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作業標準

特に中国の工場では作業員の流動性が高いので、作業標準をきちんと決めておく必要がある。
新人作業者がラインに入るたびに、品質不良が発生したり生産性が落ちたのではやっていられない。

品質が一定のばらつきにおさまるように、品質リスクを排除できる作業方法を検討しそれを作業標準とする。また生産性が一定のレベル以上になるように、モノの置き方、モノの取り扱い方などを含めて作業方法を検討しそれを作業標準とする。

したがって作業標準というのは最低限やらなければいけない作業、やってはいけない作業で構成される事になる。言ってみれば、品質も生産性も要求下限を下回らないようにするようにするのが作業標準である。また作業標準というのは制定した時の最良の方法であるから、その後も最良の方法であり続けるという保証はない。いってみれば「進歩」をある時点でいったん凍結することである。

作業標準を決めた瞬間から、作業を観察しムダ・ムラ・ムリはないか、更に良い方法はないか検討すべきである。

作業標準は通常文章の形で共有されている。
標準作業指導書、作業チェックシートなどのような形にして作業者が理解し共有できるようにする。分かりやすい事が重要である。文章でわかりにくければビデオを利用するなどの工夫が必要だ。

このようにして決めた作業標準はきちんと守られて初めて意義がある。


このコラムは、2008年9月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第53号に掲載した記事に一部加筆修正しました。

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コミュニケーション

 毎月セミナーを開催しているホテルから電話があった。
今月の予約は10日になっているがそれで大丈夫か、という確認の電話だ。
何らかの予定変更がないか確認を入れてきたのだと思ったが様子が違う。
会場の机の並べ方は?何時に会場に来る?挙句の果てに今日予約金を持って来いという。

先月も同じ事をやっているのにどうもおかしい。確認をすると案の定前の担当者が退職してどうして良いのか分からないというのだ。引継ぎがきちんとできていない。

前の担当者はもっと良い仕事を見つけて辞職した。だから「没方法」だという。

中国ではこういう事がしょっちゅうある。
従業員側の理由もあるが、経営者側が従業員の能力に不満で解雇してしまう場合もある。

私の場合など、ホテルまで呼びつけられて新担当者への引継ぎを顧客である私が行うことになった。

彼らにとって従業員の退職は日常茶飯事のはずだ。したがって管理職は、こういう場合でも業務に差しさわりが発生しないようにコミュニケーションが日常的に行われる仕組みを作っておかねばならない。

私の場合は毎月定例でセミナーを開催しているわけだから顧客ファイルを作って、どのような準備をしたか、料金はいくらだったか、クレームはあったかを毎月一枚のシートに記録しておくだけで十分であろう。

また非定期で来る顧客に対してもこのような顧客ファイルがあれば、「前回はこういう準備をしましたが、今回も同じで良いですか?」と一言いうだけで顧客が受ける印象は格段に良くなる。

残念ながらこのホテルでは、私の名刺と日本人であるということだけが引き継がれたようである。

コミュニケーションがうまく行かないと嘆くだけではなく、このような記録による非口頭コミュニケーション、蓄積型のコミュニケーションを工夫するべきだと考えている。


このコラムは、2008年9月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第51号に掲載した記事です。

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