ホンダは4月8日、『CBR1000RR-R』のリアサスペンションについて、不適切に組付けたものがあるとして、リコール(回収・無償修理)を国土交通省へ届け出た。対象となるのは2020年3月31日~7月23日に製造された439台。
今回、リヤクッションアームとスイングアームを連結するクッションコネクティングプレートの表裏を逆向きに組付けたものがあることが判明。そのため、凹凸路面等を繰り返し走行するとプレートが折損し、最悪の場合、走行安定性が損なわれるおそれがある。
改善措置として、全車両、クッションコネクティングプレートの組付け状態を点検し、該当するものはクッションコネクティングプレートとダストシールを新品と交換する。
不具合は2件発生、事故は起きていない。市場からの情報によりリコールを届け出た。
リヤクッションアームとスイングアームを連結するプレートの裏表を逆に取り付けてしまったという不良だ。
不具合を二件発見している、と記事にある。このような作業ミスの対象範囲を約4ヶ月、439台とどうやって特定したのだろうか?同じ作業員がプレートの組み付け作業した製品を全て回収対象としたのだろうか?
それにしても、回収対象範囲を特定するのは相当困難だっただろう。
この手の作業ミスによる不具合は、何度も発生する。裏表を勘違いしていたらその作業者が作業した分は全て対象となる。しかし「うっかり」間違えたのならば問題のない製品まで回収し確認をしなければならなくなる。非常に厄介な問題だ。従ってこの手の不良を「作業ミス」と考えるべきでない。
設計ミスと言ってしまうと設計者に気の毒かもしれないが、設計配慮が足りていなかったと考えるべきだ。今回の事例を設計FMEAの潜在故障モードに追加し、「裏表のない設計」「裏表逆には取り付かない設計」となるようにしなければならない。
「失敗から学ぶ」という事は知識を増やすことではなく、失敗が二度と発生しないように標準を作る(または変える)ということだ。
回収対象製品を知らないので「プレートを逆に付けるとプレートが破損する」という故障モードのメカニズムが理解できない。しかし裏表が逆だと取り付かない構造にする事は可能だろう。
このコラムは、2021年4月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1123号に掲載した記事です。(タイトルを変更しました)
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