将棋と組織経営


 日本の将棋とチェスや象棋(中国の将棋)との大きな違いは、相手の駒を使える、「歩」であっても成金となることができる事だ。

日本の組織経営は「将棋型」と言えるのではないだろうか?

欧米の先端企業では、専門職を雇い専門職の能力を引き出し経営に貢献させる。と言う経営のように思える。高い金を出し、優秀な人材を雇う。その人材の効率を高めるために、余分な仕事をさせない。そのための人材を部下としてあてがう。

日本の組織のように「すり合わせ」とか「会議」などはない。
日本企業では社長がコピーを取る姿も見かける。日系企業に勤める中国人人事部長は、人材の無駄遣いと嘆いていた。

しかし日本の経営は「歩」や「金」銀」「飛」「角」が一緒に戦う。「歩」は単純な動きしかできないが、敵陣に攻め入れば「金」と同等の働きができる。さらに敵方の駒をも自陣の駒として活用できる。

日本の企業では雇った人材は「歩」を「金」にするように育てて使う。職種の変更も普通に行われる。工学部を卒業して技術者として雇われても、職場異動で営業職として活躍する人もある。

日本的組織は効率が悪いように思えるが、その効率の悪さが百年企業が多くある理由ではないだろうか?
今はだいぶ変わっているようだが、若手社員の給与を抑え、「年齢」で給与の上昇が期待できるようになっていたのも、社員が長く勤め自己成長をとげるモチベーションになっていたのだろう。

中途半端にチェスや象棋方式の組織経営を真似ないほうがいいと思う。


このコラムは、2021年6月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1155号に掲載した記事に加筆しました。

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