朝礼


 指導先工場の幹部職員は、作業員がちゃんと働かない、と嘆いている。
作業時間中にぶらぶらしている。休憩時間の前になると、早々と手仕舞いをする。逆に作業が途中でも休憩時間になると、即作業場を離れてしまう。

幹部職員は、作業者の素質が低いから『没方法』だという。

5Sを指導しても、作業者がやらないと幹部職員は言う。
しかし我々が、休み時間に通路区画を示すテープを床に貼っていると、次々と作業者が集まってきて手伝ってくれる。
作業者を動かすのは『没方法』なのではなく、方法を知らないだけなのだ。

作業者のパフォーマンスを上げるのは、「ムチやアメ」ではない。
その方法の一例として、現場リーダに朝礼のやり方を教えた。

朝礼の目的は、
・仕事の目的目標を共有すること
・モチベーションを高めること
・コミュニケーションを高めること
・能力を高めること

元々彼らの朝礼は、当日の業務連絡、昨日の不具合フィードバックが目的であり、前述の目的のほとんどは実施できていなかった。むしろ朝一番にネガティブな不具合の話を聞かされ、意気消沈して仕事をスタートすることになっていた。

朝礼で、ラジオ体操をやったり、社是の唱和をする会社も多いと思う。
体を動かしたり、声を出すことにより、人のテンションが上がる作用がある。
テンションが上がるだけではあまり意味はないが、テンションが高い状態では容易にモチベーションを上げることができる。

スポーツでは、試合前に円陣を組んだり、ハイタッチをしたり、体をぶつけ合ったりする。
これもテンションを上げることにより、試合に対するモチベーションを上げる効果がある。

こういう話をして、実際に朝礼のシュミレーションをしてもらった。
このシュミレーションは大いにテンションが上がり、全員で盛り上がった。
現場リーダが自部署の朝礼を改革し、朝礼の成果を実感すると、朝礼に対するモチベーションが上がるだろう。


このコラムは、2013年4月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第307号に掲載した記事に加筆したものです。

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