出来ない理由が解決課題


 不良改善や生産改善活動をしている時に、出来ない理由を挙げる人を時々見かける。
「以前やってみたけど上手く行かなかった」
「その対策はコストがかかるからダメだ」
「会社のルール上それは出来ない」
等々「○○だからダメ」式の意見を言ってしまう人がいる。往々にしてリーダ格の人がこういう発言をする。するとチームの士気が一気に下がる。

「以前やってみたけど上手く行かなかった」という事は、違う方法でやれば上手くいくかも知れない。つまり上手く行かない方法が一つ分かったのだから、上手く行く方法を知るために一歩前進している。

ナットを締結する時に、何度もスパナをナットにセットし直す必要がある。ラッチ機構がついているスパナを使えば、一度セットしたスパナをそのまま往復すれば、締結する事が出来る。こういう話をすると、やってみたけどダメだったと言う。使った工具を見せてもらうと、ナットにセットする部分がナメてしまっている。これいくらだった?と聞くと30元だったと言う(笑)
ダメな理由は、工具が安物だったから。ちゃんとした工具を手に入れる、のが解決課題になる。

「コストがかかる」という問題は、改善コスト<改善効果という関係が成り立つのならば、「コストをかける」のが正解だ。改善コストの方が大きいのであれば、「改善コストを下げる」「改善効果を上げる」のどちらか、又は両方が解決課題になる。

「段取り替え後の初物検査に時間がかかる」という問題の原因を聞くと検査員が忙しくて検査待ちとなるためだと言う。では、製造部の自主検査にしようと考えると「品管が検査するのがルールだ」と反対する。
ではなぜ品管が初物検査をしなければならなのか?
作業員では正確に検査できない。
当事者が検査したのでは第三者チェックにならない。
等のダメな理由が出て来る。という事はこれを解決すれば、自主検査に出来るという事だ。


このコラムは、2016年12月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第508号に掲載した記事に加筆したものです。

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