先週の「単機能人材」の記事に対して読者様からこんなメッセージをいただいた.
☆I様のメッセージ
お久しぶりですね。今日の“雑感”は中国人の「職場環境」を知る上で非常に重要な話でした。
ホテルのお客様は、レストランで起きた問題を退室時に会計担当に話す。
日本なら、お客様の話を聞き、レストランへ連絡するのが常識。
しかし、中国ではお客様に、私はレストラン担当ではありません!と言う輩までいる。彼らには、所属部署の意識はあっても、○○ホテルに所属するという「帰属意識」が非常に薄い。この感覚は、中国のサービス業の質が何年たっても上がらない原因の一つですね。マルチな人材というのはなかなか育たないでしょうね。
中国のホテルで仕事をされていた経験からのコメントをいただいた.
私も中国従業員の会社に対する帰属意識は希薄だと感じている.
彼らの帰属意識の対象は,「会社」ではなく「職業」だと考えている.最近の日本の若者も同様に,会社に対する帰属意識は希薄になり自分の職業に対する忠誠心が強くなって来ているのではないだろうか.
会社に対する忠誠心で求心力を作るのではなく,職業に対する忠誠心を求心力とする.すなわち仕事を通して成長する機会を会社が与え,従業員は自己成長を通して会社に貢献する.
このような会社と個人の共存関係が,求心力を作り出す.
成長の機会があれば,優秀な人材ほど簡単には会社を辞めて行かない.マルチタレントな人材が求められている事が明確になっており,それが報酬につながることを理解できれば彼らはマルチタレント人材になることを目指すだろう,というのが私の仮説だ.
もうひとつメッセージをいただいている.
☆N様のメッセージ
>「雇用の確保」というのは自社で雇用し続けることではなく,他の会社でも
>高給で雇ってもらえる能力を付けてやることだと考えるがいかがだろうか.本当にその通りだと思います。
弊社でも、スタッフには
「営業:仕事を取ってくる能力」
「管理:スタッフの能力を100%引き出す能力」
「財務:お金を集める能力、儲かってるか判断する能力」
最低この3つは身につけてもらいたくて○「自己責任」
○「未来予測」
○「共栄」
のモットーを掲げて経営しています。
営業,管理,財務の能力があれば会社を経営することも可能になるだろう.
経営能力がある従業員がいれば,社長の仕事は楽になるはずだ.楽になった分経営戦略を考える時間が確保できる.これが本当の社長の仕事のはずだ.
このように成長した従業員をもっと成長機会がありそうな会社に出してやる,または独立させる.
このような成長過程をきちんと「計画的」にやる.
つまりより大きな会社に転職した優秀な従業員との関係は,そのままその会社との良好な関係になるはずだ.
また自分の会社の一部の工程を持たせ独立させれば,自社経営リソースのバッファを外に持つ事が可能になる.つまり受注の増加に対して固定経費の増加なしに対応可能になる.
このコラムは、2009年8月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第111号に掲載した記事です。
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