独立して中国工場の改善支援を始めた頃、顧客のほとんどが日系企業、台湾企業だった。製品の設計は全て日本や台湾の本社で行う。中国工場の技術は設計のマイナー変更や、生産技術的な設計変更に関わっていた。
生産現場の生産性・品質改善に対して設計は大きな影響力を持つ。
例えば、工程内不良を減らすために治具を工夫して生産するよりも、不良が発生しない様に設計を変えてしまった方が、品質改善効果が高い。何よりも設計力が高まれば、新機種の生産を垂直立ち上げが可能になる。
前職時代に電源装置を担当していた。中国生産委託先での直行率を生産開始後3ヶ月で99.99%以上にした事がある。この生産委託先工場は、台湾本社で自社設計の製品も生産している。しかし工程内不良が100ppmを切る製品はひとつもない。量産開始後3ヶ月で生産を安定化させた事もなかった。
これが出来るのは製品設計や工程設計の品質を高める仕組みを持っていたからだ。
実は独立後最初の契約をくれた顧客は、この台湾企業の中国工場だった(笑)
契約時の約束通り、半年で顧客クレームを1/2にした。台北にいる設計の協力がなくてもこの程度は簡単に行く。
この上のレベルを目指すために設計品質の改善を目指した。
しかし台北にいる製品設計部門を直接指導する事が出来なかった。そこで中国工場側で、新製品試作レビュー、量産移行審査の制度を作り間接的に指導する様にした。試作レビューで設計改善要求を出しても「製造克服」と回答してくる事がままあり、設計品質向上の速度は緩やかだった(笑)
最近は中国企業の指導をする機会が増えた。製品設計部門も同じ場所にある。前職時代に作った設計品質向上の仕組みが使える。
仕組みを簡単に説明すると、失敗事例・改善事例の蓄積とレビューシステムだ。
初めの取り組みは、過去の事例収集が必要だが、これにより急速に設計品質が向上する。その後は継続的に設計品質維持向上が可能になる。
このコラムは、2016年11月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第502号に掲載した記事に加筆しました。
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