間企業も将来の人口減を見据え、少人数でも効率よく生産する方法を考えなければならない。ロボット技術も、AI技術もその方向で発展をしている。先頃発表された、バス・トラック企業の自動運転技術の共同開発も運転手不足をにらんだ将来投資だ。
「寄付」と言う文化があまりない日本で、出生率の増加が寄付によって達成出来るかどうか疑問があるが、蓮舫氏の批判で国民が逆に奮起すれば、効果が評価出来るかも知れない(笑)
少子化の進行と言う現象の真の原因を捕え、それに対して正しい解決課題を設定しなければならない。子供を作らないと言う理由は、それぞれの家庭で異なるだろう。この様な「複雑系」の問題は最大公約数だけで解決出来るとは思えない。分析と対策の議論をもっとオープンにし、国民の意識を高める事がより重要だと思う。
野党の議論が、少子化関連の寄付は経費として非課税にせよとか、ふるさと納税の様に寄付者に還元する特典をつけようとか、もっと建設的な方向に向くとよいと思う。人口減で売り上げが減る企業は、もっと積極的に寄付をするようになるだろう。
私たちの生産現場で発生している慢性的問題も複雑系であるが故に慢性化している。少子化問題と同様に議論をオープンにして、従業員全体が問題意識を共有し、解決意欲を高める必要があると考えるが、いかがだろう。
このコラムは、2016年5月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第478号に掲載した記事に加筆修正しました。
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