近所の外資系スーパーマーケットの売り場に,「今月のレジ係明星」という掲示板がある.明星というのは,スターという意味だ.優秀レジ係ベストスリーを,写真入りで掲示してある
優秀レジ係の判定基準は,レジに打ち込んだ(バーコードをスキャンするだけだが)点数,間違って打ち込んだ点数で計算する様になっていた.
早くレジ処理が出来れば,お客様がレジで待たされる時間も短くなり,顧客満足につながるだろう.(正確に言えば顧客不満足の解消であり,顧客満足ではない)
そしてレジ係明星に選ばれたいという意欲を,レジ職員が持つという効果も期待出来る.
レジに打ち込む点数を上げるためには,早く処理をする,またはレジに立つ時間を長くする事で達成出来る.
後者によって点数を上げようと考えている職員は,皆無の様だ(笑)食事時は,お客様が長蛇の列を作っていても,誰も空いているレジに立とうとはしない.
レジ処理を早くする方は,それなりに取り組んでいる.商品をスキャンし易い様に,商品を入れたかごを垂直に立てる.確かにこの方が早く商品を取り出せる.しかし中に卵などが入っていると,割れてしまわないかとこちらがハラハラすることになる.
レジの打ち間違いに関しては,自分で修正出来ないので,レジ主任を呼んで修正してもらうことになる.その間入力処理が出来ないので,ダブルで損失となる.従ってスキャンし終わった商品を,買うのを止めたなどと言うと,不機嫌な顔でサービスカウンターで返品処理をしろと言って来る.
残念ながら,この活動は顧客満足に直結しているとはいい難い.
スーパーマーケットでは,接客サービスが出来るのは唯一レジ係である.そういう意味では,顧客満足に直結した評価もすべきだろう.
私は,レジ係明星の作業が,他のレジ係の作業とどのような差異があるのか興味があり,レジ係明星の列に並んでみた.
作業方法に特段の差異は発見出来なかったが,意外な事にレジ係明星のおばさんは,お客に結構話しかけているのだ.作業の手を止めておしゃべりをしている訳ではないが,私が買ったペットボトル入りの飲料を見て,これは「当り」が出るともう一本貰えるから,キャップをよく見てね,と話しかけてきた.何でもない一言を言える人が,接客の仕事に向いているのだろう.以降,私はレジに並ぶ時にこのおばさんを探している(笑)
他の中国人たちも,私と同じ様な気持ちで,このおばさんの列に並んでいるのだろうか?
真相は定かではないが,経営者はただレジ係明星を決めるだけではなく,なぜ彼女の成績が良いのかを研究すべきだ.それを他の職員も出来る様にすれば,業績も上がるだろう.
このコラムは、2012年12月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第289号に掲載した記事です。
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