サムスン、携帯見本市でもトラブル続き


 バルセロナで開催されたスマホの展示会MWCでサムスンは、Note7の後継機を発表しないと決めていたが、展示にトラブルがあったり、グリーン・ピースの活動家の乱入があったりで「何から何までサムスンらしくないイベントだった」そうだ。

日本経済新聞電子版の記事

リチウムイオン電池の爆発問題、経営者の贈賄容疑など弱り目に祟り目とはこの様な状態を言うのだろう。

一頃は、AppleのiPhoneに対抗出来るのはサムスンくらいしかいないだろうと言われた企業が見る影もない。この様な状態に落ち込んでしまったきっかけはやはりリチウムイオン電池爆発事故に発端があった様な気がする。

回収交換品も発煙事故を起こす、などの不手際により新機種の開発が送れた事は否定出来ないだろう。新機種の発表が出来ないMWCは、敗戦消化試合の様なモノだったのだろう。そのような気のゆるみが今回の不手際に影響を与えたと想像出来る。展示会の直前に副会長が逮捕されたのも何らかの影響があったかも知れない。

根本の原因は、リチウムイオン電池の信頼性評価が不足していた事だと推測している。電池は製品のキーデバイスであり、リチウムイオン電池は過去から何度も事故を起こしている「安全対象部品」だ。
電池単体の信頼性評価だけではなく、設計や製造工程、製造方法に潜在的な危険がないか十分に評価すべきだった様に思う。

設計や信頼性試験に問題がなくても、製造過程で問題を造り込む事は十分あり得る。ある友人は、リチウムイオン電池を生産する中国工場(サムソンの関連企業ではない)で、厚さ寸法が規格に入らない不良品を叩いて修理しているのを目撃したと言っていた。製造工程も事前に十分監査しておく必要がある。

事前の品質保証活動(予防保全的品質保証)が不十分であったが故に、最初の事故発生時の原因解析が甘く、対策済みであるとした回収交換品でも事故が再発する事になる。

品質問題は、先手必勝だ。後手に回れば中々収束出来ない。

余談だが、高名な日本人コンサルがサムスンにFMEAを教えたと聞いた事がある。サムスンはその教えを活かしきれなかった様だ。


このコラムは、2017年3月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第518号に掲載した記事に加筆しました。

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