今年は中国企業の指導が増えている。中国企業の経営幹部に対して、豪華な応接セットのある執務室に一日座っていると言うイメージを持っていた。
しかし最近指導している中国企業の製造担当副総経理は、生産現場を歩いている事が多い。彼と話をしたいときは、オフィスを尋ねるより現場を探した方が早い(笑)
経営幹部となっても現場を重視し、現場で作業員に話しかけている。立派な経営幹部だと思っていた。しかし、彼は自分の仕事を間違えている様だ。5Sや品質意識の指導時には、製造部門が忙しい事を理由に製造部門の部課長を出席させない。
生産現場の5Sが乱れているからムダな作業ばかりしていて忙しい。品質問題が多発しているために、手戻り作業、修正作業が発生し、より忙しくなっている。こういう状況は、足しげく現場に出かけているので了解しているはずだ。
自分一人で現場を支えるのは無理な話だ。現場を支える部下を育成する。育成の度合いを確認し、不足点があれば再指導する。そのために現場の巡視をする。これが彼がやらねばならない仕事だ。現場で直接作業員を指導すれば、部下である部課長・監督職の仕事を奪うことになる。
本来副総経理の仕事は、現状を打破するために長期的な戦略を考える事だ。生産方式の革新、生産設備の導入など部課長ができない仕事に時間を使う。今日しなければならない仕事の比率はうんと低いはずだ。
改善実践研修に現場の部課長を参加させないと言われた時は、副総経理が現場改善の「癌」だと感じ、怒りすら覚えた。しかしよく考えると、彼が重要な事に気がつく様に指導する事が、私の仕事だ。
こう考えると「怒り」は自分の「出番」に変わる(笑)
このコラムは、2016年7月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第484号に掲載した記事です。
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