問題を定義する能力


 就学中の若者や子供は問題を解くことを学んでいる。しかし我々実社会で仕事をしている人間にとって必要なことは、問題を「解く」ことではなく、問題を「解決」することだ。

我々の仕事は以下のステップになるはずだ。
・問題を発見する
・問題を定義する
・問題を解決する

「問題を発見する」なんて簡単なことだと思われるかもしれない。不良の発生、納期の遅延、採算の悪化など問題は簡単に見つかるはずだ。しかし過去からの因習、習慣により問題として認識してない問題、もしくは認識はしているが解決を諦めている問題があるのではなかろうか?「王様は裸だ」と言えない組織文化もあるだろう。
問題解決のために、まずは問題を発見・認識する能力が必要だ。

そしてその問題を定義する。
学校で学ぶ問題はすでに定義されており、学習者が定義する必要はない。1+1という問題はすでに定義されており、学習者はそれを解くだけで良い。

しかし現実社会の問題はそう簡単ではない。
問題は複雑であり、今まで経験したことがない(教わったことがない)問題が次々と出てくる。ここで「問題を定義する」ということが重要になってくる。つまり問題を解決できる課題に再定義するという意味だ。

例えば「倉庫が狭い」という問題に対してそのまま「倉庫を広くする」という解決方法を考えるのは小学生並みの思考能力しかないということになる。

倉庫が狭いという問題は、収納物の占める空間>倉庫の空間ということになる。
であれば倉庫の空間を増やすか収納物の占める空間を減らすという二つの選択肢が見えてくる。更に倉庫の空間を増やすためには収納効率を上げるというアイディアも出る。収納物の占める空間は、入庫物ー出庫物で増減する、と考えることができる。したがって、出荷計画に合わせて生産ができれば収納物は増えなくなる。

この中から、自社の都合や能力に合わせた解決方法を選択すれば良いはずだ。
この問題を定義する能力により、解決したことがない問題を解決可能な問題に変換することができる。

そして問題解決の体験は新たな問題解決の抽斗を自らの頭に蓄積する。

いつまでも九九を唱えていても成長はない。九九を使って2桁×2桁、3桁×3桁の計算が出来るようになって、初めて丸暗記の効果が発揮できる。


このコラムは、2019年10月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第891号に掲載した記事に修正加筆しました。

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