丸紅は、中国などの提携衣料品工場に品質管理などを指導する「匠(たくみ)チーム」を立ち上げた。アパレル業界出身者ら5人を日本で採用し、中国・上海と香港の現地法人に派遣する。主要販売先の総合スーパーの衣料品売り場などでは、低価格競争が進んでおり、不良品を減らすことでコストを抑える狙い。
採用したのはアパレルやスポーツ衣料業界で、製造管理などの経験がある40~60代のベテラン。丸紅は08年4月には中国とベトナムで約150の工場に衣料品生産を委託していたが、非効率な工場との契約を打ち切り、3月までに提携先を92社に絞り込んだ。匠チームは、このうち約30の主要工場をまわり、品質や工程管理を直接指導する。
(asahi.comより)
知人に深センで衣料品縫製工場を経営されている方がある。
彼は歯に衣を着せず、中国の衣料品工場をだめにしたのは日本の商社だと言い切る。
モノ造りが分からない日本の商社が(丸紅のことではない)ただコストだけを追求して中国工場に発注をかけてくる。満足が行かない仕上げの仕事を安い工賃で受注するのは工場のレベルダウンになるというのだ。
彼によると欧米の商社は仕様の違いを理解し、納得の行くコスト設定をしてくれるそうだ。
ファーストリテーリングは技術者が定期的に生産委託先の巡回指導をすることにより、商品の品質を確保してきた。検品もするのであろうが、検査で良い物だけを選別するという方法ではコストがかかるだけで品質は向上しない。
業種は違うが私は前職時代に東南アジア、中国の生産委託先指導のために品証部のリソースのほとんどを投入していた。この指導により工場の工程内不良が減れば出荷品質も良くなる。同時に生産委託先の生産性、品質能力も高まる。
商社も「売る人」「造る人」という分業から「一緒にモノ造りをする」という方向に転換すれば、その分の付加価値がつくと思う。
規格商品が売れない時代である。
衣服も大量生産したものは安くしか売れない。
多品種少量の生産に移行しなければなるまい。
また生産リードタイムを2日に短縮できれば、日本からイージーオーダーの受注ができるであろう。このためには工場の改革が必要だ。
このコラムは、2009年4月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第94号に掲載した記事です。
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