複雑な事を単純に考える


 京セラの創業者・稲盛和夫氏は、中国でも多くの著作が紹介されており、有能な経営者として知られている。
その稲盛さんがこんなことを言っておられる。
「バカな奴は単純なことを複雑に考える。
 普通の奴は複雑なことを複雑に考える。
 賢い奴は複雑なことを単純に考える。」

本当に頭のいい人は、物事を単純に考えているモノだ。
前職時代に、天才的なエンジニアの下で仕事をさせていただいた。初めは彼の言っている事がさっぱり分からなかった。彼の指示で新規発明回路の実証実験をする時も、何がなんだか分からない。すぐ上の先輩によく相談に行ったモノだ。

一緒に仕事をしていると、大先輩が言っている事が、だんだん分かって来る。彼は物事を「絵」で捉えているのだ。ロジカルな考え方をする人なのだが、そのロジックが生まれる前に多分彼の頭の中には「絵」があるのだ。その「絵」を元に我々に伝えるので、すごく難しい事を、すごく簡単に説明する。簡単すぎて我々凡人には分かり難かったのだろう(笑)

本当の大発明は、複雑な事を単純に考えた結果生まれる。こういう発明が美しい構造をしている。ナミの発明は、複雑な事が複雑なままになっている。だから美しくない。

私にも稲盛先生の言葉と同じ様なモットーがある。

「難しい事は簡単に。
 簡単な事は深く。」

これが私が若い人達を指導するときのモットーだ。
天才ではない凡人の私は、難しい事を簡単にするためには、相当努力をする。簡単な事を深くするために、相当複雑に考えることになる。そしてそれを簡単に表現する。


このコラムは、2014年3月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第354号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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