作業に計画性を与える


 先週は以前指導をしていた工場に呼ばれ,訪問指導に出かけた.
3年近く経っているが,中国人幹部,現場のリーダ等当時指導したメンバーがたくさん残っており,楽しい仕事だった.

以前の指導で,生産に使用した部材ロットをトレースする仕組みを導入した.それがうまく機能していることを確認するために,部材倉庫を見に行った.三年経ってもきちんと運用が維持されていた.

部材倉庫で,出庫のためにキッティング作業をしている作業員を見かけた.キッティングとは,出庫部材を部品払い出し伝票に従い,倉庫の棚から集めて回る仕事である.
作業員が部材を集めて回っている台車に積まれた部品梱包箱の積み方が気になった.小さな箱の上に,大きな箱が積まれ不安定だったのだ.

こういう状況を見ると,即その場にいた作業員やリーダを集めて指導が始まる.

払い出し伝票を受け取った時に,すぐに部品を集めに回らない.
まず伝票を見てどう回れば,効率よく部品が集められるか考える.
この時台車に載せた部材の箱を並べなおすようでは,まだ事前の考える力が足りない.
毎日の仕事を通して,自分の頭を訓練しなさい.と指導をした.

まず彼らには,部材を不安定な積み方をして運搬した時のリスクに気がつく感受性を持ってもらわなければいけない.その上で,台車には下から順に大きなものから乗せなさい,と指導をするのは簡単だ.しかしそれでは不十分だ.
彼らは部品をピックアップするたびに台車の箱を積み替えしなければならない.こういう指導では1週間守れればよいほうだろう.

自分の頭を鍛えるためと教えれば,自ら進んでやるだろう.

指示された作業をするだけでは成長は無い.出庫伝票を吐き出してくるコンピュータの奴隷と同じだ.作業を自ら計画することにより,作業は仕事となる.主人は自分だ.

作業に計画性を与え仕事とする.仕事によって自分の能力を磨く.この様に,仕事を通して日々成長することを教えれば,自ら進んで仕事をするようになるはずだ.


このコラムは、2010年3月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第145号に掲載した記事に加筆しました。

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