以前xbar-R(エックスバーアール)管理図についてご紹介した.
今回はX-Rs管理図をご紹介したい.
xbar-R管理図は,計量値データで工程に異常が発生していないことを管理する方法だ.製品からサンプルを数個抜き取り,その測定データの平均値(xbar)とデータの範囲(R)が工程の実力範囲±3σに入っているかどうかで,正常か異常かを判断する.
しかし,サンプルの計測が複数個出来ない場合もありうる.
例えば,サンプルの計測にコストがかかる場合.
または連続生産の様に,サンプルが集まるのを待っているとどんどん製品が完成してしまう場合は,極力早く合否判定をしたい.
このような場合にはサンプル1個だけのデータで,管理図を描きたい.
そこで力を発揮するのが,X-Rs管理図だ.
管理図の作り方は,xbar-R管理図とほぼ同じだが,データが1個しかないために,平均値も範囲も計算が出来ない.
平均値の代わりに,サンプル1個のデータ,範囲の変わりに一つ前のサンプルとの差分Rs(移動範囲)を使う.
データが少ないので感度は低いが,サンプリングにかかるコストは少なくて済む.
また連続プロセスのように製品がどんどん出来てくる場合は,1個のサンプルで直ちに管理状態か否かが判断できるので,異常が見つかった場合に廃棄しなければならない不良が少なくなる.
X-Rs管理図の作成手順は以下のとおり.
【手順1】データを時間順に並べる.
【手順2】移動範囲を求める.
Rsi=|Xi-1-Xi|
【手順3】Xの平均とRsの平均を求める.
【手順4】管理線を求める.
X管理図
Rs管理図
【手順5】グラフ用紙にX管理図とRs管理図を描く.
中心線(実践)と上下の管理限界線(点線)を入れる.(図には管理限界線を赤色線,中心線を黄色線で示した)
X管理図
Rs管理図