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特殊工程の品質評価

 作業品質を妥当なコストで検査できない工程を「特殊工程」と呼んでいる.

例えば,半田付け作業はその品質を保証しようとすると半田結合点の結合強度を検査しなくてはいけない.これでは破壊検査になってしまい,生産したものが出荷できなくなってしまう.そのため通常は目視検査で半田フィレットの形状,表面光沢などの「代用特性」で検査している.

このような工程が「特殊工程」だ.
では特殊工程の品質保証をどうすれば良いのか.

作業者の技能で品質を保証する.そのため特殊工程作業に従事する作業者は技能訓練を受けた有資格者であることで作業品質を保証している.
その品質保証の記録が,教育訓練記録となる.また使用した治工具の条件・点検記録も品質保証の記録である.

ある工場で部品Aと部品Bを貼り合せる作業があった.
貼り合わせが正しく行われたかどうかは、引き剥がし強度を測定しなければならない。従って、この作業も「特殊工程」に該当する.貼り合せ作業品質の代用特性として部品A,Bのギャップを外観検査で目視検査していた.
貼り合せ作業は治具化をして,作業者は操作スイッチを押すだけ.
従って作業者のばらつきは作業品質には影響しないと考えてよい.
この場合作業者に特殊工程作業者としての教育訓練,資格認定は必要ない.(目視検査の検査員資格は必要だが)

重要となるのは治具の加工精度・能力だ.
この工場では,始業点検で加工治具の貼り合せ押し圧と,押し付けの均一性を感圧紙により検査・記録していた.
品質保証ストーリィとしては問題はないのだが,目視検査で貼り付け不良が多発している.

そこで貼り合せ治具の始業点検記録を見せてもらうと,感圧紙検査の結果が均一になっていない.
始業点検で押しつけの不均一を発見すると、その都度テープを貼って調整していた,と言うことが分かった.しかし均一に押せていない不具合に対して原因対策がされていない。押し付け不均一を発見すると、テープを貼り付けると言う「対処」が行われているだけだ。

「ナゼ・ナゼ5回」とよく言うが,ここでは「ナゼ」を発する前に始業点検を合格させることに集中してしまっていた.
現場のエンジニアに,作業方法と共に作業の目的・意義をきちんと指導しておくことが重要だ.


このコラムは、2009年11月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第126号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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