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コモディティ化

 コモディティ(commodity)とは日用品と言う意味だ。「コモディティ化」と言う時は、市場に流通している商品がメーカーごとの差異が無くなり、消費者にとってはどこのメーカーの品を購入しても大差ない状態のことだ。例えるならば釘やネジがコモディティ化した商品だ。

前職時代電源ビジネスに関わっていた。計測・制御機器やシステムを製造販売している企業であり、電源の様な部品の製造販売には無縁だった。自社製品に使用する電源も、スイッチング電源は信頼性に難点が有るので採用しない、などと言う超保守的な所のある会社だった(笑)

それが協力関係に有った米国のワークステーションメーカから、信頼性の高い電源を作って欲しいと言うオファーが有り、少人数のエンジニアが集まり電源を設計、子会社工場で生産を開始したのが電源ビジネスの始まりだった。我々が生産する電源の品質が高い事を聞きつけた同社のプリンター事業部からも受注し、本格的な量産が始まった。

国内の工場で、異形部品実装ロボットを使った自働化ラインを作り、生産していた。その後、アダプター電源のプラスチックケース組み立てや、PC電源のワイヤーハーネス実装がロボット化できずに、中国の工場に生産委託をすることになる。台湾の電源メーカの中国工場で生産していた。

電源は安全規格部品であり、当初は、信頼性重視のため台湾メーカを採用する顧客は少なかった。台湾メーカの成長で、電源ユニットはコモディティ化し、価格競争が激しくなった。最初の顧客も、インターネットに仕様を公開して、公開入札でベンダーを選定する様になり、我々は受注を獲得する事ができなくなり、撤退することになった。

当初は自社の信頼性設計技術が参入障壁となっていたが、それを乗り越えたメーカが参入を始める。完全自動生産が実現出来なかったので、生産技術については参入障壁を作ることができなかった。

当然経営者としては、もっと儲るビジネスに人員を振り向けるべきだ。
前職の企業は、元々もっと利益率が高く、シェァを取っている市場向けの製品が主力だったので問題は無かった。

しかし自社製品がコモディティ化し、他社と差別化するための、商品開発技術、生産技術が間に合っていない場合どうしたら良いのか考えてみた。極論をすれば、自社のネジや釘をどうすれば売れるか、と言う事だ。

まず、顧客がメーカ指定で購入する場合を考えてみた。

(1)他の企業にはないモノ。
(2)他の企業より圧倒的に品質が高いモノ。
   ただしその品質が顧客にとっての価値でなければならない。
(3)他の企業より圧倒的に価格が安いモノ。

しかし1~3のポイントはコモディティ化したモノには当てはまらない。

では、人はどういう時に、高くてもモノを買うのかと考えてみた。

(4)必要な時に手に入れられる。

例えば、缶コーヒーはスーパーで買えば自動販売機より安く買える。
缶コーヒーよりスターバックスのコーヒーが好きだ。
しかし、今コーヒーを飲みたい時にスターバックスやスーパーが探さず、自動販売機を見つけてコーヒーを買うことになる。

つまり価格も品質も劣っている自動販売機の缶コーヒーが売れる。
当初の「メーカ指定で購入」と言う命題とずれてしまうが、自動販売機の機能を持つメーカと置き換えて考えれば、同じことだろう。

コモディティ化した製品を生産している工場は、お客様の自動販売機になれば良いのだ。
今日電話で注文を貰えば、今日中に出荷する。
これをどうしたら実現出来るのか必死に考える。
材料の調達に○○日かかる。
生産リードタイムに○○日かかる。
などとできない理由ばかり考えていては、絶対に答えは見つからないはずだ。


このコラムは、2015年5月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第425号に掲載した記事です。

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