「門限を厳守すること」「外出は師匠の了解を得ること」――。日本相撲協会は9日、春場所の中止に関連して、50ある相撲部屋に、こんな内容の「自粛・奨励17カ条の心得」を通達した。日常生活の指針のほか、ボランティア活動の奨励なども盛り込んでいる。
心得では、八百長問題の反省から様々な面で、力士に「自粛」を半ば命じている。「各部屋で門限を定め、門限を厳守するように徹底する」「町なかで声をかけられたときは、気さくに応え、あいさつする」など。稽古は「各部屋にて行う」として事実上、旅行や遠出を禁じ、部屋や病院、協会以外への外出は師匠の了解を得るとしている。
一方で、「老人ホームや施設の慰問は、部屋単位の少人数で積極的に行う」として、ボランティア活動であれば遠出を認めている。
(asashi.comより)
度重なる不祥事や疑惑のため、相撲協会が力士に対し自粛を求め、自粛の心得を通達したというニュースを見て、「なんだかなぁ」というのが正直な感想だ。
今回の心得17か条は、不祥事に対する自粛のための心得だ。では力士としての心得というのはあるのだろうか?
失望とか怒りというのは、合意されていない期待が満足されなかった時に発生する感情だ。
日本の国技である相撲の力士は、強いばかりでなく日本的道徳を重んじる人格者である。というのが国民大方の期待だろう。この期待が力士側にも合意されているのだろうか?
典型的な例を挙げるとすれば、外国人力士にも「日本的礼儀作法」を期待するのが日本国民であろう。是非はあるだろうが、日本の国技である以上、その期待を持つのは当然であり、その期待に応えてこそ相撲力士といえるだろう。
ファンの期待に応える基準が、「心得」だ。
挨拶をする、門限を守る、と言うあまりにも初歩的な要求も、それが双方で合意されていないのだとすれば、明文化する必要があるだろう。相撲業界も国際化が進んでおり、異文化で成長した力士もいる。日本人の中でも、年代によって多様化が進んでいる。そういう意味で、「自粛心得」ではなく本来の「力士心得」が必要なのかもしれない。
私達のように中国でモノ造りをするということは、中国と言う多様性社会の中に日本的経営と言う異文化を持ち込むことだ。そのためには「心得」を明確にし合意をしておかねばならない。
元来日本では、言われなくても心得ているのが「心得」だったはずだ。そのように、家庭・学校で躾を受けてきた。しかし日本の中でも「心得」と言う基準を明確にする努力が必要となってきているような気がする。
◇自粛・奨励17カ条の心得◇
- 自粛の意味を込めて、当分の間(協会が了承するまで)、稽古は東京の各部屋で行う(出稽古は問題ありません)
- 当面の間(協会が承認するまで)、巡業は自粛する
- 老人ホームや施設への慰問は、部屋単位の少人数で積極的に行う(その際、広報部に届け出を提出する)
- 社会貢献活動、ボランティア活動は積極的に行う
- 講演依頼については、自粛中であることを自覚して選択する。ボランティアの性格(幼稚園、小・中学校などの教育機関や施設など)があるものは積極的に行う
- 「協会員のあり方(日本相撲協会発行)」を再読する
- 冠婚葬祭は各自判断で出席する
- 各部屋主催のパーティー、激励会、講演会等は自粛する
- 特別調査委員会の調査には、積極的に協力する
- 「摂生」(健康に注意しながら規則正しい生活をすること)と「節制」(度を超さないよう欲を抑えて控えめにすること)を心掛ける
- 「我々(われわれ)は今こそ襟をただして、自分たちのあるべき姿をしっかりと見定め、新しい時代に向かって新しい道を進んでいかなければいけない」ということを自覚する
- 各部屋で門限を定め、門限を厳守するように徹底する
- 各部屋、自宅、病院・治療院、日本相撲協会以外へ外出する際は、すべて部屋の師匠に了解を得る
- 「常に人に見られている。注目されている」という認識を忘れず、責任を持った行動を心掛ける
- 相撲を志した初心に帰って、日々努力しよう
- 近所に限らず、町なかで声を掛けられたときは、気さくに応え、挨拶(あいさつ)する
- 誠実な心を持って、規律ある行動を取ること
このコラムは、2011年2月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第192号に掲載した記事です。
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